「第3回太平洋~猪苗代湖~日本海246.195kmマラソン」に参加して | 届けたい想いを写真と動画で心に響くサービスに変えるビジュアルコンテンツクリエーター小西隆博ブログ

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$タカヒロのなりたい自分になるブログ-雨の中、ゆっくり走ってます

5月3~5日のGWに、「第3回太平洋~猪苗代湖~日本海246.195kmマラソン」に参加した。
福島県いわき駅から新潟県月岡温泉まで3日間かけて移動する大会。
基本はマラソンだが、電車やバスを使ってもOK。その日決められた目的地と時間までに到着することが約束の大会。
この大会を知ったのは、昨年の年末だった。「こんなに贅沢なマラソンは他にないですよ」というキャッチコピーに惹かれ、どれだけ贅沢な大会なのだろうと興味を持ち申し込んだ。
2012年の元旦に申し込んだので、大会までの4カ月きちんと練習しようと思ったが、相変わらずの圧倒的な練習不足のまま大会を迎えた。

☆1日目 いわき~猪苗代湖 100km
スタートは朝4時なので、いわきに前日入りした。天気予報で当日は大雨だと言っていたので、初日は走らずに電車で移動しようかなと甘く考えていた。
受付をすませていなかったので不参加にならないよう、とりあえず最低限の走る準備をしてスタート地点に向かった。スタートしてからまたホテルに戻って寝ることもできるように、チェックアウトしないままスタート地点に向かった。
すでに大雨だった。
参加人数30人足らずのとても小さな大会。
スタッフもスタート時には、1人だけだった。
 みなさん雨具を着ており走る様子だった。スタッフも雨だから無理しないでなどと優しい言葉をかけてくれない。こんな大雨の中をみんな走るのだ。自分だけスタート前から電車で移動しますとは言えない。バナナ1本食べて、急いでチェックアウトして、雨具を着て自分も走ることにした。
 朝4時、まだ暗い中をスタートした。集団で走っていたが次第にばらけてきた。
 国道49号線沿いにひたすら郡山方面に走るので道に迷うことはなかった。
 ただ雨で雨具を着ていても全身がぬれ、靴の中も水でビジャビジャ言っていた。
 バナナ1本ではお腹も空いてきた。
 何か食べたいのだが朝早い上にお店も少ない。空腹の中を走る。ああしっかり食べておくんだった…。
 自販機で水を買っていたのだが、小銭がなくなりお札で買おうとした。雨でお札が濡れてしまい自販機が受け付けてくれない。水も買えない。すでに僕の周りには参加者もいない。おそらくビリだ。
 もう走るの止めようと思い、バスに乗ろうとするが休日ダイヤ。ほとんど走っていない。
 それでも1本だけいわき行きがあった。せっかくいわきから走ってきたのに、またいわきに戻るのは嫌だったが、とにかく休みたい思いからバス停でバスを待った。バスが来た。
 ああ乗れると思ったが、なぜかバスは止まることなく走り過ぎた。手まで挙げたのに、なぜ止まらなかったのだろう。僕がびしょ濡れだから乗車拒否をしたのだろうか。僕の勘違いでそもそも止まらないバスだったのか。本当のところは分からない。もうバスは来ない。前へ進むしかなかった。
 空腹と雨ですっかりやる気をなくしながらノロノロ走っていた。
 何もない国道から少しずつ町に近づいてきた。
 小さなお店があった。普段だったら見向きもしないような古びた小さな商店。
 迷わずお店に入った。
 おじさんが奥から出てきた。
 「お腹がとっても空いています。何か食べ物はありますか?」
 僕が尋ねると、カップラーメンがあると案内され、僕はカレー味のカップラーメンとチョコレートとクッキーを買った。おじさんはカップラーメンにお湯を入れてくれ、用意してくれたパイプイスに僕は座り、カップラーメンを食べた。
 カップラーメンの温かさがとても嬉しかった。
 カップラーメンがこんなに美味しいと感じたのは初めてかもしれない。
 チョコレートもクッキーも全て食べて、ようやく元気が出てきた。
 おじさんにお礼を言い、僕はまた走りだした。
 
 結局、1日目は42キロ地点にある道の駅でリタイアした。
 他の人たちはもっと前を走っている。ビリで到着し、リタイアを告げた。
 「無理しないでいいんだよ。また来年参加して、今回よりも走って、そうやって距離をのばしていつか完走すればいいんだよ。」
 スタッフからの言葉。道の駅から郡山駅まで、主催者の奥様の車で送ってもらう。
 「246キロ完走するのは、毎回1割。1人か2人。他の人たちは、SLに乗ったり会津のラーメン食べたり気ままに移動する人もいるし、何でもありがこの大会の特徴なの。」
 気落ちしている自分を励ましてくれた。
 早めに宿に着き、濡れた服や靴など乾かす作業をして、温泉に入った。
 午前の苦しさはどこへやら、誰もいない夕方の温泉に長く浸かってゆっくり休んだ。

☆2日目 猪苗代湖~新潟県三川温泉 104km
 2日目も朝4時スタートだった。雨は止んでいる。良かった。
 今日の目標は、54km先にある西会津道の駅。そこから先は電車がある。まずはそこまでがんばろうと思いスタートした。
 昨日の反省から、重くても小銭は多めに持った。予備の食糧と水もリュックの中に入れた。いつお店があるかわからない。水だけは切らさないように心がけた。
 ゆっくり走る。でもそれは自分だけではなかった。他の人たちも昨日の疲れからか、ゆっくり走っている人が多かった。
 国道49号、会津街道と走るが道に迷うことはなかった。スタッフが要所要所で待機していて、案内してくれた。
 走っている距離と時間を計算したら、1時間で5キロペースだった。キロ12分。歩いているのとそんなに変わらないなあと思いながらもそれ以上速くは走れない。ゆっくりでも走った。
 20キロあたりのエイドで、「道の駅まであと30キロ。行けるね。」とスタッフに言われ、「はい。」と返事し、この約束だけは果たしたいと思いながら走った。
 雨は降ったり止んだりの繰り返しだった。その度に雨具を着たり脱いだりの繰り返しだったが、次第に面倒臭くなり着たまま走る。
 10年以上前に買ったゴアテックスの雨具。
 すでに劣化しているのか、雨具の下も普通に濡れた。雨具の大切さをとにかく痛感した。
 午後2時、ようやく目標だった西会津道の駅に到着した。
 そこで、今日はここで止めますとスタッフに告げた。またもやビリでの到着だった。でも自分では目標のところまで走れたし納得していた。
 そして今日宿泊する旅館まで、また主催者の奥様の車で連れて行ってもらった。
 温泉に浸かり、最終日の明日に備えて布団の中でしっかり休んだ。

☆3日目 新潟県三川温泉~月岡温泉 42km
 最終日の朝も雨だった。
 5時スタート。残り42キロ。フルマラソン1本。前日までの自分のペースを考えると厳しいが、最後ぐらいは完走したいと思った。
 山道、登り下りの連続。1人抜かれ2人抜かれと次々と抜かれていくが追いつくスピードが自分にはなかった。ゆっくりでも走って前に進むのが精一杯。
 山道で水を補充できない。困った。民家はあったので、家の前にいた人にお願いしてペットボトルに水を補充してもらいながら走った。
 T地路があり、どちらに進むべきか迷った。すでにまわりに参加者はいない。自分一人。
 道に迷いそうな曲がり角では、いつも道に矢印が引いてあったのだがここにはない。
 ダムを一周すると聞いていたので、ダムと書かれている標識の方へ曲がり走った。
 どのくらい走っただろう。後ろから「プップッー」とクラクションが聞こえた。
 スタッフだった。
 「道が違うよ。」
 雨で矢印が消えてしまっていて、僕は道を間違えた。
 スタッフに間違えたところまで車で戻してもらう。このロスで、今日の完走は難しいと思った。
 途中のエイドに着き、エネルギー補充。どうやらダムはいくつかあるらしくて、僕は違うダムに向かったらしい。
 「ダムが一つだけとは限らないよね。」何気ない他の参加者の一言が、自分の心に突き刺さる。
 ダムを1周すると約10km。そこを周っていたら時間までにゴールできないというアドバイスを聞き、僕は42キロ完走という目標をあきらめて道をショートカットすることにした。
 「ゴールまで17、8キロだよ。このペースなら行けるよ。」
 スタッフから励まされ、残りを走った。両手にペットボトルを持って走った。あと少し、もう少しで終わる。そんな思いで走った。
 道をくねりながら走っていくと温泉街が見えた。
 「月岡温泉か?いやさっきのダムの件もあるし違う温泉街かもしれない。」
 大きな期待をせずにそっちに向かった。
 畑に人がいたので、聞いてみた。
 「あれは月岡温泉ですか?」
 「そうだよ。」
 「華鳳という旅館はどれですか?」
 「あれだよ。」
 目の前にあるひときわ大きな立派な建物だった。
 ゴールは華鳳。すごい立派な旅館だな。
 僕は華鳳に向かった。
 入り口で、スタッフが出迎えてくれた。
 「お疲れ様!」
 ショートカットしながらも無事にゴールできた。
 きれいなお姉さんがお部屋まで案内してくれた。建物の中も立派で竜宮城に来ている気分になった。
 幾つも露天風呂がある広い温泉に入った。
 「もう走らなくていいんだ。」
 放心状態だった。

 その後の宴会でもらった記録証。
 総距離246キロのうち、走ったのは127キロだった。
 それでも3日間でこんなに走ったのは初めてかもしれない。
 記録証は自分にとって宝物になった。

 3日間、ほとんど雨で自分と対話する時間がたっぷりあった。
 マラソン、温泉、宴会、それが3日間続いた。
 そしてとても立派な旅館華鳳でのゴール。
 「こんなに贅沢なマラソンは他にないですよ。」というキャッチコピーにひかれて参加した大会。確かにとても贅沢な時間を過ごせた。
 次にまた参加する時には、今回よりも長い距離を走りたい。
 そして華鳳に宿泊したい。

 大変だったけれど、この大会に参加して良かった。