今日は、阿波加茂にある祖父母のお墓へ結願の報告をした後、高野山町石道の入り口がある九度山まで行きます。

夕方までに九度山に着くには宿を4時にでなければいけないのですが、遅くなったら大阪の難波で泊まっても良いと考え、5時50分に出発。

宿の女将さんに教わった通り、県道と337号線、193号線を経由して22km先の穴吹駅まで歩きます。

結願の後は、1番の霊山寺に行かれる方、その足で高野山に行かれる方、一旦帰られる方
など様々ですが、私のお遍路は、祖父母のお墓参りから始まりましたから、最後もやはり阿波加茂です。

私にとっては、祖父母のお墓は別格の札所であり、ここが結願の場所でもあります。

標高445mの大窪寺周辺は、かなりの寒さで霜が降りていました。



列車に間に合うようどんどん歩いていくのですが、どんなに歩いても身体が全く暖まらず、手足が冷たくて感覚も鈍くなってきました。

4時に出発しなくて本当に良かったです。

もうあと7kmという地点で、寒さを紛らわせる為にスピードを上げたり、歌を唄ったりしながら歩いていると、民家に止まっていた車からおじさんが出てきてお声をかけて下さいました。


私が穴吹駅を目指していると知ると、なんと車で送って下さるとおっしゃるのです。

もう即答で甘えさせて頂きました。

おじさんが車のエンジンをかけると、長渕剛さんの「トンボ」が流れてきました。

おじさんはこの歌が大好きで、仕事で辛いことがあっても、この曲を聴くと「よし、また頑張るぞ」という気持ちになるのだそうです。

日常の中で皆それぞれの遍路道を歩いています。

おじさんは、駅までの間「お遍路さんを送れるなんて本当に有り難い」と何度も繰り返しおっしゃって下さいました。

ここにも仏様がいらっしゃいました。
本当にありがとうございます。

お送り頂いたお陰で一本早い電車に乗ることが出来ました。

阿波加茂駅からはタクシーでお墓へ。

途中で購入したお花とお酒、和菓子などをお供えし、納経帳も並べました。





お祖父さんにはお酒、お祖母さんにはカーネーション。

顔も知らない祖母と、一度お会いしただけの祖父。

一緒に過ごした時間はありませんが、お遍路中は何度も祖父母のことを思い、言葉のない対話を重ね、濃い時間を過ごすことができました。

静かな心で、札所でのお作法と同様にお経をあげさせて頂き、再びタクシーで阿波加茂駅に向かいました。

電車と高速バスを乗り継ぎ、九度山の民宿「龍王亭」には夕方5時30分に到着することができました。

九度山には2件の宿があり、一件は空室がなく、龍王亭は当日のキャンセルが出たので運よく泊まることが出来ました。

後で知ったのですが、4月2日から高野山では開創1200年の記念大法会が行われ、どの宿坊ももう予約で一杯とのことでした。
その前に来ることが出来て本当に良かったです。

明日は高野山町石道を20km歩き、高野山の宿坊に泊まります。