『文藝春秋』の3月号を買いました。
勘のよい方はすでにお察しかと思いますが、”芥川賞発表 受賞作全文掲載”に惹かれて買いました。
もう売り切れだとかなんとかいう話も聞くので、木曜の段階で普通に購入できたのはラッキーです。
で、読みましたよ、
川上未映子さんの『乳と卵』。
私はすごく考えさせられたし、母と子と、母の妹(語り手)それぞれのあれこれが何となく分かる気がしたし、
大変面白く読ませていただきました。
文藝春秋で読んで良かったな、と思うのが、選評が読めたこと。これがおもしろかった。
なんとなくですが女性作家のほうが『乳と卵』を推す方が多いかな、と思いました。
(現に石原慎太郎氏はまったく評価していません。石原さんは今回全体的に評価していない感じですが。)
豊胸やら生理やら、女の子が大人の体に近づいていくときの複雑な感情やらは、男性にはなかなか分かりづらいものなのかもしれない、とも思いますので。
『乳と卵』も良かったですが、個人的には、よりとっつきにくい感じもあった
『わたくし率イン歯ー、または世界』の衝撃が大きかったです。ひより ちゃんからお借りしました。
- 川上 未映子
- わたくし率イン歯ー、または世界
タイトルと装丁だけで、なんだこれ!と衝撃なのですが、
中での文章のリズムがさらになんだこれ!で。
私の奥歯に自我があるってどういうことなのかしらんと思いながら読んでいると、
さらに小説の結末が何じゃそら!で(関西弁つられた・・・?)。
とにかく、こりゃすごいと思ったのでした。
ちょっと変わったリズムをもつ文体も、読んでいくうちに、それこそ”奥歯”に感情移入していくうちに
むしろ自分の思考が持つリズムと一体化してぐるぐるぐるぐるとスムーズに回り始めていくのを感じます。
書き言葉よりも、話し言葉よりも、思考はずっとずっと早いペースでぐるぐると廻っているのであって、
この、句読点やカギカッコが少ない文体は、より思考のペースに近いのかもなぁと思います。
こっちを先に読んでいたので、『乳と卵』はわりと普通に読めました。
大人の女性なら”変わった登場人物”たちの気持ちや考えを分からないでもなく、どちらの作品も
面白く読めるのではないかなぁと思います(もちろん好き嫌いはありそうですが)。
珍しく読みたい欲が高まっている最近です。