4月20日早朝に母が亡くなった。
今年に入って特に、この１ヶ月は、母の容態が思わしくなく、もう時間の問題と思っていたので、せめて誕生日だけでも越せればと、半分覚悟はしていたもののやはり、何とも言えない感情が沸き上がるのも事実であった。

昭和8年3月24日、京都の山奥で生まれ育ち、職業軍人である、それはそれは厳しい父に育てられた、5人兄妹の１番上であった母。
食事の時に、母の父が食卓に箸を置こうすると、一斉に兄妹が庭に飛んで逃げる…つまり、父から張り倒されるから逃げていた話しを叔母から聞かされた時、母のきっちりした性格や礼節を重んじていた姿はそこから来ていたんだと深く納得したものだ。

母から、そんな厳しい父に、褒められた話しを聞かされた事がある。
家庭事情で大学には進まなかった母ではあったが、高校の卒業式の時、首席であったので、卒業生代表で全校生徒、父兄の前で表彰されたそうである。
「あん時は、おじいちゃんが物凄く喜んでくれてな～」と語っていた母…。

結婚は、大阪の老舗問屋の次男に嫁いだ母であったが、ここでも、厳しいお姑さんに苦労した母であった。
父の兄妹のお嫁さんは、誰も中々馴染めない中、母の事を１番気に入ってた事も事実であったと思う。

長男である私に掛ける期待は絶大で、ピアノ、そろばん、剣道、学習塾なんかは、数えきれない程に通うも、何一つものに出来ず、それでも、私に愛情、お金をかけ続けていた母…。
アホな子ほど可愛いとは、よく言ったものだ。

それでも、幼稚園から中学校まで、駅や学校まで歩いて30分はかかる通学のお陰で、健康で体力は誰よりもつけてくれた事により、今は見る影もないが、リレーの選手に選ばれ、特にマラソン大会で、常に10番以内であった事が、数少ない私の自慢出来る事かもしれない。
ある日、マラソン大会での、2番の札を見て母は、「2番になったのは、偉かったけど、１回でいいからこれが、学校の成績やったらな～…」と言われた時は、申し訳ない気持ちになったものだ。

父や母の頭の良さは、どうやら姉に全ていってしまった様で、姉は臨床心理士で大阪の教育関係の仕事をしている関係で大阪府知事からも、弔詞を頂ける事からみても、自慢は姉の方だったと思う。

私の方には、人とのコミュニケーションの力をくれた様で、営業の仕事においては、周りのお陰で欲しいタイトルは、全てといっていい位、獲得をさせて頂けたのは、母のお陰だと今も思っている。
唯一、と言っていい位、母から褒められた言葉が、「殆んど、つてのない東京でお前はよくやってる」とボソッと言ってくれた時は、良かったと思ったものだ。

それでも、独立をする時は、猛反対をされ、「そんな事したら勘当する❗」と言われた時は、両親を説得しないと独立は出来ないと、何度も説得し、ようやく、「男一匹、やってみたらええわ」と言ってくれた時は、嬉しかった。
商売人のお嫁にいって苦労をした母なので、私には出来るだけ苦労をさせたくなかったのだろう。

また、強い母でもあった。
小学校6年の時に、風邪を引きお医者さんに行く時、突然、私をおんぶして行ってくれた時、驚くと共に母の背中の大きさを実感したものだ。

人に迷惑をかけるのが、大嫌いな母…必ず人にお世話になったらお礼をしていた母…実は、まだまだ元気だった頃に、「ポックリ迷惑をかけずに死ぬのが１番やわ❗延命治療なんかせんでええからな」としつこい位に、語っていた母…実際、尊厳死協会の会員でもあった母…延命治療を施せば多少は延命出来たかもしれない母ではあったが、命が何処までもつかは神のみぞ知る状態とドクターから言われた話しを聞かされたら、もう覚悟するしかなかった。

阪急ブレーブスの山田久志投手が好きで、「可愛らしい顔してるやろ、奥さん年上やで」と言ってたな…

棺に母へメッセージを書いて折鶴を折って入れる時、母へ誓い言葉を書いた。

どれ位出来るかわからないが、少しでも安心して天国から見守ってもらう為にも…。

両親より先に逝かなかったのが、せめてもの救いかな。
火曜日から、仕事を再開させて頂き、金曜からまた、野球を観に行くね。
また、遊んでばかり…❗と言われそうだね。

でも、これで心の整理をしないとね。

ホンとに、ありがとうございました。

　　　　　　　　　　感謝❗しかない。

母への誓い。