雲、樹、チャリと本を愛でる日々 -2ページ目

雲、樹、チャリと本を愛でる日々

山の手育ちは野生に帰ることができるのか?
復興支援にどこまで尽力できるのか?
今生で何冊本が読めるのか?
肩の力を抜いてお伝えします。

ストーナー [ ジョン・エドワード・ウィリアムズ ]
¥2,808
楽天

大学で英文学を教える教師、ストーナーの物語。

「ストーナーは教師であることを求め、その願いをかなえたものの、人生のあらかた、自分が凡庸な教師だったことに思い至って、それはまた、前々からわかっていたことでもあるような気がした。高潔にして、一点の曇りもない純粋な生き方を夢見ていたが、得られたのは妥協と雑多な些事に煩わされる日常だけだった。」

いやぁ、かなり夢見た生き方に近かったと思うけどなぁ。失敗と言っていい結婚、学内でのいざこざ。すべてを静かに受け止め、しかし状況を好転させるためにめちゃめちゃ頑張る。私から見たら、すっごく高潔で純粋だ。

苦難の多いストーナーの人生だけれど、友や愛する人とのキラリと光る時間もあった。読んでいるこちらが慰められる。

大方の人の人生は、「妥協と雑多な些事に煩わされる日常の連続」だ。その中に時折、煌めくような、振り返って愛おしむことができる時間が現れる。

ワタシがこの世を去る時、どんな風に自分の人生を振り返るかしら?ワタシもそうだが、冒頭に引用した部分を、自分のことのように感じる読者はたくさんいるのではないだろうか。

地味で平凡な人生、ワタシも、ストーナーのように高潔で純粋な生き方を常に夢見ていよう。