九大昆虫班のブログ

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九州大学生物研究部昆虫班です。班員が交代して更新します。

九州大学生物研究部昆虫班です。日本中の昆虫を求めて奮闘中です。班員が交代で綴って行きます。
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こんにちは班員Bと申します。
このブログ、なかなか更新が無いので最早私だけのブログと化してしまっていますね。

 

入学式も終わり、新歓シーズン真っ只中となって参りました。

九大生研昆虫班ではtwitterアカウントでの新歓グループへの招待の案内をしております。気になるなと思われた方は下記のurlのアカウントのDMにて新歓グループに招待してほしい旨をお伝えっ下さい。固定ツイートにての説明もありますので是非是非ご覧ください。

 

https://twitter.com/Quniv_brcinsect



それはそうと、また採集に行ってきました。今回はその様子を記そうかなと思います。生研に入ろうとしている新入生の方は是非活動の参考にしていただけると幸いです。もちろん在学生の入部も歓迎しております。

4/5 雨


今日はかねてより採集したいと切望していたミナミツヤハダクワガタの採集の予定日でした。
ツヤハダクワガタは標高1000㍍付近の高標高地などに生息しているかっこいいクワガタなのです。
しかし、この子は難易度が高く幾度となくツヤハダ採集に繰り出しては負けを繰り返しています…

 

初めてツヤハダクワガタを採集しようとした何年か前、まだ私は高校生そして地元の関東に居ました。そこでもずっと採れておらず、言うなれば因縁の相手といったところでした。


ですが、最近やっとこの種を採集することが叶ったのですが、なんと♀1という不完全燃焼極まりない成果でした。

 

「いやっ、オスが欲しい!!」

その願いからツヤハダクワガタ 四国九州亜種ことミナミツヤハダを今回の狙いに定めました。


先ほど申しました♀1採集したツヤハダは関東で採集したものなのでまた別の亜種のツヤハダクワガタ 中部近畿亜種(ミヤマツヤハダ)ですのでミナミツヤハダはまだ未採集ということになります。

 

そして来る4/5、前日のバイトによりあまり睡眠をとれていない状況での出発になると覚悟していたのですが…

今回の採集で使う予定の車、その主である先輩が何度電話をしても起きない。

 

今日の出発予定時刻は朝5時と早めであったため、もう少し時間をおいてみようとのことで出発時刻を6時に繰り上げます。

 

が、しかし6時になろうと一向に先輩からは連絡がありません。
 

「これはまずい…」

 

そう思い先輩の家まで突撃することにしました。

インターホンと電話の二重攻撃。その攻撃もむなしくなかなか返答が無い状態。
今回はダメか?と覚悟してそわそわしているとオートロックの扉が開いたのでそこに目を向けると、なんと先輩が出てきました。

 

「はい」

 

そういって車のカギを私に渡すと、すたすたとマンションの奥へ戻っていきます。

 

ちょいちょいちょいちょいちょい!!!!

 

「え、行かないんですか?」

 

「今日は体調悪いのと勝てそうにないので行くのやめます」

 

え~当日ドタキャンかよ~

しかし、車を借りる身なのでつべこべは言えません。

しょうがないと腹をくくり、初心運転者ですが採集を決行することにしました。


私も、今回同行する同輩も免許取ってから一か月も経っておらず、長距離運転は危険があると判断したため当初行く予定だったS山ではなく、O山に行くことに決めました。
(あとから調べたところ、二つの山直線距離は変わっても道のりの距離は数キロしか変わらなかったという)

 

しかし、このO山もとある方から教えて頂いたミナミツヤハダのポイントです。行先が違っていようとやることは変わりません。採れるまで頑張るだけです。

 

なんやかんやあって、山を越え谷を越えO山に着きました。

天気は雨で視界も悪くコンディションとしては良いとは到底言えたものではありません。ですが来たからには全力での精神で山を登り、ツヤハダの潜む赤枯れ材を見つけ次第割っていきます。

 

「う~ん、出ない!」

 

いつもの流れです。こういった採集で開始早々に虫を採れた試しがないんですよ。いくら材を割れど幼虫しか出てきません。

 

そこの君、幼虫を飼育して羽化させればいいとか思いました?

いやいや、羽化させるより成虫を自身の手で採集する方が達成感があるに決まっています。少なくとも私はそうです。

昆虫採集をゲーム感覚でやっている私は、幼虫を採って孵すのは正攻法ではなく、裏技や搦め手、グリッジなどを使ってボスを倒している感覚であまり達成感が無いのですよね。

というわけで私は成虫が欲しいのです。そしてオス!でかいオスが採れれば文句はありません。

 

登山道沿いを登っていき、標高も上がっているのですがなかなか出る気配はありません。

同行者らも出せていない。

だんだんあきらめムードになっていきます。

 

幼虫は出るけど成虫が出ない材、食痕などはあるけど幼虫すら出ない材、状態はいいけど食痕が見られない材エトセトラ…

こうなるとかなりの苦行になってきます。そしてツヤハダ採集の辛いところ、副産物の虫が少ないということです。これも採集に緩急がなくなってより単調作業化してしまい、やる気を削ぐ原因の一つです。
 

ですが、昆虫採集において最も採集できる確率を高める最強の方法があります。

それは諦めないことです。採れるまで試行回数を重ねればいつかは採れるのです。採れる可能性がゼロではない限り。

 

しかし一向に出ない。

登山口付近から大分上りましたが、いい材が少なくなっているように感じます。

 

「降りながら探すか…」

 

来た道を戻るのは一見愚かな行為に見えますが、山は広いので一度通った道でも見逃しは必ず発生します。そう決めると、同行者二人を横目に山を下っていきます。

 

材を割れど割れど、本命達は出てくれません。今日はダメかもしれない。そう覚悟するくらいには疲れてきました。

 

この採集は他にも辛いことがありまして、材が硬いのです。しかし割らなければ居るかは分かりませんからもちろん多くの材を割ることになります。そうすると材を割る用の手鍬を持つ握力も次第に弱まり、しまいには振り上げた手鍬が手からすっぽ抜けてしまうこともあります。

 

 

斜面にへばりつき必死に赤枯れ材を割っていきます


すると…
おや?黒い甲虫の死骸、エリトラが出てきました。

これは、間違いない!ツヤハダクワガタのエリトラです。
少しながら希望が見えます。
さらに崩していくと黒い甲虫の影が見えます。

 

っっっこれは、勝ったな。

 

勝利を確信してその黒い光沢の虫を引っ張り出します。


ツノクロツヤムシ

お前かよ!!!!本当にやめてくれ…

(写真を撮っていなかったので以前撮った写真を貼っています)

 

このツノクロツヤムシ、日本では九州と四国にしか生息していないご当地モノなのですが、九州山地では広範囲に生息している普通種なのです。そしてどんな材にも入るので、こういったツヤハダ材から出てこられると大変心臓に悪いです。あげて落とすタイプの虫です。

 

ですが先ほどの死骸のエリトラは間違いなくツヤハダクワガタのものです。お願い…出てくれ。

出たぁ!!!
しかしメス!だが嬉しい!!

 

ツヤハダクワガタに限らずですが、材割り採集では出る材からは複数個体出ることが多いです。なのでこの材を割っていけばオスを採集できる可能性も高いということ…
慎重に割っていきます。

 

メス…またメス…

追加で二頭得ましたがまたメスです。どうやら虫の異性には好かれる体質のようです。

オスー!!!!!

しかもでかい!!!最高!!

 

疲労感が一気に幸福感へと変わっていきます。
そしてその材を割り進めていき、追加を何頭か得たところで、材を割るために酷使した右手は限界を迎えたのでそこまでで採集を中断しました。

 

結果、私はオス3メス7,同行者と合わせるとオス5メス10頭ほど得られました。

性比はメスに偏っているようですが、偶々かもしれません。

 

雨の中の採集ということで、服とグローブはびちょびちょドロドロ状態になってしまいましたが、目標のミナミツヤハダ。しかもかなり大型のオスを採集することが出来て大変実りのあるに採集にりました。また機会があれば採りに行きたいですね。

 

というわけで一区切りついたので今回はここまでにしておこうかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。
生研に入りたいと思っているけど活動がどんなものなのか分からないな、という方々への参考になれば幸いです。
ではまた~班員Bでした。

どうも、皆さん。
新班長のC(仮名)です。
いやぁ…長いこと更新されていなかったブログを動かした班員Bには頭が上がりませんね。
なぜAがいないんでしょう。謎です。


それはさておき、九大生研、昆虫班の勧誘についてのお知らせです。お待たせしました。
入部を検討している方は昆虫班TwitterアカウントにDMでご連絡いただけないでしょうか?
そこから班長のLINEアカウント及び新歓グループへ招待させていただきます。
Twitterアカウントを持っていない、DMとかはちょっと…というような方は大学が始まってから行われる予定の全班合同の新歓(説明会)の際に加入していただいても大丈夫です。
連絡したからといって入部を強制するものでもないので気になる方は気軽にどうぞ。
もちろん新入生だけでなく、2年生、3年生の方々も歓迎です!
私達と一緒に昆虫の沼に浸かりましょう!
ご連絡、お待ちしています。

こんにちは。班員Bと申します。
今回は個人活動で先輩らと採集に行ってきたので、軽い採集記のようなものを書こうと思います。
新入生で九大生研の昆虫班に入りたいと思っている方は、活動の参考にしていただければ幸いです。

新歓の情報ですが、そろそろtwitterなどにてお知らせがあるはずなので、入部希望者でTwitterの方を知らないという方がいらっしゃいましたらフォローしてくださると嬉しいです。

https://twitter.com/Quniv_brcinsect

 




3/20 晴れ


この日は、野焼き後の草原での採集に行ってまいりました。
野焼きとは何か軽く説明すると、こういった草原では環境を保つため、一度植生を焼き払うのです。

九州ですと阿蘇、関東あたりですと渡良瀬遊水地などが有名ですね。これらの草原は野焼きをしなければ瞬く間に草原がなくなってしまうと言われています。


そして…野焼きすると、我々虫屋にとってどんなメリットがあるのかというと、草原に隠れて越冬していた虫が石の下に逃げ込むのです。それを採集するという方法になります。また、焼け野原になっているので、普段は草原によって見えなかった石がより見つけやすくなったりもします。

一面焼けていますね。少々煤の匂いがするのも野焼き採集ならではです。

今日は先輩二人と来ています。
車から降りると、さっそく各々別の場所で石起こしを始めました。
 

 

う~ん、出ない…

前情報と違ってあまり振るわないですね。ですが、虫採りはあきらめないことが肝心です。

石を見つけては裏返すという作業を繰り返します。
すると

セアカオサムシ

Carabus (Hemicarabustuberculosus Dejean, 1829

 

金属光沢の赤とエリトラの造形が非常にかっこいオサムシです。
だんだんとテンションとモチベーションが上がってきます。
狙いの虫は採れるかな…

 

オオヨツボシゴミムシ
Dischissus mirandus Bates, 1873

今度はこの子が出ました。九州では初めてだったのでうれしいです。エリトラのレモンイエローがチャーミングなゴミムシです。


上二種のメンツはどこかの遊水地で見覚えのあるメンツですね。



さらに石をめくっていきますが、なかなか本命の虫たちは出ません。
場所が悪いのか、はたまたものすごく薄いのか…

そう思ってスマホを見ると先輩からのLineが

『(とある目的の虫)以外全部採ったよ』

………は?
こっちは二種しか採れてないが???ずるい!!!

大急ぎでその先輩が採集したという地点に向かいます。

「ここら辺めくったら採れたよ。」

その言葉を聞き言われるがままに石をめくっていくと…

コモリアオホソゴミムシ
Dendrocellus geniculata (Klug, 1834)

いた!!!!!今回の目標だった種類の一つです。
良好な草原環境に生息していて、全国的には珍しい種類です。いやはや嬉しいですね。

その周囲の石をめくっていくと

いっぱいいる!!
一度に複数得られることもしばしば、多いところですと一つの石の裏に5頭いました。

それからも場所を変えたりしながら石を捲っていきましたが、最後の目標種がなかなか出てくれない。やはり場所が重要で、出ないところでは全く出ないのかもしれない…

ヒトツメアオゴミムシ

Callistoides deliciolus (Bates, 1873)

 

やっと出ました…
本州、四国、九州に生息していますが、九州だと得られやすいようです。

先の情報だとヒトツメアオゴミをここでたくさん採集したとのことですが、先輩とあわせて4頭のみでした。

間隙の大きいところを好むのか、より大きめの石の下から得られました。まぁ小さい石もめくらずにはいられないのですが…

 

というわけで、今回の採集では目的の種を無事に採集することが出来ました。
この場所は九州大学のある福岡市から2時間くらいで行けるのでアクセスが良くまた虫も多くていいポイントですね。


どうやらこの草原ではほかにも、ダイミョウアトキリゴミムシやナガサキクビナガゴミムシ、クロモンヒラナガゴミムシなどなどいいゴミムシがまだまだ採れるそうです。

もう少し暖かくなったらルッキングやライトトラップなどもしてみたいので、是非また採集に行きたいですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
活動の参考になりましたでしょうか?もし楽しそうだな、一緒に虫採ってみたいなと思いましたら、九大生研昆虫班に入って下さると大変うれしいです。

もちろん、新入生以外も大歓迎です。
もう少しで新歓のご案内があるはずなので、暫くお待ちください。

そんなわけで班員Bでした。