キラキラリア王女と魔法のジュエルキラキラ

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「リア王女」




その 1  魔法のジュエル宝石赤





この世界のずっとずっと遠くの
さらにまた遠くに
小さな小さな王国がありました。

王国の名はオステル王国。雪の結晶

このオステル王国には、王様とお妃様の他に一人娘のリア王女がおりました。
もうすぐ、14歳になるこのリア姫は、いつも王国で退屈な日々を過ごしていました。
それはそうです。何でもやろうとすると、すぐに横から手が出てきて、
これは王女様がするべきことではありませんと、取り上げられてしまうからです。
(これじゃあ、私はいつまでたっても、何もできない王女になってしまうわ)
そして、リア王女はついに、決断をします。
この城を抜け出そう!!星空
見つからないように・・・。
一体どうやって抜け出せばいいか、わからないけど・・・。
皆が夜寝静まってから、リア王女はベッドの上からはい出します。
一緒に眠っていた、猫のローレンスがニャ~っと鳴きました。ネコ

「シィ!静かにして、ローレンス!今からこのお城を抜け出すんだから・・・」

「ミャァ~?」

リア王女は、宝石箱から赤いルビーのジュエルを首にかけると、マントを羽織ってから、窓の方へと行きました。
そして、窓に手をかけようとした時でした。
リア王女は、城の様子がおかしいことに気付きました。
バタバタと走り回るような音や、誰かの叫び声がします。

「どうしたのかしら?」

気になって、廊下のドアをそっと開けてみました。
兵士たちが慌てて駆けてゆく姿が見えます。
心臓がドキドキとなり始めました。

「一体何が起こったの?」

さらに、覗いていると、リア王女のお世話係の侍女、マルンが走ってやってきました。
いけない!とっさに、マントを外すと、ベッドの中へと入り込みました。

「リア王女!!大変でございます。王様が!!王様が!!」

その声を聴いた途端、リア王女は一気に飛び起きました!

「何があったの?マルン!!」

ドアを開け入ってきたマルンは、太った体をゆすりながら、言いました。

「魔女の森に住むバタンがこの城を襲ってきたのです。王様は捕らえられて・・・」

「な、なんですって!!?」

バタンは魔女の森に住む、カエルの姿をした怪物です。このところ王国の民を襲っては、悪さをしていました。
まさか、この城を襲ってくるなんて!!

「マルン、お母様は?」

「分かりません!!!ともかくリア王女だけでも、安全な所に!!さ、早く!!」

リア王女は頷くと、隠しておいたマントを羽織りました。
マルンは一瞬、リア王女の姿を見、キチンと用意がなされていることに驚きましたが、そんなことはこの際どうでもいいことでした。
ともかく、早くリア王女を安全な所に・・・。

三人の兵士とマルンが、リア王女を守るように囲み城の外へと連れ出すと、
月明かりの中で、村の明かりがぼんやりと灯っています。

「さ、早く!!」

兵士たちがリア王女たちを連れて、先を急ごうとしたその時でした。
目の前に、トカゲの形ををした怪物が現れました。王女と変わらない大きさのトカゲでした。
リア王女が悲鳴を上げました。

「キャー!!」

侍女のマルンは声を出そうにも、震えて出ません。

「お前ら、逃がさないぞ!」

トカゲの怪物は逃がすものかと、近づいてきます。
その時、怪物はリア王女の胸元もので光っている赤いジュエルを見て、声を上げました。

「おお!それは、魔女のジュエルではないか!!!お前が持っていたのか!!?」

リア王女はこの時、怪物がこの城を襲ったのは、このジュエルが目的だったと分かりました。

「これが欲しいの?」

「そうだ!!よこせ!!」

「これを渡せば、お父様やお母様は助けて下さる?」

「いいとも、それさえ手に入れば、後はどうでもいい」

リア王女は渡そうと、ジュエルに手をかけましたが、マルンがその手を押えました。

「い、いけません!!リア王女。これは、まだ、リア王女には話してはいませんでしたが、このジュエルは魔法のジュエルです。こんな怪物に渡したら、なにに使われるか、わかりません」

「魔法のジュエル?」

「はい!持っている者を守ってくれる魔法のジュエルです」

自分を無視して、話しているのに腹を立てたトカゲの怪物はリア王女を追って、ズンズンと追いかけてきます。

「そこで何を話している!!さあ、それをよこせ!!!」

兵士が剣を突きだし、追い払おうとしますが、トカゲは長い舌を兵士に打ち付けて次々と倒してゆきます。
最後の兵士が倒れ込むと、リア王女とマルンはズルズルと後ろへと下がりました。もう逃げられません。
すると、マルンがいきなりリア王女を突き放しました。

「リア王女!お逃げください!!!」

マルンは兵士が落とした剣を拾い、トカゲへと向かっていきます。

「マルン!!!」

マルンは勇敢にも向かっていきましたが、あっという間にトカゲの舌に殴られて、気絶してしまいました。

「さあ、姫。それを渡してもらおうか!!!」

一匹ではなく、二匹、三匹と、トカゲが増えていきます。
恐ろしくなったリア王女は、ジュエルを握りしめました。
絶体絶命だわ。そう思った時です。
猫のローレンスが不意に、現れました。
リア王女を庇うように、トカゲたちを威嚇しています。

「ニヤァー!!!グルルル!!!」

こんな声、ローレンスから聞いたことなど一度もありません。
猫のローレンスは、爪を立てながらトカゲたちを寄せ付けないようにしています。
その時でした。
近くから、声が聞こえました。

( 姫よ!助けてほしいなら、ただ、お願いしますと一言、言ってください。私が必ずお守りします )

一瞬、空耳かと思いました。

( さあ、姫、願うのです!!!助けて下さいと! )

もういい!この際!
リア王女はジュエルを握りしめながら願いました。

「どなたか、存じませんが・・・。どうか、どうか、助けて下さい!!お願いです!!」

( ふ、ふ、ふ。姫、ようやく言ってくださいましたか。さあ、ジュエルよ!今こそ、我に力を与えたまえ!!! )

さっきから、ブツブツと話をしているのを、トカゲは猫と戦いながら聞いていました。

「な、なにを言っているのだ?こいつは?」

その時です。

赤いジュエルが輝きだしました。
赤い光りが少し強くなったと思ったら、その光りは猫のローレンスへと、一気に降り注いでいきます。

真っ赤な光に包まれたローレンスは、最初は鳴き叫んでいましたが、徐々に声が聞こえなくなると、赤い光りもすぐに消えていきました。

消えた光の中から出てきたものを見て、リア王女は悲鳴を上げました。

「ローレンスが・・・いない。ロ-レンスはどこ?私のローレンス!!!」

光りの中から、出てきたものそれは、確かに猫の形をとってはいましたが、まるで違う姿になっていました。
足でスクリと立ち、まるで、人間の紳士のようなきっちりの服を着ている人型をした猫でした。

「リア姫。ローレンスはここです。私がローレンスです」

「嘘・・・。猫が喋ってる・・・。って、いうか、ローレンスなの?」

「さあ、私の手に掴まって!!」

トカゲもこの猫らしきものがいきなり出てきたことに、驚いています。

「リア王女!!さあ、いまのうちに・・・」

手を差し出され、思わず掴もうとしたその時です。猫の肩に虫のようなものがいました。
大の虫嫌いのリア王女は、悲鳴をまた上げました。

「いやあー!虫!!」

猫のその手を掴むどころか、はじき返してしまいました。
そこで、小さな声が聞こえてきました。

「失礼だな。俺を嫌うなんて!!」

猫のローレンスは、「お前、怒っていないで、リア王女を助けるんだ!!」と、虫に叫んでいます。
どうも、猫のローレンスはこの虫を知っているようです。
この虫の姿はバッタのような形をしていて、ローレンスからそういわれると、仕方なさそうに、肩から羽を広げて飛び立つと地面に降り立ちました。

ローレンスは、剣を拾いリア王女を庇いながら、トカゲと戦っています。
バッタは地面に降り立つと、呟きました。

「へ、へ、へ、まさか、また、こんな風に喋れるなんて思ってなかったよ!見てろよ!怪物!!!それ!!!」

小さな虫のバッタが、掛け声をかけると、バッタの躰がグングンと、大きくなっていきます。
緑色をした、羽や胴、足までもがずんずんと、巨大化していき、リア王女たちよりも大きくなってしまいました。
これを見て、虫嫌いのリア王女が悲鳴を上げたのは、当たり前のことでした。

「キャーァー!!!」

逃げ出そうとするリア王女の手をグッと捕まえて、ローレンスは叫びました。

「早く乗って!!あれに乗るんですよ!!!」

「イヤァー!!」

トカゲたちは、ますます増えていきます。これでは、勝負になりません。おまけに、トカゲの怪物の後ろから、あのカエルのバタンが姿を現したのです。
このままでは、捕まってしまいます。
ローレンスは、逃げ出そうするリア王女の手を強引にひっぱり、「王女、失礼します!」と、思い切り王女の身体を軽々と持ち上げるました。
足をばたつかせている王女を引っ掴み、バッタの躰へと乗り込みました。

「そら、乗ったぞ!!!急げ!!バッタ!」

ローレンスはバッタに飛ぶように言います。
でも、バッタは少しむくれてしまいました。

「え~!バッタはないよ!俺には名前がちゃんとあるのに!!」

「思い出せないんだろ!?」

はて?考えたのちバッタは思い出したように頷きました。

「ああ、そうだった!!」

トカゲたちが、一斉にローレンス達を追いかけてバッタへと乗り込もうとします。

「退け!!退け!俺様が飛ぶぜ!!」

バッタは大声で怒鳴ると、大きな羽根を広げ躰を震わせました。その途端、乗り込もうとしていたトカゲ達が面白いように振り落とされます。

後から来たカエルのバタンが大声で「王女を掴まえろ!!!」と、騒いでいます。

しかし、もうローレンスたちを乗せたバッタは宙を浮き、空へと飛び立っていくところです。

最後まで懸命にバッタの躰にしがみ付いていた一匹のトカゲがあえなく振り落とされてしまうと、そのトカゲがカエルのバタンの顔を直撃しました。

「うわ~!!!」

トカゲと共にひっくり返るバタンを見て、バッタが笑いながら飛んでゆきます。

「やーい!!馬鹿どもめ!へへへ・・・んだ!」

十分に距離を取ったところで、ローレンスはやっと、安堵のため息をつきました。
強引に抱えたままのリア王女はというと、いつの間にか気絶してしまったようです。

「やったな!ローレンス!!!」

「ああ。でも、これからが大変だ!王女様をなんとかお救いしないとな・・・」

「そんな、わがままな王女なんて、ほっといて。早く元に戻れる方法を見つけようぜ!」

「バッタ!おまえは、あのジュエルのおかげで少しはマシな身分になったってことを、まだ分かっていないみたいだな」

「ん?あの赤いジュエルか!あれの力なのか?」

「そうだ。この、王女がもっているジュエルは、魔女の持っていたもう一つのジュエルだ。さっ
き、トカゲがそう言っていた」

「なら、それを使って、早いとこ元に戻ろうぜ!」

「そう簡単にいかない。ジュエルは持ち主を選ぶ!」

「ということは、この王女様が願わないなら、戻れないってこと?」

「たぶんな。それよりバッタ。どこに行く気なんだ?」

バッタは躰をブルブルと震わせました。

「なあ、そのバッタって呼び方!どうにかならないか!!」

「名前が思い出せないんじゃな・・・。ま、あとで、いい名前を付けてやるよ!」

「必ずだぞ!」

バッタは飛んでいる間、
ずっとローレンスにしつこいほど念を押していました。



その2 木こりの娘ライラ
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こんにちは。

今回、「リア王女と魔法のジュエル」をお送りします。
少し長い物語になりました。
その10あたりまでいきたいと思います。

まだ、その 4までしか、実は書き終えてないのですが、
というのも、締め切りみたいにして書いたことがないので、一度書いてみようかということで
アップしてみました。

毎週、続けられるように頑張りますね。

パンラも一緒にやっていくので・・・修正をしつつ、入れ込み作業です。
こちらも良かったらよろしくお願いします。