以下はグロービス大阪校 スタッフブログに書いたものを転載しています。
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ここ最近、新聞、雑誌、ネット上、そしてリアルなセミナーや多くの企業の現場に
おいても、『女性活用』というキーワードを耳にする機会が格段に増えました。

いちおう私も『女性』であるのですが(笑)、この言葉、そしてそのための企業の施策、
と言われるものを聞くたびに、実は少し違和感を覚えています。
なぜか?多くの場合は、それらはその企業の特性や女性側の事情や気持ちを
無視して、全て一緒に議論され、最後はだいたい女性管理職比率向上と
いったところに落ち着くからです。

そもそも、会社の規模、業種、職種、ステージ、文化などによって求める
ワーカー像は異なります。ここでは女性云々という前に一個人として、
どのような人に適した職場か、どのような人に働いて欲しい職場か、という話が
あって然るべきなのに、一足飛びに『女性活用』施策に最後は行きつくのです。

男性、女性という区別ではなく、個人の価値観としての差として、社会には
「ガンガン働きたい人(=仕事が人生の中心に位置づけられる人)」、
「そこそこ働きたい人(=仕事もプライベートも同じぐらいの比率でバランスを取りたい人)」、
「最低限働きたい人(=仕事はあくまでもお金を稼ぐ手段として位置づけられる人)」
の3つのタイプの人がいると思います。

その中で男性と女性と唯一異なるのは、子どもを産めるのは女性しかおらず、
十分な社会インフラが整っていない今の社会においては、産んだ後の育児もある程度、
結果として女性に負担がかからざるを得ない現実がある、ということです。

さらに女性の中でもそもそも「子どもが欲しいかどうか」ということや、
子どもを持った後は、
「子どもが小さいうちもできるだけ早く仕事に復帰したい人」、
「子どもが小さいうちはできるだけ長く子どもと一緒にいたいため、十分な育児休暇を取りたい人」、
「いつかは仕事を再開したいが、子どもがある程度大きくなるまでは、家にいたい人」
などと価値観レベルで差があり、同時にパートナーや他の家族の理解や協力のレベルに
よっても状況は異なるでしょう。

結果的に、これらの組み合わせで企業も考える必要があります。
自分たちの会社規模、業種、どのような職種の人が多いのか、などによって現実的に
企業が対応できることも異なってくるでしょう。

その上で、企業はどういう価値観の女性が自社には多いのか、そしてどのような女性に
さらに活躍して欲しいのか、そのためにはどのような施策が望まれるのか、
というように考えていかないと、的外れな施策に時間や労力を使った上に
誰も幸せにはならない、ということになってしまいます。

場合によっては、今後の採用戦略から見直すことにもなるでしょう。

男性や女性という区分ではなく、個々人が望むキャリアを実現する、という柔軟な考え方での
人事システムがこれからは求められるのだと思います。

個人の価値観、そして働き方も多様化していく時代、それぞれが自分らしいキャリアを
選択できるようになれば素敵だと思いますし、そういう社会を作っていきたいものですね。

2013年5月10日に東洋経済新報社から『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』を上梓いたしました。

旅行会社、人材サービス会社を経て、グロービスにジョインして12年間、私はおそらく数千名のビジネスパーソンと出会い、キャリアの相談を受け、そしてその後転職されたり、社内異動されたり、はたまた起業/独立されたりする姿に寄り添ってきました。

キャリアとは人生そのもので、何が正解かはなく、また全員にとっての絶対的に良いキャリアというものもなく、個々人が自分の心と向き合い、自分にとっての良いキャリアを定義し、それに近づけるように努力するわけです。

その中で、自分自身の価値観が見えず、ついつい他人や世間一般の価値観が自分の価値観と勘違いしてしまい、間違った方向へ歩んでしまったり、立ち止まってしまったり、自分はダメだと負い目を感じてしまったり、いろんな悩みを抱えながらも、どうしたらいいのか分からず、焦っているビジネスパーソンの方が多いのも現状です。

さらには、様々な技術が開発され、インターネットによって世界が繋がり、ビジネスを取り巻く環境は激変し、10年後、20年後の世界を予測するのすら難しい時代に私達は生きています。

このような状況下で、あまり深く考えることがないままに時間が過ぎて、もう大きな変更ができないぐらいの年になってしまってから、

 「しまった。。。あの時、もっとちゃんと考えていればよかった。。。」

と後悔してしまっている方も特に年配の方の中には多いはずです。

今回上梓した本では、ご縁があった皆様が、将来このようなことがないように、できるだけ早いタイミング(出合ってくださったタイミング)で、少しだけ立ち止まって自分の歩む道について、一本しかないわけではなく、努力次第では何本にでもなり選択肢があることを理解し、落ち着いて自分のことを考え、必要な努力をし、そして選択しながら、後悔のない人生を歩んでいただきたいという思いから書かせていただきました。

●自分はこのままでよいのだろうか?
●一度ゆっくりキャリアについて考えたい
●将来が何となく不安

というような方には、きっと何らかのヒントがあるかと思いますので、ご一読いただければ嬉しいです。また後輩や部下のキャリア相談にのられる方も参考にいただけるかと思います。

また本は一度読むと終わりとなってしまうことも多く、実際にワークシートを埋めてみないと、自分のことは見えにくいため、今回は同時に空き時間にワークシートを埋めながら、自分のことについて考えていただけるようにと、スマートフォンのアプリも作りました。本とセットだととても効果的ですが、アプリだけでも使えるようになっていますので、是非お試しください!無料です^^

「今」という時代は、変化を楽しみながら、謙虚に自分を磨き続けることができる人が活躍できる時代だと思います。本書とご縁があった皆様が後悔のない充実した、そして何よりご自身が納得される人生を歩まれることを心より祈っています。

【グロービスキャリア戦略アプリ】
iPhone版: https://itunes.apple.com/jp/app/id641498581
Android版: https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.globis.android.careerstrategy
グロービススタッフブログからの転載です。

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先日、グロービスのMBA生の方々と

 リーダーに必要な究極の能力は一体何なのか?

というディスカッションをする機会がありました。
いろんな意見が出ましたが、多かったのは「コミュニケー
ション能力」です。

とはいっても、この言葉はあまりにもビッグワードで人に
よって、思い浮かべるコミュニケーション能力の定義は
違うはずです。

というわけで、改めて私なりに考えてみました。


ビジネス上のコミュニケーションは1対1、或いは1対多、
多対多で行われますが、シンプルに考えるために、ここでは
前提を1対1の場合で考えてみたいと思います。

そもそも、コミュニケーションには常に目的があります。

1対1のコミュニケーションの際の目的は、だいたい大きく
2つ、何らかの意思決定に関するものと、「最近どうよ?」的な
相手の様子を理解するためのものに分かれるのではない
でしょうか。

(続きはこちら)
http://mba.globis.ac.jp/blog/osaka-staff/126.html