四角四面にゃ、嘘がない!
…カメラを肩に、雑踏を歩きたいと思う時があります。
大抵そんな時、自分は結構ヘコんでいる時が多くて
「写真の世界に逃げたいなぁ」
とか、思っているんですよね。
カメラは軽いほうがいい。
この写真の時も、キヤノンの「G12」という、コンパクトカメラでした。
小さすぎない、軽すぎない、ちょうどいいカメラでした。
大事なのは写真の「フォーマット」。
この日は最初は普通のサイズで撮り始めたのですが、途中からどうもしっくりこなくなってきた。
そんな時、自分がヤるのが「1:1」にフォーマットを変更すること。
正方形のフォーマットは「自らを規制するフォーマット」です。
構図が自ずと決まってしまう。
自由度が無いのですが、その代わり「嘘」というものも入りずらいところがあります。
このフォーマットで撮っていると、何だか「修行」を行っている気分になります。
昔「二眼レフ」を三脚に据え、レベルファインダーで撮っていたことがありましたが、その頃と似た気分になります。
ファインダーで構図を決めているときの気分は、どこか「祈り」に近いような気がします。
だからなのでしょうか…「嘘」を入れず、純粋に被写体と、そして「自分自身と」向き合いたいとき、選ぶフォーマットは「1:1」なのです。
被写体に媚びず、流されず、自分自身にも甘くありたくない…そんな時、自分は「真四角な人」でありたいのです。
カメラ、何買う?…初心者へのカメラの選び方(その玖)
これを「コンパクトカメラ」に限定してみると、そこには確かな「違い」が見えてくる。
先の回 で、フィルムカメラの「コニカ ビッグミニ」の事を書いた。
フィルムカメラのコンパクトは「侮りがたい実力」がある、というのは確かだ。
一眼レフに比して比べられる程の、画質の精細さがあった。
機種にももちろん拠るけれど、一部のコンパクトカメラは、ある意味で一眼レフに太刀打ち出来たし、サブカメラとしての性能も文句無いものだった。
それも「普及機」で、それが可能だったというところが、大きく違っているのだ。
これには理由がある。
フィルムカメラは「写真フィルム」を使用する。
これは一眼もコンパクトも共通であり…言うなれば「センサーは同一」という様に、デジカメならば言い換えられるだろう。
フィルムは、デジカメのセンサーと、記録メディアの特性を併せ持っている。
言ってみれば「記録の心臓部」を共用できるというわけだ。
レンズ性能などは、それに比べれば小さな問題だ。
ゆえに、昔はコンパクトと一眼での性能差は「大きくはなかった」。
実際、プロカメラマンの多くは、サブカメラとして積極的に使っていたし、プロの要望に応えるための「シブい」機能なんかも、ちゃっかりと入れていたものだった。
翻って、今はどうなのか?。
どう考えてみたところで
「普及機は、一眼レフ足り得ない」のは明白な事実といえるだろう。
「センサー」が違う…レンズ性能が違う…穴だらけだ。
ハッキリと言い切ってしまうならば
「デジタルカメラの普及機は、安物!」
…なのである。
…あ?泣かないでね?。
「昨日買ったばかりなのに~」って、泣かないで。
文句はスイマセンが「メーカーさんに」言ってくださいね?。
正直…特に最近の普及機は、酷いものだと言わざるをえないのです。
小さなセンサーに「多画素化」ということで、むしろ昔よりも画質が悪化しているところさえあります。
メーカーさんの事情もあるのでしょうが、普及機の生産をどんどん止めていますよね?。
オリンパスさんなんかは、もうラインナップに全くありません。
パナソニックさんやキヤノンさんが辛うじて作っています。
ニコンさんのは何となくOE…え~、エヘン!…だったりしますね。
独断ですけど、普及機はもう「性能が出せないんじゃないか?」と思うのです。
お金をかけて開発しても、割が合わないから止める…そういうカメラに成り下がってしまった。
スマホやiPhoneのカメラだって、相当いい画質です。
小さい割にはですが…しかし、見られないというほどじゃない。
こうなるともう…メーカーさんも「お手上げ」なんでしょうね。
悪いことは言いませんので「普及機」は買わないほうが良いです。
小さくて、収納に便利、というのはあると思います。
ズームもあるし、携帯よりはまともに写真と付き合えるかもしれない。
…しかし、それならば、例えば「リコーGR」のようなカメラを求めたほうが、後々後悔しないで済みます。
ズームとかは割りきってしまって、画質の良さを追求してみる。
私は、そのほうが良いと思いますね。
しかし「防水カメラ」に関しては、今のほうが昔よりもずっといいですね。
私は某「水中2メートルでも大丈夫だよカメラ」を、以前所持していました。
それを何と「デート」に持ち込みまして、その結果
「ほとんど写真が撮れなかったよー。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。」
…という「悲しい思い出」を作ってしまいました。
フィルムカメラよりも「シーリング」がしやすいということもあり、デジカメの耐水性能は以前に比べ飛躍的に良くなっています。
「耐ショック性能」も上がりました。
フィルムを装填するための「裏蓋」が無い分、強度も上げやすいのだと思います。
中身は普及機ベースのような気もしますが…まあ、それは「特質」から見れば小さなことでしょう。
海にプールに、マリンスポーツに、登山に…「タフなカメラ」というのは、どこか「カメラを使用する場所」というのを飛び越えた所で活躍してこそ、真価を発揮するのだと思います。
…さて、これで「カメラ選び」のお話はオシマイです。
極めて独断と偏見で持って書き連ねてきましたが…ある程度は「忌憚なく」書いていかないと、メーカーの思惑に乗せられるばかりで、そのうちには「まあ良いや、ケイタイで」ということになってしまうと思うのです。
商品を一番厳しく見るのはユーザーです。
だからこそ、一番早く飽きるのも、これもユーザーだということになります。
あの手この手を使って、メーカーは商品を売っていかないと、飽きっぽいユーザーのニーズを落としかねません。
しかし、極めて残念なことに「スペック戦争」くらいしか、デジカメの世界では競争材料が無くなってしまったわけです。
基本性能を上げればコストが掛かり、売上げの割に合わないという「皮肉」が展開されやすいのが、この「コンデジ」の世界かと思います。
それでいっそ…と、小手先の攻防に血眼になってしまう。
これが今の悲しい現実だということですね。
昔々…「フロッピーディスク」を記録媒体にする、という、突飛なデジカメが存在していました。
名前は「マビカ」。
ソニーが世に出していたカメラです。
私はこのカメラが好きでした。
ビデオカメラと見紛うような、その図体の大きさ。
シャッターを切るとフロッピーに書き込まれるのですが、その時の音の大きさ!。
なんというか…「ヒューマニックな」魅力にあふれていたカメラでした。
なんでもそうだと思いますが「相棒」と呼べるものは、まず持ち主がそれを「好き」じゃないと関係が成り立たないんじゃないかと思います。
「マビカ」は、私にとっては「相棒」になれるようなカメラでした。
しかし「性能」という、耳障りのいい言葉に現を抜かして、私はこのカメラを手放してしまいます。
何を持って好きか、何を持って愛着が湧くのか。
アナログとかデジタルとか、それは関係がない話です。
「マビカ」を首に下げての外出は、何故か楽しかった。
そういう「相棒」に出会うためには、まず自分が「何を大事にして過ごしたいのか」を知ることでしょう。
…それが「選ぶ」ということなんですね。
(おしまい)
カメラ、何買う?…初心者へのカメラの選び方(その捌)
現在発売されている大部分のコンデジは「普通のズーム機」になる。
これも私の勝手な定義だけど「ズーム倍率は30倍まで」「レンズ収納可」「あまり高価ではないもの」を「普通のズーム機」と定義してみた。
こうなると、ボディの大きさもかなり異なる。
例えばパナソニックで比較すると「30倍ズーム」である「TZ70」の寸法は「110.7×64.6×34.4mm」になる。
一方「12倍ズーム」の「SZ10」だと「99×59.9×29.8mm」だ。
全ての寸法で、一回り大きい。
それでも無理やり…というか、ひとつのカテゴリーにしてしまうのは
「使わない時には、ただの箱状になる」
…という特徴を有するから。
この「箱状」というのがとにかく大事で、コンデジのコンデジたる所以といえる。
「コンパクトカメラは、コンパクトに使えなければいけないのだ」
…という「大義」こそ、その存在理由なのだ。
今までに書いてきた「カメラの特質」を、大きく外れること無く有しつつも、しかし、必ず「持ち運びに不便ない」存在で無ければいけない。
言うなれば、このクラスこそ「純粋なコンデジ」であり、フィルム時代からメーカーが血道を上げて取り組んできた「戦略的商品」だったのである。
ニホンジンが作る、ニホンジンのための最高傑作群…それが「コンパクトカメラ」であり、その偉大なる系譜なのである。
…とまあ、少し振りかぶってみたけれど、コンデジはコンデジ。
そう大きな差は存在しない。
しかし、そんな中でも「気にかけるべきところ」というのはある。
特に気にすべきところは「ズーム倍率」だ。
ズームの倍率は、高ければ高いほど「良いもの」だ。
これには反論ある方もいると思うけど、ことコンデジというカテの中で言うならば、そう言い切ってもいいと思う。
しかし…ここで「勘違いしてはいけないこと」がある。
「写真」として、ズーム倍率の大小は、必ずしもその「質」とイコールではない。
「大きく撮ればいいってもんじゃないっしょ?」
…と、誰か言ったとか言わないとか。
「写真」は「伝えるべきものは何か?」を、探し続ける「旅」のようなものである。
…そう昔、言った人がいた。
私のことだけど(^_^;)。
…でも、実際に、写真というのは「そういうもの」だと思っている。
「自分が感じた何かを、誰かに伝えたり、残して置きたりしたい」
…記念写真も、観光写真も、集合写真もスナップも…そのためにこそ「撮る」のではないか。
そして、そのためにベストな選択を考えた結果、今のコンデジも生まれ出てきた。
「伝えるべきもの」というのは「どういうものなのか」を考えて下さい。
本当に自分が伝えたいもの。
驚いたことや、嬉しかったことや、時には悲しかったことさえも。
そういった日常の中で繰り返される「出来事」を、静かに記録していくのが「コンパクトカメラ」というものの姿でした。
果たして、そのために「30倍ズーム」が必要でしょうか?。
様々な機能は、あれば「楽しい」ですけど、それをどのくらい使うのでしょうか?。
…もちろん、それが欲しい人もいます。
私も以前は「10倍ズーム機」を所有し、主力として使いこなしてきました。
今はそのポジションを「超高倍率機」に譲っているわけですが…それは私が「超望遠域」を「旅の記録として便利な道具」として認識しているからです。
遠く離れた教会のステンドグラスを撮ったり、柵で容易には近づけない場所を遠くから撮ったりする時、これ抜きでは実現できない構図というものが存在するのです。
そしてそれは、私の中の「イメージ」と同一なのですね。
言うなれば私の目は「超望遠レンズでもある」ということ。
…しかしこれは、写真を長年やってきた「私ならでは」の視点でもあります。
ベテランの方がみな持っているであろう、そういったものです。
ですから、初心者の方の場合、私はあまり「高倍率ズーム」がついたカメラをおすすめしたくはない。
もちろん「何でも撮りたい」と仰る方には、止めることはしません。
それもまた、カメラ選びの理由足りますから。
オススメ出来かねるのは
「これが有れば、保険として、何でも大丈夫でしょ?」
…という、選択をされる方に、です。
何でも完璧がないように、カメラ選びも「これ一台」は無いんですよね。
どこかしら普通は不満が出る。
不満に思うから、買い足したり買い換えたりもする。
その「不満」を、大事にしていただきたい。
写真を見る目を育てて行くため、写真というものの本質を知り、写真を生活の一部として楽しんでもらうために、様々なカメラを使い回すことは大事なことなのです。
少しだけ「技術的」なことを書いておきます。
このクラスだと、比較的皆さんが撮られる被写体として「夜景」がありますね。
だからこそ、ユーザーの要望というものも高くて、これに応えるために、メーカーも血道を上げてきたところがあります。
その成果として結実したのが「手持ち夜景モード」です。
このモードの仕組は「速いシャッターを数枚切って、その画像を合成して明るくする」というものです。
例えて言えば
「100Wの電球の明るさを得るために、懐中電灯を何本も同時照射する」
…とイメージしていただければいいと思います。
夜景は暗いですから、そのままだと「感度アップ」しなければいけません。
そうなるとノイズも増えてきて、画像が荒れます。
おまけにシャター速度が遅くなって、ブレやすくなります。
ブレ補正でもカバーしきれるものではありません。
夜道を歩くのに、一本の懐中電灯だと暗いですけど、何本も同時に照射すれば余裕で歩けますよね?。
手持ち夜景モードは、デジタル技術なくしては不可能だった、この「多重露出を使った明るさアップ」を実現したモードです。
普通の夜景モードとは少し違った描写になりますが…大変に便利なモードです。
これには「ソニー」の評判が高いようですね。
次回は「普及機と防水機」を書いていきます。
(次回に続く)