maki tea time

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『後でフィルムの入れ方教えるから。』





まきの手の中には冷たくて少し重たいカメラ。


PENTAX SPⅡ
師匠が若いころ、仕事をして初めて買ったという、
沢山の景色や人を見つめてきたカメラです。



『これでいっぱい俺も練習したんだ。』


そう言って、
絞り、露出計や、ピントの合わせ方を教えてくれました。


今度、仕事で仙台に戻ってくるまでに
1本撮っておいて、と言われて
次の日から早起きして朝練しました。。



撮影場所は、庭。




構図を決めて


ピントを合わせて


呼吸を止めて…



何度も 何度も仕切り直して。




2011年3月某日~
ガスも水道も5月中旬まで来なかったけど、
うちにも春が来てました。




 
 

 
 

 
 
 


 

 
 



 

レンズの向こうには感動ポイントがいっぱいでした。



この思い出もカメラも大切な宝物です。



 

 

 


弟子入り *震災後、やっと電気が通ったけど食べ物と水が不足していた頃の写真です。一人がレトルトのカレーを持っていたので、3人で分けて食べました。
 





”無事ですか?元気でいますか?”



あの日以来初めて師匠からメールが来ました。

”あの日家にちゃんと帰せばよかったと何度悔やんだことか。
大事な弟子をおいてからあんな地震があるなんて。
本当にごめん。”



そのあと、連絡を取り合って
再会する約束をしました。


食べ物がなくって、
開いていた近所のケーキ屋さんに入ったら、
かごに小さなマドレーヌ5個しか残ってなかった。。

(良かった。。)と思って手を伸ばしたら、

前に並んだ人がわたしに気を遣ってか2つだけ残して去って行きました。


どこもかしこも売るものすら無くって、
最後の2つを買って待ち合わせの場所へ行きました。


『先生、これ食べてください。わたしアメなめてるから食べれないから。』


先生は自分が抱えている大勢の若い人たちの為に
食糧を買っては、みんなに与えていたことは予想がついていました。

グゥグゥお腹がなっていたであろう先生は、
『うまい』といって2つたいらげてくれました。


帰ってから先生にメール。確かめたいことがありました。

『せんせい、まきは先生の弟子なのですか?
生意気なことを言ったり、ぶーぶー怒ってみたり、
好きな人ができて写真を撮らなくなってしまうかもしれないです。
そんなワガママなわたしを弟子と思ってくれるのですか。

いつか、怒らせて、わたしを弟子にしたことを後悔してしまうかもしれないですよ。』


冗談だったらここで終わらせてください。
そういう気持ちで送信しました。

それなのに帰ってきた言葉は、



『師匠と弟子の絆は永遠です。
あなたが写真をやめたとしても、写真を嫌いになったとしても
その関係は変わる事は無いのです。』


完敗。というより感動でした。

後に困難があっていっぱい泣いた時にも、
この言葉を思い出して何度救われたことか…



『先生、信じます。今日からまきは先生の弟子になります。写真、頑張ります。』



そうして、
これが今日のわたしに繋がる一歩となりました。









*毎回楽しみにしてくださるみなさま、本当にありがとうございます。
更新遅くてすみません。。
そして感謝です。*










 

 

 




回想 



町は変わり果てて


やっと電気が通った会社のコンセントを借りて、
携帯の充電をしたら


県外に住む友人から
安否確認のメールや電話が鳴り続けました。



夕食は16時
就寝は18時

家の方は電気も何もが遅かったから、
暗くなったら寝るほかありませんでした。


コンデジのバッテリーだけは満タンでした。
写真は撮るべきでないと思いながらも
生きていた自分は撮ることを選びました。




それまでは先生の真似して
モノクロで撮っていたけど、


この時から、自然とカラーで撮り始めた気がします。




いつか、振り返るときが来ると
思っていたから。






*この建物は最近になってやっと取り壊しが始まりました。