私の口述ゼミ仲間のペニーさんから体験記の掲載許可を得ましたのでここに載せさせていただきます。


合格体験記

平成20年度旧司法試験最終合格者 Y・H

1 はじめに

 私は大学を卒業後、製造業の会社で営業担当をしていましたが、転勤族として会社に居続けることに漠然とした不安を持っていました。そこで、平成14年の結婚を機に、兼ねてから興味を抱いていた司法試験に挑戦することになりました。この頃は法科大学院のスタートも決まっていましたが、働きながら勉強できる旧司法試験を選択しました。

2 短答試験合格と論文試験不合格まで

 働きながら予備校の入門講座を取りましたが、講義を聴くのが精一杯で満足な勉強はできませんでした。短答過去問も年度別に解いていたので、自分がどの分野が苦手なのかを把握することもできず、日々が過ぎていきました。平成16年に初受験しましたが、29点(合格点は45点)と全くダメでした。このままでは一生受からないと思い、妻に受験に専念したいことを話すと快諾してくれたので、年末に退社し、専業受験生となりました。

しかし、平成17年は勉強時間が増えたにも関わらず、短答試験は38点(合格点は42点)で落ちました。来年は絶対に短答突破しなくてはならないと強い気持ちで、辰巳の秋期オープンから短答対策を始めました。辰巳を選んだのは、この年初めて総択を受け、最も本試験に近いと感じたからです。秋期オープンは分野別の出題であったので、自分の弱点が浮き彫りにされ、非常に効果的でした。同時に今まで過去問を年度別にしか解いてこなかったことを後悔しました。短答試験は過去問を分野別に解き、自分の弱点を探してそれをなくす作業が最も効果的だと思います。1月からも短答オープンを受講し、オープン・総択のおかげで、平成18年の短答は51点(合格点は46点)と目標の50点を突破して合格できました。

 この年は論文を受験することができる喜びでいっぱいでした。辰巳の直前模試も受けそこそこの成績を取り、意気揚々と受けてきました。ところが、結果は惜しいどころか総合Eで惨敗でした。この時は人生の選択を誤ったと思い、受験生活の中で最も暗い時期でした。

3 論文試験合格と口述試験不合格まで

ここで私の勉強は大きな転換期を迎えます。まず、辰巳の合格者答案ファイルを平成16年から3年分買って、A答案とC答案とE以下の答案を徹底的に分析しました。何を書けば受験生の平均(C答案)となるのか、どこを捉えれば合格答案(A答案)となるのかという2つのポイントをつかむために、①基本事項と②本試験の特殊性(Aを取るために検討すべき事項)に分けて押さえることにしました。今までは論点をただ記憶する作業が中心でしたが、実は本試験で聞かれている論点(基本事項)はごくわずかです。それまでの私は知識の幅は広いが、理解は非常に浅いという状態でした。しかし、合格者答案ファイルを分析することで、知識の幅は狭く理解は深くという感じに変わっていきました。この作業は翌年の論文合格に必須の作業だったと思っています。皆様もぜひ本試験で必要十分な基本事項は何なのか、本試験の特殊性とは何なのかを合格者答案ファイルで分析することをお薦めします。ここで注意してほしいのは、本試験の特殊性とは基本事項の応用であるということです。ですから、「覚える」のではなく基本事項の理解を前提に「考える」必要があります。ここが、予備校の答練と本試験の質が違うと言われる所以です。応用部分は正解を出さなくても大丈夫です。基本の理解を前提に筋の通った答えが出せれば合格に足りる点数はつくと思います。

もう1つは、地元で開催されていた論文ゼミに参加しました。これまで予備校を使っていたとはいえ、受験仲間が1人もおらず、自分の答案を人に見てもらったことはありませんでした。答練の点数だけで自分の論文の実力を測ろうとしていました。しかし、答練でつく点数の幅はあまりにも小さいため、同じ点数でも本試験では何点もの差がついてしまうことも考えられます。そこで、他人に答案を見てもらったり、他人の答案を見ることが非常に有益だと思います。同じように論点に触れていても、問題提起・論証・あてはめの仕方で大きく評価が変わってきます。論文ゼミのおかげで他の人に自分の答案がいかにダメだったかを教えてもらい、他の人のいいところを学ぶことができました。今まで一人で勉強されてきた方も多いと思いますが、もし論文ゼミが組めるような環境にあるのであれば、勇気を出してゼミを組んでみてください。必ず新しい発見ができると思います。

こうして、平成19年の論文試験を無事突破することができました。前年E評価だった4科目は全てA評価でした。このように1年でも論文の成績を下位から合格レベルまで持っていくことは可能です。合格に必要十分なことをやることが重要です。下位の成績の方は今までとは全く違うことを、Aで落ちた方は合格に必要だけど足りていない部分を重点的にやれば、合格可能性は大幅に上昇すると思います。

さて、この年は司法試験挑戦最後の年と決めており、論文後は再び働いていました。論文合格後も口述試験前日の夕方まで働いており、勉強時間がほとんど取れませんでした。その結果、あえなく口述試験で不合格となりました。

4 最終合格まで

 口述不合格のショックは相当なものでした。同時に自分の甘さを痛感しました。9割受かる試験だからと高をくくって、なめてかかったのが敗因です。あとは、この時まで法律的な会話をしたことがなかったのも大きな原因だと思います。不合格後、幸いにも辰巳で口述ゼミを開催していただけることになり、同じ境遇の方々と口述合格を目指してがんばっていくことになりました。人数も少なかったので皆が真剣に勉強し、時には楽しく過ごすことができ、とてもいい雰囲気のゼミでした。今年の最終合格はまさに、このゼミのおかげです。

口述はまずは言葉を口に出して勉強することが何よりの対策です。そして、聞かれる内容は択一・論文と同じです。基本事項はしっかりと答え、応用事項は基本の理解を前提に自分なりに筋を通すことが重要だと思います。論文と違うのは、原則、条文を引きながら答えられないことです。ですから、条文の記憶・理解が非常に重要となります。後は判例です。特に憲法は判例の記憶・理解の程度で点数が変わってくると思います。自分が知っていると思っている条文・定義・判例を口に出して正確に答えるのは案外難しいものです。普段の勉強で口に出す練習をすると良いと思います。

 今年は去年の反省を活かし、6月に仕事を辞めて勉強に専念した結果、ゼミの仲間全員で最終合格することができました。

5 まとめ

 私は法学部出身でないうえ、働きながら予備校に通ったり転勤もあったりしたために受験仲間がおらず、さらに地方で勉強していたため、受験に有益な情報はなかなか入ってきませんでした。合格するためには、やはり受験仲間との情報交換は重要だと思います。今は旧試験に専念している方は少ないとは思いますが、地方でもまだまだがんばっている方はいます。本当に旧試験で受かりたいという気持ちを持っていらっしゃる方々とゼミなどを組んで勉強をするのは非常に有益だと思います。辰巳のスタッフの方々を通じて、仲間を探すというのも1つの方法だと思います。

旧試験は残すところあと2年となりましたが、自分の弱点を探して克服する作業を繰り返しやっていけば、合格することは決して宝くじに当たるようなものではないと思っています。皆様のご健闘を心からお祈りしています。がんばってください。


おはようございます


昨日は久しぶりに熊本論文ゼミに乱入させていただきました。

最近は何かと忙しくてなかなか参加できていなかったのですが、久しぶりに論文問題に触れて

自分の忘却力に感嘆するとともに、考えることの楽しさも再確認させて頂きました。


家に帰るといわゆる白表紙といわれる、司法修習用の教材一式が司法研修所より届きました。

どの程度読んでいくべきかは分かりませんけど、ちゃんと読んでいくとなるとかなりきつい量です。


でも、司法修習に行くんだなという実感が少しわいてきました。


これから白表紙ゼミの計画を練ります

たまたま合格体験記を執筆する機会に恵まれましたので

その元となった原稿をルームの自己紹介のところに載せています。

ちょっと恥ずかしいですが暇なら読んでみてください。