ぬか漬けをつけるぬか床は毎日かき混ぜて新しい空気を入れないと乳酸菌や酵母のバランスが悪くなり、なすびや人参が美味しくならない。なすびや人参の味や香りをチェックして、すっぱい香りが強ければ、ぬか床に水と塩とぬかを足して調整する。
その話を聞いた時に神戸市議議会の政務活動費問題を思い出した。議員になられた方も初めから政務活動費を搾取しようなんて考えていたわけではないと思う。皆さん、それぞれの志を持って議員になられたと願いたい。それが徐々に議員としての志が薄れ、職業的な議員になり、私欲が勝っていったのであろう。その原因のひとつに議会に新しい空気を入れ込むようなかき混ぜがなされていなかったことが挙げられる。神戸市議会は約50年もの間、市長と自民党議員の管理下に置かれている。もちろんその体制で良かった時期があったのは事実であり、そのため体制へのチェックも甘くなってしまったのである。バランスの悪くなったぬか床に漬かりすぎたなすびと人参はすっぱくなりすぎて食べられたものではない。
3年前に起こった号泣議員の問題会見を見て、多くの議員は襟を正したように思われたが、その後も問題が続いている。彼の号泣した涙には塩分が少なかったのか、ぬか床を調整することはできなかったようである。いろいろ手を打ってもぬか床が調整できなければ、新たに作り直す方が早い。新しいぬか床はバランスを崩さないように、市民の監視を怠らないようにしたいと思う。