今回の個展のテーマは「謝」でした。
それは、私の周りの大切な人々を亡くしてしまった事がきっかけです。
こんなに多くの人が亡くなっているのに、なぜ自分は生きているのだろう?と自問自答する日々です。
毎朝、「今日も生きてた」から始まります。
テーマは生きている事に感謝の「謝」です。
10年以上前、大切な友人を亡くしてしまいました。
個展最終日、友人のお嬢さんが来て下さいました。
信じられませんでした。
友人との思い出が蘇りました。彼女の人柄の良さがお嬢さんに生き写しのようにそのまま現れていました。
まるで亡くなった友人に会えた気持ちになりました。
お嬢さんからお聞きしたところ、友人が亡くなって17年も経っていたのです。時の経過に驚愕しました。
亡くなったのは丁度このGW時期でした。
20年以上前、友人とはお嬢さんの弟さん(友人の息子さん)がうちの息子と同じ幼稚園に通っていて再会しました。友人は同じ芸大の先輩に当たります。
ある日、幼稚園のお遊戯会の舞台用の背景の絵が老朽化し新調する為、芸大出身の保護者である友人と私が抜擢されたのです。
幕絵を描くよう園長先生に頼まれました。
お遊戯会まで10日くらいしかない時に、5mもの幕絵を友人と二人で毎日一日中幼稚園の講堂で松葉目(松の木の絵)を描きました。
寒い講堂の床に縦2m横5mのキャンバスを敷いて二人で描きました。
幼稚園の日本舞踊の舞台に使われました。
その後春にかけてあと2枚の幕絵を二人で描き上げました。
友人とはその後アート関連など、ランチをしたり楽しくお付き合いしていたのですが、、
友人は数年経って病に冒され亡くなってしまいました。
お葬式には友人が描いた、平和を願う子供達の絵が展示されていました。
お嬢さんはフルートで「千の風になって」を演奏されました。
ご主人の心のこもったご挨拶も脳裏に焼き付いています。
そのフルート奏者のお嬢さんが今回個展に来て下さったのです。17年振りの再会です。
一生の思い出がまた一つ増えました。
個展のテーマである「謝」は、友人の事が大きいウエイトを占めています。
今回の5日間の個展で嬉しい再会や出会いが多くあり感謝の連続でしたが
最終日のこの再会が私にとって大きな大きな出来事となりました。
また明朝、「今日も生きてた」と思えたら
一日を大事に生きたいと思います。
個展に来て下さいました皆様、お越し下さらなくてもメッセージやメールをいただいた皆様、いいね!を押してくれた皆様、配信をご覧下さいました皆様、芝田町画廊関係者の皆様、本当にありがとうございました。
安本香織