私が生まれてから今に至るまで
たくさんの思い出を共に作り上げ、
目を閉じると走馬灯のように
あなたと過ごした日々を思い浮かべます。
赤子の私をあやすあなた。あなたの
優しい眼差しと温もりを肌で感じながら
健やかに過ごしました。
4歳の時、河原で遊ぶ私を優しく
見つめるあなた。どうやらここは
あなたのお気に入りの場所らしい。
8歳の時、あなたの腰元に届かない
私と柔道の技を掛け合いっこして、
楽しそうに笑う私。
そう言えばあなたの片腕にしがみ
付いて持ち上げてもらうおねだり
もしたね。
山に行って初めてのバンガロー
でのキャンプ。車に食材を積み忘れ
母さんに怒られながらカップラーメン
を食べたほろ苦いキャンプデビュー(笑)
でも自然が溢れる景色を眺め、
河原で遊んだり、買った炭で火をおこし
、バーベキューしたり、釣り人を眺める
私はとても楽しそうでした。
10歳の時、海外のお友達と一緒に
マス釣りに行きました。目の前に
たくさんマスがいるのに全く釣れ
なくて飽きた私の釣竿を手に取って
マスを釣り、それを私に託して無事
釣り上げた。
自分で釣ったかのように喜ぶ私を
優しい眼差しで見守ってくれました。
11歳の時、父さんの仕事の手伝いを
始めるようになり、手伝いをしてる私を
お客さんが見て
「小さいのに手伝いをして偉いわね」
と言われ、あなたは照れくさそうな顔を
してました。
社会人になるまでの間、片付けや仕事の
流れを見て次に何が必要か。手伝いを
重ねて段取りや仕事の手順、現場によって
パターンの違うやり方に対して、積み重ねた
知識や経験を活かし、視点を変え臨機応変
に完成させる対応力を間近で実感。
仕事帰りに車の中でカラオケタイム🎵
学校で習った曲や童謡を大きな声で
2人で合唱しましたね!
初めてあなたと一緒に釣りに行ったのは
真夏のハゼ釣り。釣具屋さんで買った
竿にエサのゴカイを付けて浮き釣。
魚がかかった瞬間、釣竿から伝わる
「ぶるぶる」っていう感触。
とても刺激的でした。
これ以降晩年に至るまで数えきれない
ほど、各地をまわり釣りをしましたね。
朝早くから夜遅くまで2人で夢中に
なってました。
私が社会人になって30年余り。
あなたの仕事を手伝って学んだ仕事
への姿勢、段取りの大切さ、視点を
変えた物事の捉え方が今に至るまで
糧となってます。
晩年のあなたは大きな病気をわずらい
リハビリや介護が必要になりましたが、
大切なものは何か、親子との絆とは
何か。強く意識するようになりました。
それからは週末散歩やご飯食べに
行ったり、お気に入りの喫茶店に
コーヒーやパンケーキを食べに
行ったり、遠出して公園に行き、
芝生に寝そべって青空を眺めましたね。
当たり前の光景、日常がこれほど大切
だなとものだと実感しました。
【終末のあなたへ】
去年の夏、余命宣告を聞き涙が溢れました。
どうするべきか一生懸命なやんだ結果、
少しでも元気な姿、思い出を残そうと。
写真を撮ったり、週末のお散歩、外食に
介護に家族の対話。
出来ることは限られていたけど、約1年間
、残りの人生に思い出は残せたかな?
父さんへ感謝の気持ちを伝えた日、
不自由な体で目を開けてしっかりと
見つめてくれたのが印象的でした。
最後にくれた言葉。
「ありがとう」
看取る時、手を握った
あなたの温もりを忘れません。
あなたの背を見ながら過ごした私の人生。
父さんの子で良かったと実感してます。
今まで育ててくれてありがとう。
親子の絆、思い出と共に感謝の
気持ちでいっぱいです。
遠く離れても、
大事なものはいつだって
ここにあるから。
どうかお元気で。