ルーヴル美術館の、もう一つの楽しみ方 | 西方見聞録(旧パリレポート)

西方見聞録(旧パリレポート)

2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

パリも桜が咲き
だいぶ春っぽくなってきました。
とは言え、
今日の気温は約10度。

風が冷たく
ダウンがまだ手放せません。

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春になると
新しいことを始めたくなりますが、

先日始めた新しいこと、
それは「ルーヴル美術館」の
年間会員になること!
「ルーヴル美術館」は
日本から誰か来るたびに
行くので何度も行ってますが、

いつも行くときは
初めての人を連れて行くことが多いので
行ったことあるのは
メインの所ばかり。

日本に帰るまでに隅々まで見たい、
と言うわけで、
年間会員になった、と言うわけです。

そんなわけで、
先日行ってきたのが
年間会員の申し込みをする部屋。
〈アミ デュ ルーヴル〉という部屋です

ここで年間会員のカードを
発行してもらい
こんなカードです

早速美術館へゴー!
ルーヴル美術館の中へ!

と、ルーヴル美術館は
あまりに巨大で、

とても一日では回れないので、
初めてのルーヴル、という方と
一緒の場合(案内する場合)は

だいたい、
・モナリザ
・ミロのヴィーナス
・サモトラケのニケ

・ナポレオンの戴冠式
・民衆を導く自由の女神

・レースを編む女
・ハンムラビ法典

を中心に見て回りますが、

今回は自由に見て回れるので
目指したのは
〈メソポタミア文明〉のコーナー。

やっぱりルーヴルに初めて行った時は
上に挙げたモナリザや
ミロのヴィーナスなどを見るべきですが

ルーヴル美術館のちょっと変わった
楽しみ方として挙げたいのが、
この〈メソポタミア文明〉のコーナーです。

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皆さんは、この〈メソポタミア文明〉
と聞いて、
どんなイメージをお持ちでしょうか?

全くイメージない!

そんな方も
いらっしゃるかも知れません。

〈メソポタミア文明〉とは
人類最初の文明です。

あれ、最初の文明って
エジプト文明じゃなかったっけ?

そういうイメージをお持ちの方
いらっしゃるかも知れません。

確かに、
エジプト文明は
ピラミッドやミイラなど
インパクトがあるので
記憶に残りやすく、

一方メソポタミア文明は
「あー、何か教科書で
やったっけ?」
「えーと、チグリス川と
ユーフラテス川だっけ?」

と言うぐらいの
いつイメージかも知れませんが、

文明は今のイラク辺り、
まさにチグリス川とユーフラテス川の
周辺で発生しました。
黄色くなってる部分です

この黄色いエリア、
ここから人類の文明が始まった、

と言うのが、
現在の歴史の定説です。

このエリアのことを
肥沃な三日月地帯と呼びます。

高校の頃、習ったことを
思い出した方もいるかも知れません。

上の地図だと
三日月型になってませんが、
実際は下の地図のエリアになります。
緑色の部分が〈肥沃な三日月地帯〉です
※画像は「世界史の窓」より

このエリアから人類最初の
・農耕
・牧畜
と言うものが始まり、
それが世界中に広がっていきました。

これが、
紀元前7000年前ごろの話です。

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ちなみに最古の人類が誕生したのは
約400万年前(時期は諸説あり)。
アフリカの高原で誕生しました。

それから約20万年前に
今の人類の姿となり、
(ホモ・サピエンス)

その人類がアフリカを出たのは
ざっくり言うと
5万年〜10万年前。
(以上の年代は、研究によって違いあり)

アフリカを出て、ヨーロッパ、
インド、そしてアジアを通って
アメリカ大陸、

最後にアルゼンチンの先、
パタゴニアに到着したのが
約1万年前。
人類が世界に広がっていった図(画像は九州大学総合研究所博物館より)

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と言うことは、
メソポタミアで文明が始まった
7000年前には
人類は世界中あちこちにいたのに

なぜこのメソポタミアで
文明が始まったのか?

他の場所ではなく
なぜこの場所なのか?

と疑問に思った方も
多いかも知れません。

その答えは、、、

よく分かっていません。
一応教科書的には、
このエリアが

・気候が温暖で
・土壌の養分も多く
・野生のムギ類(麦)が自生し
・山羊などの草食動物がたくさんいた

という理由と、
書いてありますが、

そんな所は
他にも沢山あります。

私個人の考えでは
上の理由に加えて、

このエリアが
人類拡散ルートの交差点だったから

だと思ってます。
(以下、私の考えなのであしからず)

人類はアフリカを出て、
ヨーロッパに向かう者、
アジアに向かう者
に分かれますが

人類の移動は一方通行ではなく
行っては戻ってくる
を繰り返すので

結局最初の分かれ道の場所、
交差点である〈メソポタミア〉の地に
人はごちゃごちゃ集まるわけです。

イメージ的には
ターミナル駅みたいなものでしょうか。

しかも、そこが最も
過ごしやすくて
食べ物も豊か、

なので、
基本的にみんなここに住みたい
わけです。

そのような所では
物資、知恵が集まるので
栄える一方で
競争も激しくなります。

ターミナル駅周辺が
栄えて、地価が高くなるのと
原理は同じです。

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と言うわけで、
紀元前7000年頃から
この地で文明が始まった、
と言うわけです。

そして、この地で
最初に文明を築いたのが
シュメール人です。

やっとここでルーヴル美術館に
話を戻しますが、

ルーヴル美術館は
順を追って巡っていくと
このシュメール人のコーナーから
始まっていきます。

ただ、ルーヴルはあまりに広いので
巡るルートは
ダイレクトにモナリザなどに
向かう入口など
大きく3つに分かれていて

古代文明のコーナーから順を追って
巡る人はあまりいません。
(そんなことしてたらモナリザにたどり着かないので)

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と言うわけで、
今回はシュメール人のコーナーから
ゆっくり見ていきます。

メソポタミアは紀元前7000年から
と書きましたが、

文明が一気に花開いたのは
紀元前4000年紀ぐらいからです。

その文明を開花させた
シュメール人というのが
こちら!
シュメール人の像(代官エビフ・イルの像)

これがシュメール人です。

このシュメール人が
人類史上初めて

・都市を建設し
・文字を開発し
・灌漑設備を発明し
・法を整備し
・60進法を発明し(計測学、時間の計測など)
・天文学、暦学を発明
(一週間7日、12ヶ月なども)
・世界最古の物語を作成
(ギルガメッシュ叙事詩)

しました。

もっと発明してますが
ざっくり書くとこんな感じです。

簡単に言うと、
文明の元のほぼ全てを
このシュメール人が作った、
と言うことになります。

と、このように書くと
「突然、特定の民族が
そんなに沢山、いろいろ発明できるわけない」
とお思いになると思います。

確かにその通りで
非常に奇妙なのですが、
歴史学上、そのようになっているので
なんとも言えません、、、

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そして、さらに奇妙なのが
このシュメール人というのが
どこから来た人たちなのか、

未だに分かっていない、
ということです。

普通民族というのは
どこからやってきたか
と説明されますが、

このシュメール人は
ルーツが見つかっておらず、
突然、この地に現れた、
とされています。

おかしいですよね、、、

突然現れて、
いきなり高度な文明を築き、
初めて都市国家を作り上げた、

と言うわけです。

なので、
世の中にはこの
シュメール人に興味を持っている人が
たくさんいて、

様々な都市伝説が
語られてきました。

その一つが、
〈アヌンナキ〉伝説です。

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〈アヌンナキ〉とは
シュメール神話に登場する
神々のことで

その神話によると
神と言うのは宇宙からやってきた
宇宙人である、
ということ。

そして、シュメール人というのは
その〈アヌンナキ〉によって作られた
〈アヌンナキ〉の遺伝子を有した人類で
(宇宙人と人類のハーフ)

故に【神の子】と言われているそうです。

つまり、
シュメール人が有していた文明
=我々の文明

つまり文明は、
宇宙人によってシュメール人に
伝えられ、

そして世界に広まっていった、
というのです。

そして、ルーヴル美術館には
その〈アヌンナキ〉と言われている像が
展示されています。
これが〈アヌンナキ〉です

こちらの展示では、特にルーヴル側が
〈アヌンナキ〉とは書いて展示しておらず
多くのサイトによって
そう伝えられているものです。

なので、信じるか信じないかは
あなた次第、
というものです。
メソポタミアコーナーの、こちらの部屋に展示されています

ちなみに左の像が、シュメール王朝伝説の王、ギルガメッシュです

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さらにもう一つ!

興味深いことを述べると、
このシュメール人が住んでいた場所
(チグリス・ユーフラテス川の下流)
にやってきたのがヘブライ人

ヘブライ人とは
ユダヤ人のことです。

そして、シュメール人は滅び、
ヘブライ人はその後、
そのシュメール人が住んでいたところを去り

現在のイスラエル辺りに
移住します。

(そこからユダヤ人は、エジプトで奴隷となったり、バビロンというメソポタミアの古代都市に捕虜として連れていかれるなど数奇な運命を辿った)

そして、
そのヘブライ人=ユダヤ人たちは
自らの宗教、ユダヤ教を作るのですが、
その正典となっているのが〈旧約聖書〉。

その〈旧約聖書〉にある最初の章、
【創世記】が、実はシュメール神話を
元にしているものが多い、
と言うのです。

例えば「ノアの箱舟」の物語。
これは、シュメール神話そのものです。

他にもたくさんありますが
ちょっとマニアック過ぎるので
やめておきます。

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そして、キリスト教やイスラム教は
ユダヤ教から生まれた宗教、
とも言えるので

つまり、キリスト教などの
宗教が言う《神》と言うのは
《宇宙人》ということに
なるわけです。

どうでしょう、
なかなか面白くないですか?

信じるか信じないかは
あなた次第!

ですウインク

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と、こんな楽しみ方もある
ルーヴル美術館。

(ちなみに、ロンドンの大英博物館にもシュメール人の展示がたくさんあり、かなり充実しています)

シュメール人が築いた
人類最初の都市は
現在のイラクにあり、

ぜひ訪れたいですが、
イラクはまだ大変危険な状態なので
訪れることは不可能です。
(外務省HPでは、退避勧告もしくは渡航中止勧告)

ビザ的には行けるかもしれませんが、
もし何かあった場合、
日本に迷惑がかかることが考えられます。

人類の歴史的に
非常に価値がある遺跡だけに
とても残念です、、、

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と、とても長くなったので
今回はこの辺りで!

それでは!!