サバンナの風のブログ
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道普請人ケニア2016年初頭物語

みなさま。2016年おめでとうございます。


前回以来ご無沙汰と筆不精が過ぎてしまいました。すみません。
これからは御支援頂いているみなさまにもっともっとケニアの物語を御伝えできるよう励む所存です。


2016年初頭にあたり、まずは、道普請人とケニア政府との現在のやり取り状況から物語をはじめます。


交通インフラ省と農村道路公社が道普請人と直接係るケニア中央政府の国家機関です。
道普請人ケニアは現在までに「土のう」を使って道路を補修することができる若者4,500人をケニア社会に供給しています。
これに答えてくれる意味合いでインフラ省は2015年に「土のう」訓練済の若者を120人ほど「人力道路補修請負業者育成コース」で学ばせるための費用約26,000,000万円を拠出してくれました。
今年は190人分の費用約43,000,000万円の拠出をインフラ省にお願いする予定です。


また、交通インフラ省は「土のう」技術による道路補修を請負業者に発注できるように仕様標準書を作成中です。
この作業には道普請人ケニアのエンジニアも参画しています。

地方分権が進行しつつあるケニアで未舗装地域道路の補修を農村道路公社と分け持ちしているのが47の郡政府、カウンテイ・ガバメントです。
道普請人ケニアは現在までに15のカウンテイで若者への「土のう」訓練を実施してきました。


今年2016年はウガンダとの国境にあるブンゴマ郡、タンザニアとの国境に位置するカジアド郡、タイタ・タベタ郡、ケニア山の山麓にあるエンブ郡の4郡で若者16グループ400人に「土のう」訓練を実施します。


「土のう」の道直し訓練は職業訓練、若者の雇用の創造の意味合いでも驚異的効果をあげています。
道路建設業を起業している「土のう」訓練受講生OBから今年(新年)報告のあった工事受注二例は次のとおりです。


会社名:ドノウ・テクノロジー・カンパニー (冗談でなく実名です)
発注者:ニャニュキ・ハイスクール     :受注金額   380万円
発注者:ランガス・プライマリー・スクール :受注金額   130万円
発注者:エルドレット・ポリテクニック   :受注金額    60万円
                      受注合計金額 570万円 
会社名:レースシャイン・カンパニー
発注者:ウアシン・ギッシュ郡政府     :受注金額   300万円
発注者:ウアシン・ギッシュ郡政府     :受注金額   170万円
               受注合計金額   470万円 


道普請人ケニアのプロジェクトに助成を頂いている機関や会社名とその活動内容は次のとおりです。


日本国外務省さん。
2016年には下の地図中で緑にハイライトされている四つの郡で16グループ400人の若者に「土のう」の道直し訓練を実施しケニア中央政府、カウンテイ政府との協働で若者グループを道路補修請負業者に導いて行きます。
私ども道普請人の理事長である京大の木村先生の指示で今年からは「土のう」訓練を実施する近隣の小学校への出前授業を始めます。
道路がいかにたいせつな公共のインフラであるか、道路を大切にしなければならないなどの公徳心を幼年期から涵養していくための出前授業を始めます。
この活動の第一歩に在ケニア日本大使館の森美樹夫公使との話し合い中で出たアイデアである道路や公共の場にごみを投げ散らさない環境に優しい心持の涵養も付け加えて行く予定です。
寸劇や紙芝居、チンドン屋さんのなりで幼いアフリカ人の道徳心に火をつけようとするものです。


国連ILO:国際労働機関さん。
2016年2月~3月にソマリアのバイドアで5グループの帰還難民125人に対する「土のう」の道作り訓練を実施します。


トヨタ自動車さん。
2016年1月から2017年12月の期間でケニアの五大水源の一つであるマウ・フォーレストの森林保全活動を地域住民と協働で実施します。


2016年1月13日にピース・ウインズ・ジャパンのケニア駐在員の谷本さんが喜ばしいニュースをもたらして下さいました。

「ツルカナでピース・ウインズ・ジャパン、国連ハビタット(人間居住計画)、国連HCR(難民高等弁務官事務所)と道普請人ケニアが協働して6万人の難民が居住できるセトルメントを作り上げませんか」という嬉しい話です。
5km x 3kmの広さの乾燥サバンナに南スーダン人とツルカナ人を訓練しながら「土のう」の道を作り、多少の農業訓練もやらして頂けるかもしれないお話です。


最終決定はまだされていませんが、2016年4月頃から始まるかもしれない夢物語です。


以上、2016年1月18日記


喜田 清


国連ILOと道普請人ケニアの新たなチャレンジ物語-その1

みなさま。

今回、道普請人ケニアは、おっかなびっくりの冒険に乗り出すことになりました。というのも一般的に治安が安定していないと言われているガリッサ郡をILOがプロジェクト対象地域に選んだからです。ILOさんは大切な顧客・パートナーです。尻込みしていてはNGOビジネスが成り立ちません。

下の地図のとおり、ガリッサ郡は内戦の続いているソマリアと国境を接しています。郡の住民の大多数はソマリア系ケニア人です。国境にはフェンスもないので相互の往来は比較的自由です。時にはアルカイダの流れをくむアル・シャバブと呼ばれるゲリラの人たちが越境し郡都のガリッサの町で爆弾攻撃をするのが問題です。また、伝統的にガリッサに至るハイウエイは山賊が出ることで有名です。




ナイロビからガリッサまでは約400㎞です。ナイロビからテイカ、ヤター、マツー、ムウィンギ、ウカシの町を経由してガリッサの町となります。テイカの町を過ぎると交通量が激減して時速100㎞を超すスピードで走行することができます。

今回のガリッサ入りに際しILOはコンボイ(車列)の安全確保のため、三人のライフル銃を持つ警察官の乗ったランド・クルーザーをチャーターしました。



乾燥サバンナを切り裂いて走るガリッサ街道です。前々方のランド・クルーザがILOがチャーターした安全確保のためのエスコートです。

アカシアの疎林がどこまでも続く単調な景観に突如バオバブの木が現れました。汗ばむ理由がわかりました。バオバブの木が現れるのは標高が800m以下になっている証拠です。赤道の走るケニアは熱帯アフリカ。標高が1000m以下のところで太陽が照ると暑くて汗ばみます。




ガリッサ街道に現れてきたバオバブの木です。低標高で高温の乾燥サバンナに生えている大木になる樹です。

その2につづく




国連ILOと道普請人ケニアの新たなチャレンジ物語-その2

その1からのつづき

ケニアで遊牧と言えばマサイ族。サンブル族。ツルカナ族。ポコット族ですが、乾燥サバンナに住むソマリア人も遊牧系の民族です。


ガリッサ郡のような半砂漠的な高温の低標高乾燥サバンナに向く遊牧動物はラクダです。キリンと同じようにアカシアの木の葉を食べて生きていける粗食に耐える動物です。ソマリア人はラクダに乗る習慣を持っていません。背の高さからラクダが主人で人が従者のようにも見えます。

郡都のガリッサの町では、ILO/COREプロジェクトYouth Employment for Sustainable Developmentの実施について 郡政府と中央政府派遣の関係職員とすこぶる丁寧な協議と折衝を繰り返し行いました。全体会議的なワークショップも行い、若者15グループ、各グループ30人、総数450人に対する「土のう」による道路補修訓練計画について周知徹底をしました。訓練生のリクルート委員、プロジェクト運営主導委員などを選出しました。

協議の結果、ファフィというところにある国連コンパウンド、ダダブにある国連コンパウンド、ガリッサの町からタナ川に沿ってインド洋側に下ったところにあるマサラニという町とガリッサの町の4か所が「土のう」訓練場所になりました。




ガリッサ郡への表敬訪問風景です。左から道普請人ケニア職員キニュア、郡外交大臣Ms. ラーマ、郡連絡官Mr.アハメッド、ILO小笠原さん、ILOエンジニア・キダヌ、郡職員、道普請人ケニア職員コリンスです。

今回のガリッサ入りで気になったことは郡政府職員と中央政府派遣職員が随所で漏らした「当地域の若者は肉体動労をしたがらない」というつぶやきです。

訓練対象の若者の勤労意欲の問題、訓練地の安全確保に不安がある問題、国連ILOの通称ガリッサ・プロジェクトは大きなチャレンジを抱えての船出となっています。

2014年5月20日記


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