第162話 選択の後 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第162話 選択の後

「ホストなんてやめなよ?」


ユウはそう反芻して

その言葉の意味を探るような表情で私を見つめる。


「ユウはヒカルみたいになりたいって言うけど

私はそうはなって欲しくないのよ・・・。


でも、本当は・・・もっといろんな意味で・・・

理由はいろいろあるんだけどね・・・。

・・・・・・。」


ふいに自分の口をついて出た言葉の責任を

どう取ればいいのか私自身が混乱している。


全てを一から説明したところで

ユウに理解できるとは思えないし

言葉で説明できることだとも思わない。


私が今抱いている切実な感情は

自分自身が経験をしたことで

はじめて身をもって知る主観的なものなのだ。


この先ユウに

それがわかる日が来たとしても

今のユウにはわかりえない事なのだから。


「ヒカルと別れたい。 私、ユウのことが好きになっちゃったの。」


結局

私にはこう言うことしか出来ない。


それはとても陳腐で

安っぽいメロドラマみたいな展開だと思いながら

その世界に入り込んでいく。


そしてそれはやはり

私にとって

男との別れにおける

いつものパターンであることに違いはない。


結局のところ

ヒカルとの問題とユウへの感情が

全く独立したものであると私には言い切ることが出来ない。



それから

どうやってユウに唇を重ねたのかは

よく覚えていない。


ユウの服を丁寧に脱がせると

かすかに汗の匂いがする。


ユウはあっというまにボクサーショーツ一枚という姿になり

そこはもうすでに硬く持ち上がっている。


でも私は

それがユウの意思とは

別のシステムに従って機能していることを知っている。


ユウのことを優しくベットに寝かせる。

体はすぐに汗で湿っていく。


ユウが

戸惑っているのか

受け入れているか

ただ流されているのか

私にはわからない。


私にはその事は気にならない。


もうすでに

選択は行われた後なのだ。


いよいよという時

ユウは私の腰を両手で掴んで静止する。


「待って、まりもさん。 本当にヒカルさんと別れるの?」


男が一番理性から遠のくこの瞬間に

シビアな質問を投げかける18歳の男の子に私は驚く。


「別れるわ。 でも今はそんな事気にしなくていいのよ。」


額にかかるユウの前髪の一筋を掴んで後ろに撫で付け

私は優しく微笑んで無言で誘いかける。


もう一度

ユウの上に腰を沈めようとすると

ユウは切なく顔を歪めて

また私の体を引き離す。


「まりもさん、 僕がホストを辞めたらAV女優を辞めてくれますか?」





やっぱりか!!って言われちゃいますね^^; これはこれで当時はかなりマジなんですよ☆

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