息災で! | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

源義光役の松原です。

「後三年記」、いかがだったでしょうか。義光は戦場に爽やかな風を吹かすことはできていたでしょうか!?劇中、暗い展開が続く中で自分が出るシーンは少しでも観ている人の心が休まったらいいなぁ…と思い演じていたのですが、終演後にそのような声がちらほらと頂けたのが何よりでした。。笑

義光は演出の千野さんから一貫して「少女漫画に出てくる頼れるイケメンチャラ男」「雅で風流」と言われていまして、正当な二枚目役なんぞこれまでやったことが無かった自分にとってはすごく難しい役でした。

加えて言葉使い、扇子、和装、殺陣…と気を使うべき部分が多々あり、稽古中はずっとヒィヒィ言ってた気がします。なかなか雅にならない自分を根気強くご指導くださった皆様には感謝感謝です。

そんな感じで演技面に関して長期間悩まされたこともあって、しっかりと義光と向き合えるようになったのは割と本番ギリギリでした。貴族でありながら親しみやすく、明るく真っ直ぐで義理堅い。義光にとってこの陸奥での戦はどう映ったのか。自ら望んだこととはいえ、敬愛する兄の指揮の下、身内で殺し合い、逃げ出した者さえ容赦なく斬り伏せるという、誇りも何も無い戦に身を投じて何を感じたのか。

全てが終わった後、やり切れない気持ちを抱えたまま、戦友である清衡に義光はそれでも明るくこう言います。

「だが源氏の執念を甘く見るなよ。いつかまた、この国を狙いにくるやもしれぬ。それまで、息災であれよ。」

この台詞が、義光を象徴しているようで自分は大好きです。義光としては陸奥を狙うつもりなんて無いでしょう。けれど「源氏」としてはそうはいかないだろうし、刃を向けることになるかもしれない。だが友として、どうか安らかであってほしいと願う。


いい奴ーーーーーー!!!


いや自分で言うのもアレですが本当にいい奴ですね。改めてこれ書いてて思いました。
(本編後、清原改め藤原氏が源氏によって滅ぼされているのがまた切ない…)

沢山ご迷惑もおかけしましたが、最後にはこんな風に少し語ってしまうぐらい(笑)義光を楽しく演じることができ、また初めての経験を数多くさせていただいた想い出深い公演となりました。お芝居ってやっぱり楽しいですね。

最後にはなりますが、ご来場くださった皆様、劇団員の皆様、本公演に関わってくださった皆様、この度は本当にありがとうございました!!