バンクーバー・オリンピックが始まって二日目のこと。
何気なくテレビを見ていた私は、一番後ろにつけていた一人のスピード・スケーターが、みんなをぐ~んと追い越し、一位になってゴールインする姿を見て目が釘付け、思わず、『きゃ~! かっこいいこの子! だれ?だれなの?』と叫んでしまいました。

彼の名は、"Apolo Ohno!! とアナウンサーが叫んでいます。

しばらくして、また、彼の出番。
なんという滑り方。
かっこいい~! ほれぼれドキドキ

顔がかわいいとかいうよりも、あの滑り方、おお、サムライじゃ。


$けろっぴのブログ

あわてて彼のプロフィールを調べる。
なんと、オリンピックのメダル、六個の保持者。
アメリカ人でもたった四人しかいないそうな。
そして、一冬のウィンター・オリンピックで、メダルを三個取った記録もあるのだそうな。
(以下、Wikipediaより)

『アポロ・オオノ』
彼は、ワシントン州で1982年に生まれた27歳。父親は日本人で母親はアメリカ人、つまりハーフ。彼が赤ちゃんの時に両親が離婚。以来、日本人である父親の手で、シアトルで育てられる。

実の母親とのコンタクトはほとんどなく、あまりそのことに興味も示していないといわれる。父親は、ハイファッションのヘア・スタイリストで、"Yuki's Diffusion"というサロンのオーナーでもある。

父親は、毎日12時間以上も働かなければならなかった為、かぎっ子のアポロ君をデイケアに預けていたが、学齢期になる頃、何かに集中させようと、6歳の時から競泳やローラースケートを習わせた。後に、朝は水泳、学校に行った後はインラインスケーティングの練習をするようになる。

12歳になって、ワシントン州のチャンピオンシップで、平泳ぎのチャンピオンになるが、彼はインライン・スピード・スケートを好み、13歳になる頃までには、コンピティションのない週末は、年上のティーンエイジャーたちとのパーティに出たがるようになる。(遊びまくっていたのね。)

のちに父親は、『アポロの自立したい気持ちと、若きアスリートとしての才能を伸ばすことのバランスをとるのに苦労した』と述べている。

ここまで読んで、私は思わず涙してしまった。
お父様のご苦労とその思いがじーんと伝わってきたようだった。


なぜそこまで?

なぜなら、我が家のこどもたちも、この国で育ち、親がアジア系ということで、少なからず差別を受けたこともあり、同じような境遇でなければわからないであろう苦労を感じたことがあるからだ。加えてアポロ君のオタクは父子家庭。どんなにご苦労されたことであろう。

だから、アポロ君のあの、ガッツのある態度、『カッコいい~!』と思ってしまう。


加えて、2002年のソルト・レイク・シティオリンピックの時は、こんなこともあった。

1500メートル・レースの時のこと。韓国のkim Dong-Sung という選手が、一番にゴールを切ったが、滑走中にアポロ君をブロックしたとのことで、金メダルが失格となる。当時その場にいた選手等が証言したりいろいろもめたが、結局このことで、韓国のKim Dong-Sungがアポロ君に対して怒りをぶつけることとなり、抗議のメールで、オリンピック協会のEメールサーバーがパンクしたり、『殺してやる』との手紙までが届いたという。日本人の血を引いているということも、関係していたらしい。

それに対してアポロ君、『僕はアメリカのアジア人の文化の中で育ってきた。韓国人もまわりにいた。韓国人の親友だっている。なぜここまで僕が槍玉にあがるのかわからなかった。あとになって、こういったことは、一部の人間から出てきたことで、スポーツとは関係なく、政治的な背景から来ているのだと理解した。』と語っている。 左クリック


2003年の韓国で行われたワールド・カップでは、安全を考慮して、参加しなかったというエピソードまである。

2005年のワールド・カップでは、やはり、殺しの脅迫があったため、厳重なセキュリティをつけ、韓国に行ったという。

最近ではその誤解もだいぶ解け、昨年の10月のワールド・カップにはアポロ君も参加し、少なからず韓国のファンもいたらしい。『僕はスケーターとしてすべるだけだ。』  左クリック


"Dancing with the Stars"という番組で勝ったりして、ハリウッドでも少々有名になったアポロ君だが、『僕は、アフター・オスカーのパーティにも出席して、ハリウッドの人たちと一緒にいたけど、こんなことばかりしていたら、簡単に流されていってしまう気がした。楽しい経験を拒否する理由はないけれど、僕は、なぜ僕がここにいて、何をしようとして、僕が達成しようとしているゴールは何かをわかっていることのほうが大切なんだ。

ね、かっこいいでしょう~? ほれぼれ...酔っ払う


今日この話をともだちにしたら、『あは、かなりミーハー!』と笑われてしまった。スマイリー

やっとリンクが貼れるようになったと思ったら、思うところに貼れませぬ。
お許しを。もう少し修行が必要...