今日は『傘を持たない蟻たちは』の中で一番衝撃を受け気に入った「インターセプト」を紹介します!

あらすじ
会社の先輩の結婚パーティーに参加した、林と高嶺の花である中村安未果。この日林はことごとく自分に言い寄ってくる男の人を振る彼女の事を、奥さんがいるにも関わらず落とそうとする。彼は得意の心理学を使い彼女を落とす事に成功する。そして彼女の家に行くとそこには…

この作品では林目線で書かれたものと、中村目線で書かれたもののがそれぞれあり、林目線で読み終わった後に中村目線で読むと、お互いがどう思っているのかと、林目線で読んだ時の中村の本当の気持ち、その逆が分かりとても面白かったです。


林目線の話の最後。彼女と一夜を過ごし朝を迎えた林はトイレを探していた。トイレだと思い入った部屋に見覚えがある林。本棚には趣味の心理学の本がたくさん。机には見慣れた文房具。そして扉には自分がアメフトの応援に行った時のテレビ中継での写真。ゾッとした時、後ろから彼女に抱きしめられこう言われた。

「私の事は捨てないでね。」

私はこれを読んで鳥肌が立ちました。彼女は彼がゴミを出しては漁り、家に持ち帰っていたのです。ゴミは捨てても、私の事は捨てないで…なんて恐ろしい女なのだ!と思いました。

中村は林をスポーツのテレビ中継で見つけ一目惚れ。そこからネット上で彼を見つけストーキング。同じ会社に入り、彼を射止めるために他の男を振っていたというわけです。
林目線で読んでいる時は、気難しい中村のことを落とそうとする林を応援しながら読んでいたにも関わらず、実際は全て中村の計算だった事が分かり、一生懸命だった林が愚かに感じました。

恋愛小説でこんなにもスリリングを味わった事がなく新鮮でした。
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今日は加藤シゲアキ初の短編集『傘を持たない蟻たちは』を紹介します。
この短編集は、“いまを生きる人々の「生」と「性」を浮き彫りにする”6編が収録されています。

・染色
・Undress
・恋愛小説(仮)
・イガヌの雨
・インターセプト
・にべもなくよるべもなく

全部でこの6つの話が入っています。

最後の‘にべもなくよるべもなく’はこの短編集です唯一の書き下ろし作品です。
その他5つの作品はそれぞれ、週刊誌にて連載をしていました。

よく漫画家さんが〆切に追われて連載の漫画を描いているというイメージがありますが、本業がアイドルである彼が、ライブツアー中でも移動の新幹線や飛行機の中で必死に書いていたと聞くと、ファンとして彼はただでさえアイドルとしてカッコいいのに、時間に追われながらもこのように完璧な作品を仕上げているのはまたさらにカッコいいなと心から思います。

私はこれまでの加藤シゲアキの作品はどれも好きです。しかし、この短編集はこれまでに出版された3作品よりも様々な角度から書かれている気がして、さすが4作目になると、パワーアップしているなと感じられました。

またこの作品の中の『恋愛小説(仮)』『インターセプト』『にべもなくよるべもなく』の3作品を基にしたテレビドラマも放送されました。最初は短編集をドラマ化と聞いて、どの作品がどう繋がって、どのようになるのだろうかと思いましたが、短編集とはまた一味違ったドラマならではのエッセンスも加わっていて面白かったので、オススメです。

そこで次回のブログに、6作品の中から私が特にお気に入りの作品をアップしようと思います✨
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『レインツリーの国』有川浩

テーマ:
今日は以前ブログに書いた『植物図鑑』の作者有川浩さんの小説の中から『レインツリーの国』を紹介します。

〜あらすじ〜
忘れられない思い出の本をきっかけに、主人公の伸(しん)とひとみはインターネット上で出会い、メールでやり取りを始める。メールをしている間に、どうしても彼女に会ってみたい!と思うようになった伸は意を決して彼女に会いたいとメールを送る。頑なに会う事を拒否していた彼女には秘密があった…
実は彼女は耳に障害を持っていたのだ。それゆえ、せっかくネット上では仲良くなれたのに、実際に会って上手くコミュニケーションが取れずに嫌われたらどうしようと思い、会う事を拒否し続けたのだ。しかし、そんな彼女をはじめは戸惑い受け入れられなかった伸だが、真っ直ぐなひとみに徐々に惹かれ、お互いがお互いの弱い部分を明確に指摘しながらも成長していく、真っ直ぐでピュアなラブストーリー。

この本を読んでまず最初に、‘障害なんて関係ない。愛さえあればどんな事も乗り越えられる。’という事を学びました。
お互いがお互いの事をもっともっと分かろう、相手の立場に立って考えようとする事で、人として成長出来る事はなかなか難しい事だの思います。しかしこの本では自分の事だけを思っても幸せは掴めない。相手の事を思いやって初めて幸せは掴めるものだという事を改めて発見する事ができました。
耳の聴こえない人は世界にたくさんいます。それは他人事じゃないなと思うし、もっとそんな人の手助けが出来るようになりたいとも思いました。
私が好きなアイドルグループ「NEWS」のメンバーで日本テレビの夕方のニュース「news every.」にてキャスターを務めている小山慶一郎くんは、8年前の24時間テレビの時に得た手話をその後も一生懸命勉強し今でも取材で手話を活用しています。

今回の本の主人公とNEWSの小山慶一郎、それぞれに通ずる事は‘守りたい’という気持ちの強さなのではないかと思いました。は彼女となったひとみさんを。小山くんは耳の聴こえない人たちの意思を。

人は人を守るために強くなるのではなく、人を守ることでやっと強くなれる生き物なのだなと思いました。
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