ドイツの娘?とのやり取り…長いです。

【娘】

皆様ご無沙汰しております。
気がつけば卒業して1ヶ月とちょっと、時間の早さに自分でも驚いています。
この1ヶ月間、学ぶ事が多くありました。


原発の事。

政治の事。報道の事。

地盤の事。余震の事。
そして、日本という国の事。


私は日本人でありながら、この震災を体験せずに過ごしています。
少しでも、せめて気持ちだけは近くに居たいと、日々様変わりするニュースに目と耳と思考をフル回転させている次第です。

これから書こうとしている内容は、地震が続いている現状で大きな不安のある中を精一杯生きていらっしゃる方々にとって理想論的に映ってしまう可能性があるかもしれません。
今、意見を交わす余裕の無い方は、どうぞ、いつか思い出した時に読んでもらえたら嬉しいです。

私はあれから1ヶ月経った今、このままここで何年間か続けてきたささやかな交信を止めてしまうと、ずっとその一言が発せなくなる様な気さえするのです。

こんな時に私事で恐縮ですが、書きたいと思います。

日常が今どれだけ大変なものに変わってしまったのかは、母と話すだけでも生々しく伝わってきます。
今までなんとなく過ごせていた時間がこれ程貴重だったという事を、改めて体感しています。たわいもない事をして戯れたり、話したり。

でもまだそれが完全に無くなった訳では無い。一刻も早くこの非常事態から抜け出せる日を毎日強く心に描いています。

本題はまず、原発の事です。

石原都知事が再選した時はきっと、多くのマイミクさん達が落胆された事だと思います。

私もです。

あの選挙結果の要因に思いをめぐらせる時、原発が無いと国が今まで通り機能しなくなると思い込まされている方々が、まだ沢山居るのが現実なんだと思いました。

原発を所有するという事は、地域の危険と引き換えに、懐が温まる層の人間が居るのです。その恩恵は決して日本国民の為ではなく、一部の人間の物であります。

ちょっと立ち止まって冷静に考えてみれば、人間が制御出来ないエネルギーに頼って社会が成り立っているという事実がおかしい事位、誰でも気付きます。

加えて日本は世界でも類の無い地震大国。
そんな不安定な土俵の小さな国土に40基を越す原発があるというあり得ない矛盾。

地震がもたらす二次災害には火災、津波、土砂崩れなど色々な課題があるにも関わらず、なぜそこに人的原発の懸念が必要でしょうか?

原発は自然災害に人的災害を加える一大要素であるのに、それでも今なお稼働している各地の原発。

いや、はっきり言って原発自体に罪は無い。

それを動かしている、人を、地域を、危険にさらして利益を得ている人間を、絶対に私達は野放しにしてはいけない。

そういう人間が日本で一部の人間からどれだけ尊敬されていようが、その権力が、黒い富が、どれだけ恐れられていようが、世界は見ているのです。

それだけシンプルな事なんです。

特に腐り切って腐敗の匂いをプンプンまき散らす東電がいくら帳尻合わせても時遅し。後は完全に衰退していくまで(責任のたらい回しに)時間が長くかかるか、短くかかるか。

震災直後に応援してくれた世界の風も、今は厳しく、冷たい。

今住んでいるドイツでは、多くの会社が日本からの食品の輸入を既に見合わせているし、日本の食材を扱うバイト先の客足もこの1ヶ月で既に半分位に落ちました。

実際どれだけ放射能汚染が進んでいるか、という事よりも、ある地域がひばくした、という事だけで。

はっきり言って、東電の発表なんて既に誰も信用していません。
放射能汚染のレベルが5だろうが多く見積もって7にしようが、関心事は最初から、日本全体における対応策なのです。

それが、いつまで経ってもはっきりしない。
私達の先陣を切る政府が、これでいいのでしょうか。

更に、福島の原発が最初の爆発を起こした時から東電は事の重大さに気付いていながら、避難区域を最小限に20キロ以内としたのは、その後の補償を最小限に抑える為だったという事が今になって囁かれている様ですが、国民の生活を犠牲にしてでも、国の総生産率を維持する事に躍起になっている様な国を持って、果たして私達はこの先日本を誇りに思えるのでしょうか。

自分がどういう風に暮らしたいか。どういう国にしていきたいか。
具体的なヴィジョンを皆で共有する事で開かれていくドアが、目の前でまさに今開こうとしていると捉えてはどうだろうか。
私達は今ハングリー精神一つで物を語れる唯一の時期に来ているのではないでしょうか。
国がこんなにぼろぼろになっているのにまだ見て見ぬ振りをしようとする政府は、ちょっとやそっとの力では動かないでしょう。まして私達がNOを突きつけずに変わる訳は無い。


話は少しずれますが、各国の中でも日本に対して極めて批判色が強いドイツで、毎日の様に討論やドイツ世論のフィルターがかかったニュースを知るだけで、正直言うと私の心は折れそうになる時さえあります。
勿論友人や勤務先の音楽学校、バイト先、地域の方々や知り合いは皆いつも心配してくれているけど、厳しい世論は毎日続いているのが現実。

地震を防ぐ事ができない宿命の土地に、それでも原発が必要なのか?

答えが『必要』なら、何故?
   『必要じゃ無い』なら、どうやって需要と供給のバランスをとるのか?

今考えずにいつ考えるんだろう。
皆で一緒に考える為に、より開放的な議論の場だって作らなきゃいけない。

そんな中、報道の自由も今回の焦点だった。

東電の隠蔽は既に明らかになったけど、政府が報道を一極化しようと今回も骨を折っていた現実は、国民として、どう捉えるべき?
じゃあそもそも私達ってなんの為に生きてるの?

自分達の為に生きてるんじゃなかったっけ。。。。

Twitterで先日ある人のつぶやきをみつけました(以下本文)
原発を作ることを助長してきた欲望、事なかれ主義、臭いものに蓋、我が身かわいさ・・・そういうものを自分の中から消すことが、原発を消すことに繋がる。「脱原発」運動は、「脱今までの身勝手な自分」運動。継続は力なり。少しずつでも変わっていきたい(本文終了)

皆それぞれが違う状況に立っているからこそ浮き上がる、普遍性を確認できる時でもあると思うのです。
そう思った時に、大切な方を亡くされた被災者の方や、帰る家が無くなってしまって避難生活を余儀なくされている方、私の想像なんかとっくに絶する現実に多くの被災者の方々が今日この瞬間直面されている。

今、抗議したくても出来ない方は大勢いらっしゃるんじゃないか。

そう思って、出しゃばりだと言わたとしても、自粛ムードがあろうと、私は今の状況に立っている自分にしか出来ない事をやろうと最終的に思いました。

恥ずかしい話だけど、今回の大震災を機に私は色んな事を学びました。
出来る事と出来ない事が、はっきりした。
出来ない事を出来る事に変えるには、どうしたらいいか。

わからない事は、調べる。それでもわからなければ恥ずかしがらずに兎に角質問する。
意見を交わす。
違う意見を尊重する。
自分の意見にもあえてフィルターをかけて検証してみる。
ニュースは受け取る時に自己判断で価値が生まれるもの。報道を鵜呑みにしないという再認識。

こういう事を毎日間接的にやっているだけでへとへとになるんだから、生活がその中心にある日本の皆は本当に大変だと思う。

でも、意見を交わす事を躊躇しないで欲しい。
できれば、もっと活発に自己主張をして欲しい。

何が必要で、何が不正で、何が大変で、何が素晴らしかったか。

友人からの言葉が、私の心に一番近い声だと思っています。
どうか、また一緒に一歩を踏み出せたらという思いで一杯です。
感情に任せて書いてしまいましたが、読んでくれてありがとう。

余談ですが私は今、長期に渡ったソロのベネフィットコンサートをプロジェクトとして企画しています。色々な会場で出来るだけ多くの方から募金を募る事に挑戦します。

そういう訳で4年間学業中に弾いてきたほぼ全曲を毎週1曲ずつリバイブしていく作業に追われています。
お蔵入りしそうだった多くの曲の使い道をもう一つ新たにみつけました。
祈りの曲をメインで弾きます。


日々の動きはTwitterでつぶやいてます@kepakepaniak


それでは皆さん余震は続きますが、どうかお気をつけて、この時期を生き抜いてください!


【俺】

日本を強く思う気持ちが、離れた地に居るが故、特にはがゆいんだね。

日本の中でも温度差が多々あるよ。
安全という視野で議論する時、経済という面で議論する時、
ともチャンが苦しむ原発、政治、報道、地盤、余震、そして日本という国の事…すべての議論に温度差を感じる。
被災真っ只中の方たち、2次3次被害に遭っている方たち…。どの立場に居てもベストな答えは難しい。

ただ、一つだけ共通している思いは、思いの大小はあれ、あの311から、すべてが変わり、すべてがここから始まると感じている事だと思う。

麻薬のような原子力の中毒になっているこの生活もしっかり考え直す時に来ている。
生活様式すべて変える覚悟でないと乗り切れないだろう。
そして語るのも虚しい、あの、国民をばかにした政府、東電、保安院の茶番のような対応はほとほと情けないし、日本人としても呆れるが、世界から信用されなくても仕方がない。

ただ、前にも言ったが、今、おんチャンたちがやるべきは、
「危機管理の鉄則は最悪を覚悟し、楽観的に行動すること。自分の心身が頼りだ。福島原発「最悪のシナリオ」はかなりきついが、それでも最悪ではない。関東・東海での次の大地震を覚悟し、家具固定と耐震補強で被害軽減を進め、そして何としても浜岡原発事故を抑える。思考停止している場合ではない」
…との思いを共有して、被災地の支援、地元地域を守る、浜岡を止める。
先ずこの3つを柱に行動している。
(その集まりのサイトです… http://shonantown.jp/sah/

そして何より本業を頑張りつつ、行動する事。そうでなくては東北の人たちに恥ずかしいし、本当に日本は沈没してしまうと思う。

おんチャンの脳内思考比率…
http://www.m-louise.com/diary2011.03.html#nounai
平塚でもめてる七夕について…
http://www.m-louise.com/diary2011.04.html#77
災害時の非常食…
http://www.m-louise.com/nhk.or

等々…、やれる事はやるだけやる。今やらなくていつやる!笑顔の連鎖は必ず東北へ届く!そう信じている。

外国にいるともチャンたちは、日本以上に風当たりが強いだろうな。
フランス・リヨンに居る友人も、
「昨日 友人から言われた・・・確かに東北は世界最大の悲劇を生んだ
・・・だけどハイチやインドそして戦争をしているリビアの人たち、アフリカの子供ももっと悲惨だよ。と、みんな日本のためにと世界中が躍起になってチャリティーしているけれど、そのほかは忘れ去られていると言われた時、凄く言葉に詰まった」
と、故郷を思う気持ちを通り越した言動に苦悩している。

ともチャンも大変だろうけど、頑張ってくれ!
こっちも頑張るぞ!何かあったらチアキもちゃんとみとくから安心せい!
そして、ドイツの情報もどんどん送ってな!

(追:被災地の、あの力強く優しい日本人の姿も、東北人だからかな?とも思う。大阪や首都圏だったらあんな風に誇れる行動がとれていたかどうか?昔から辛い土地柄に居る強さと優しさと感じない?)


【娘】

おんちゃん
泣き顔
私は日本で大変なおもいをしている訳ではないのに今皆がそれぞれに体験してる『見直し』だけは起きていて、


>すべてがここで変わり、すべてがここから始まると感じているんだよ。

>麻薬のような原子力の中毒になっているこの生活もしっかり考え直す時に来ている。
生活様式すべて変える覚悟でないと乗り切れないだろう。
そして語るのも虚しい、あの、国民をばかにした政府、東電、保安院の茶番のような対応はほとほと情けないし、日本人としても呆れるが、世界から信用されなくても仕方がない。

これは逆境以外に、なんだろう?

続く震災は、来ると思う。どう考えても、統計や歴史を調べても、私達の元にも関東直撃の震災は起きると思う。
凄く乱暴な言い方になってしまうかもしれないけど、その時までに浜岡原発を止める事は必須課題だし、それに伴う制約の覚悟も必要だと思う。

そう思うと、これはきっとまだこれから来る災害への暗示も含まれていて、今回東北で被災された方々が盾になってくださったとしか思えない。だからおんちゃんが言う、東北の方に申し訳ないって気持ちは凄く共感する。
これは逆境の教えだと思う。
自然が厳しい東北の方だったから一大事に力強く優しい姿だったのは、多いにあると思う。でもそこを今議論してもしょうがない。まずは自分たちも出来るって信じなきゃ、出来る事も出来ない。

今また弾き始めたんだけど、その活動も、政治への関心も、毎日全ての活動が、自分を自信で満たす為。きれいごとに聞こえるかもしれないけど、毎日何か行動していないと、恐怖につぶされそうになるから。せめて気だけは強く持っていたい。そう思って、自分に出来る事を一つでも増やそうって毎日動いています。
七夕の件、激しく同意。
仙台はやる意向なんだね。平塚はそもそもなんでやらない意見が出たんだろう?それこそ強気の仙台をサポートする意味でも、一緒に何かできないか意見を募る事の方が先だよね?

>被災地の支援、地元地域を守る、浜岡を止める
この3本柱に焦点を当ててるんだね。思考を止めてる場合じゃないね!

おんちゃんは長く続けてきた自分の分野があって、地域と深く密接に繋がっているから、情報発信力や、影響力、繋げる力、コミュニケーションに長けているいる。私に出来る事があったらいつでも何でも言ってください。反対に私にも何かアイデアがひらめいたら、おんちゃんが最初の人です。地元で活発に活動するおんちゃんを心から尊敬しています。

きっと、私の折れそうになった心を気遣ってドイツのニュースもよろしくなって言ってくれたんだと思う。どうも有り難う。でも心配しないで!私には隣で守ってくれる人が居るから指でOKその点で本当に家の千晶も、まとめてよろしく頼むね!笑


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みんな、頑張っている・・・。そして考えてる。悩みながら自分の出来る行動を・・・