JYANO-ME
ぐらりぐらり ぐらりと
火の山が轟く
天神様が通りゃんせ
響く祭太鼓
ふらりふらり ふらりと
風来坊が旅行く
飾り馬に葵時雨
白糸の滝つぼ
灯籠の夜
娘 一人
そぞろ歩く恋につかれた男なら
ひと目逢えば愛しかろ
隠して 隠して
水に落ちりゃ
引き寄せた手
帰る里に心 奪われたとて今
見える全て蚊帳の外
蛇の女(じゃのめ)と知るもよし
踊り踊れ 恋につかれた男なら
ひと寝すれば寂しかろ
眠りて 眠りて
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白糸の滝 (寄姫の滝
むかし木山の宮園に、兵部というたいそうな美男子がいた。
ある時、その兵部は白糸の滝という絶景の滝を訪れたが、あいにくの雷雨に見舞われ、小さなほこらで雨宿りをすることに。
すると、折からの夕立がぱたりとやみ、日の光とともに滝の上からひとりの娘が、するすると水の上をすべるようにして現れた。
娘はたいそう美しく、兵部は一目で心を奪われてしまった。
娘の名は寄姫といい、やがて二人はめでたく結ばれた。寄姫はまめまめしく兵部につかえ、楽しい日々が続いていた。
そんなある日、寄姫は家事の合間に織物がしたいと言い出し、それから寄姫は、夕刻になると度々どこかへ出かけていっては、重い機具をいっこうに重い様子もなく持ち帰ってくる。
兵部は召使に頼むようにすすめたが、寄姫はどうしても自分で出かけると聞かなかった。
そうして日々が過ぎるうち、兵部は同僚の武士たちから妙な話を聞いた。
「村のはずれの堤のところで、あるものが大きな火の玉を見た」そして、そのなかには、機具を持った美しい女の姿があり、その後をつけると兵部の家の前で消えたという。
他にも同じものを見たというものがあり、兵部は驚いて寄姫に問いただしたが寄姫は知りませぬと答えるばかり。
あやしく思った兵部がしばらく様子を見ていると、寄姫は丑の刻になるとすっと床を抜け出して行く。一度ならず、二度三度。
問い詰めると兵部に寄姫は、うつむいて何も答えない。
おこった兵部は、とうとう刀を持って寄姫の胸を一刺しにしてしまった。寄姫はたもとをひるがえし外へ逃げ出したが、出てみると誰の姿もない。
翌朝、兵部が召使をつれて点々と続く血の後をたどると、それは滝の上流の山腹へと続き、洞窟の前で絶えている。
中をのぞくと、そこには血を流して横たわる白い大蛇の姿があったそうだ。