デニーロ・ゲーム
住み始めた頃から、東京のこの新しい町で夏を感じるのをずっと楽しみにしていたんだけど、今日は目の前がより鮮やかに映りました。
雨上がりの空に、蝉が思い出したように鳴き出して、
湿った商店街には、おばあちゃんが八百屋のよこを手押し車を引いてゆっくり品定めをしていて、
犬を散歩させる人を、子供を抱いて帰るお母さんを、自転車が切り抜けてく。
急ぐ人はいない。
平和だとおもった。
そして、もしかしたら
この町に、砲弾が降り注ぐ
タバコの吸い殻と、整ったコンクリートの代わりに、地雷が落ちている
救急車のサイレンは近づくことも遠のくこともなく、轟音と叫び声が無法に鳴り響く
一冊の本を読み終えて、そんなことを想像しました。
デニーロ・ゲームという本。
一万の砲弾が降り注いだ街。
いろんな思想、文化が混在するレバノン内戦下のベイルート。
かつては バイクを走らせて、カジノで金をくすねて、狩猟に行った、2人の少年のお話。
不条理な世界で、憎しみが憎しみを産んで、殺戮のあとで気付くのは、
リボルバーを回して引き金を引いて思うのは、
"僕はただ鳥を狩りたかっただけなんだ"
ってこと。
日本では考えられないほど残酷。
そしてとても幻想的な表現だったので、この世界観からなかなか抜け出せないかも。
当たり前のことを当たり前に思わない感覚を大事にしたいな。
わたしも、世界も、少しでも優しくなれますように。