第158話 砕け散った灰皿 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第158話 砕け散った灰皿

灰皿はヒカルの左頬をかすめて

背面の壁に激突した。


それは信じられない事に

丸い灰皿が

壁に突き刺さる程の勢いだった。


壁に当たって割れた灰皿が床に落ちて

さらにガチャーンと音を立てて粉々に砕けた。


もしヒカルに当たっていたら

ただの怪我ではすまなかっただろう。


もしかすると

もしかしていたかもしれない。


「おまえ・・・危ないだろ・・・。 ちょっと落ち着けって。」


ヒカルは割れた灰皿を見ながら

硬くこわばった声で言う。


「うるさい!! 今すぐ出ていけ!!」


切れている私の怒りは留まることを知らない。


一度開放された怒りは

さらに向かうべき矛先を探して私の中で暴れまくる。


「ちょ・・・なんだよ! なんでそんなに怒るんだよ! いいかげんにしろ!!」


ヒカルは今度は

眉根をグッと寄せて大きな声で威嚇する。


「もう本当に嫌だ! 別れる! 出ていって!!」


「いいから落ち着けってば、 冷静になれよ!」


ヒカルは私の両手首を掴んで何度も

冷静になれと言ってゆさぶる。


きっと私は異常な取り乱し方をしていたのだと思う。


ヒカルの手を振り解こうと思っても

ヒカルの力は強くて逃げる事が出来ず

体を拘束されて動けない苛立ちが

私の感情を余計に高ぶらせていく。


ぶつけどころのない感情は

今度は涙になって溢れ出す。


「ぅぅっぅ・・・ヒカルは何を言ってもいいと思ってるの?

そうやっていつでも自分は許される立場だと思ってるんでしょ!

いい気にならないで! あんたなんてもういらない!」


ヒカルはまだ私の腕を離してはくれない。


「おまえ、本気で別れるとか言ってるの?

俺が認めると思う? おまえは俺の女だ! わかったか!!」


ヒカルは自分の思い通りにならないと

すぐに癇癪を起こす。

その気迫は

いつだって相手を怯ませるには充分なものだ。


「ふん、 そうやって今までやってきたのかもしれないけど

私には通用しないよ! ヒカルの事なんて全然怖くない。

そのバカみたいに高くなった天狗の鼻、私がへし折ってあげるよ!

あんたは私にふられるの! わかったら今すぐ出ていって。」


私は泣きながらそう吐き捨て

最後はあえて柔和な微笑を顔に浮かべる。


ヒカルの事を貶めたかった。

ヒカルのプライドを踏みにじりたかった。

私はそのために言葉を選び表情を作った。


ヒカルが私の頬を張った。


パーンと

まともに頬を捉えて目の前に火花が散る。


「今のおまえと話してても、話し合いにもならねーよ!

明日の朝帰ってくるまで頭冷やしておけよ!

俺が仕事から帰ってくるまでには今日のことは忘れろ。

俺もそうするから。 わかったな!」


ヒカルは唇を震わせてそう言い

私の家から出ていった。




明日はGLAYのライブに行ってきます。GLAYと氷室のコラボライブなんですけど楽しみだなぁ~♪

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rankm



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反映されるまで少し時間がかかりますが連投しなくても大丈夫ですよ^^