ジョグジャカルタへ行きました。
AVAとは、アセアン評価人会議です。
アセアンが各国持ち回りで、評価人の技術力向上・交流のために
3日間にわたり、テーマを変えながら
発表、質疑応答などが行われます。
冒頭、インドネシア財務大臣が臨席、スピーチをされました。
米中貿易戦争により、アセアンからの資本が流出、為替安となり
苦しい今こそ、アセアンは団結が必要であるというような話をされていました。
そのあたりは、実際に来てみないとわからない感覚ですね。
さて、日本は招待国ですが、スピーカーを一人出さなくてはなりません。
日本不動産鑑定士協会連合会副会長の山下氏が
パネルディスカッションに出られました。
テーマは、 impact of Technology on Valuation
登壇者は,
山下氏のほかに、
インドネシアの若き地図会社社長、
シンガポールの鑑定士でした。
もっぱらアジアの鑑定士の関心事は、
物件価格を自動的に割り出すAVM(Automated Valuation Model)の登場です。
AIやBIG DATEを使って、価格を算定するAVMは、
鑑定士の仕事を奪うのではないか?
山下氏はPWPを使って、
100社を超える日本の不動産関連のスタートアップ企業を
分類し、AVAの現状などを英語で説明しました。
アジアの鑑定士(政府の役人を除く)は、
日本と異なり、不動産成約価格が
「見える化」されていないことを
ビジネスチャンスとし、銀行から多くの担保評価の仕事を
もらっているので、リッチマンが多い。
AVAにより自分の仕事を奪われるのではないかと
不動産テックを脅威ととらえているようでした。
「日本の鑑定士は驚異じゃないのか」との質問に対しては、
日本の鑑定士は、日本の隅々まで路線価が張り巡らせ
定点観測していますので
もはや担保評価の仕事は、一部の定額大量受注業者を除いて
無くなりましたし、
AVAは中身がブラックボックスであり、日本の鑑定士は
それほど脅威としていないと説明していました。
正確なデータが無い中で、
東南アジアの鑑定士はどうやって評価の適正化を図るのか、
不動産テックを発展させていくのか、
逆に山下氏が質問すると、
会場が湧いていました。
マレーシア人の鑑定士から質問もあり、
とっさに答える
山下氏の孤軍奮闘ぶりに胸を打たれました。
そういえば昼飯も抜いて、睡眠時間も削って
現地ホテルに缶詰めの山下氏の姿を見ていて
つくづく、日本人の海外での活躍は
努力と心意気なんだなあと思いました。
ジョグジャカルタはインドネシアの京都。
郊外には有名な2つの世界遺産、
ボロブドゥール遺跡とプランバナン遺跡があります。
会議の終わりには
世界遺産に行くバスツアーがありました。
プランバナン遺跡に
沈みゆく太陽と
入れ替わりで登ってきた満月、
月の色は赤く、幻想的な雰囲気を醸し出してくれました。
多くの東南アジアのヴァリュアーと腹をわった会話ができ、
友人ができました。
次回はタイランド、ガバメントオフィサーはぜひ来てくれと固い握手。
2年後はマレーシアで環太平洋の会議PPCがあります。
かれら彼女らと再会の約束を交わし、
インドネシアというゆったりとした自然や人々が作り出す
幸福感に包まれて、夜が更けていきました…