amazing sky | 片平里菜 OFFICIAL BLOG「amazing sky」Powered by Ameba

amazing sky

ついにみなさんにひとつのアルバムをお渡し出来る日が来ました。

音楽の道を志した15の頃から、やっとやっとたどり着いたひとつの通過点です。

十代の頃のこと、震災のこと、愛のこと。

街行くカップルを羨ましいとも思わずに、お洒落な女の子を横目に、

普通の女の子である前に、まず人としてどうあるべきか。

歌うためならなんでも注いできたつもり。もちろん寄り道もたくさんしたし、演奏に関しても未熟だけど、わたしなりに。


それと正直もどかしさもあります。このアルバム収録曲のほとんどは音楽活動を始めたばかりの初期曲だったり、ちょっと前の曲だから。

ただ、ファーストアルバムでは10代、中高生、同世代のみんなに響くものが作りたいと思ってました。

大袈裟かもしれないけど、わたし自身10代の頃に音楽に救われたから。

それからたぶんだけど、あのとき感じてたものは、大人になって心の底に沈殿していただけで、いつまでも鮮明で変わらないものだと思ってます。

記憶の沸点を、いろんな世代のかたに楽しんでもらいたいです。



まだまだいろんなもの作っていきたいけど、

この一枚はほんとうにたくさんの方に協力してもらって作り上げたものだから、

わたしにとってずっとずっと宝物。


こうやってたくさんの人に望まれてアルバムをリリース出来ることが本当に幸せです。



ナタリーさんで手書きの全曲解説を公開していただきましたが、改めてこの場所にアルバムの思いを残します。


1.夏の夜
18の夏のおわりに出来た曲。
不安で孤独でいつも自分の居場所がどこなのか葛藤していました。
眠れない夜に夜空を見上げて、ギターを手に取って、わたしはやっと自分の世界を手に入れたような気がして。そこには誰も知らない自分がいて、そして真上には無限が広がっていました。
閃光ライオット2011で審査委員特別賞を受賞するきっかけになった曲でもあり、メジャーデビューシングルにもなって、この曲のおかげで自分の声がたくさんの人に届きました。歌いながら、聴きながら、こみ上げてくるあの感情は大人になってもいつまでも忘れてはいけないものなのかもしれません。今では原点回帰をしているような気持ちになります。


2.tiny room
高校の頃に振り返って曲にしたわたしの中学校時代。
3、40人が過ごす教室では言いたいことも言えなくて、反抗することでしか親に甘えることが出来なくて、本当の自分はただ押し殺すしかない。そんな冴えない相変わらずな日々に、密かに夢はどんどん膨らんでいった。わたしが唯一自分らしくいられたのは、音楽を聴いている瞬間、歌っている瞬間、我を忘れて無心になっている瞬間。学校やあの頃見ていた窮屈な世界から抜け出して、4畳半のちっぽけなちっぽけな自分の部屋で自由を見つけました。

部活が終わったら誰よりも早く帰って、自分の部屋に逃げ込む。週末は地元のCDショップへ行って物色する。友達と遊ぶよりとにかく音楽に夢中でした。ちなみにこの曲はお父さんのお気に入りだったような。部屋でこの曲を作って練習していたら、一階からお父さんがやってきて"なにそれかっこいいね!ギターおしえて!"って。感覚がすごく若くて面白いお父さん!


3.HIGH FIVE
アジカン山田さんプロデュースで素敵に化けました。
ギターのリフから作って、そこからなぜか”言われたととおりにやるなんて なんか面白くないじゃない”ってフレーズが出て来たので自由奔放で解放的な曲にしようと思いました。ここでもまた自由って単語が出て来てしまったけど、この曲で言ってる自由は、型にはまらずに自分の意志を持つこと。敷かれたレールから飛び出してしまえば、もう誰のせいにもできないし負けそうになるけど、それでも自分の道を進むことで、振り返れば昨日まで積み上げて来たものは偉大。結局自己啓発な内容に。
high fiveはハイタッチっていう意味だけど、義理堅い握手よりこのラフな感じがしっくりきました。


4.女の子は泣かない
女の子が涙を拭いて輝くための魔法のうた。
危ない恋に落ちてしまったり、慣れないことにつまずいてしまった日には
頑張ろうと思えば思うほど、空回りして
我慢すればするほど、涙なしじゃいられない。
でも、あなたみたいな奴のために泣いたりしない。
涙は自分自身が強くなるため、明日笑顔で輝くため。
心から愛する人のために、泣いていたいの。
島田さんに編曲していただいて、女の子のブルーな気持ちが軽快でキラキラしたポップソングに成長しました。
そしてこの曲は小学校からの大好きな友達の話が題材になっていて、今もたまに会ったりするとわたしなんかよりずっと大人っぽくてキラキラしてて、いつも楽しくて頼りになる存在!むしろ私のほうがめそめそ恋愛の相談をするくらい!ありがとう!だいすき!!


5.あなた
何故人は身近で大切なものほど忘れてしまうんだろう。
震災があって少し経って作った曲ですが、このテーマは"夏の夜"を作り出した頃よりもっと前からあったもの。孤独と向き合えば、優しさに気付いた。悲しみの湖を覗けば、ぬくもりに触れた。当時のわたしの言葉で言うならそれは、恥ずかしくなってしまうほどのべたな愛です。映画のようには上手に愛を語れないけど、いつだって"あなた"という存在を、綺麗な空の中に、誰かの会話の中に探してる。そんな大切な存在に気付きたいし、見つけたい。

出来上がってすぐ携帯のボイスメモで録って、リビングにいたお母さんに"どう?"って聴かせました。聴き終わって、"いいんじゃない??"って可愛い笑顔を向けて来たおっかあ。
これも愛かな。あなたの歌かな。


6.teenage lovers
十代の恋人同士。永遠を信じていられた、そんな無邪気な恋は、大人になるほど壁に衝突していく。きっと乗り越えていけるはず、何度も気持ちを確かめ合って、縋り付くけれど、彼女が出した答えは"好きな気持ちだけではどうにもならない"ということ。今だけに見とれていた恋人同士。
無垢でいられる時間は限られてる。
あの頃。あの瞬間。みんなどんな恋をした?
コトリンゴさんのピアノにうっとりして何回でも聴きたくなる。


7.CROSS ROAD
渋谷の路上。
クラクション、広告、キャッチー、バスの発着、行き交う喧騒
かき消されそうになりながら、駅前でギターを弾いて歌っていた頃のこと。
不安、期待、嬉しい、悲しい、怖い、知りたい、見えない、信じたい
この街は、当時18だった私の感情の交差点。
邪魔しないで、騙したりしないで、優しくしないで ただ立ち止まって、そこで聴いて。
強気でいないと怯んでしまいそうな大都会。
なんだろう、渋谷がすきです。

いつだかクリスマスの日に歌ってたら、サンタさんだかトナカイさんだかが律儀に千円札をギターのケースに落としてったっけなぁ。笑


8.Hey boy!
これはふざけながらあっという間に出来た曲。
好きな男の子が他の子と楽しそうにしている姿を見て、友達とふざけて廊下にある赤い消火栓に八つ当たりをした記憶があります。笑 そんな気持ちを思い出して、はじけた学校生活を想像してみました。曲のなかの女の子はどっちかというとふられた側なのにポジティブパワー全開。もう、吹っ切れたい!っていうときに聴いたらスカッとしそう。エッジの効いたギターロック。

ライブではコール&レスポンスして遊んで盛り上がります。


9.Oh JANE
"たまには乱れてみたい"から歌が始まったり、語尾がきつい口調だったりで、わたしのお腹から出てきてると思うとちょっと衝撃的かもしれないですが、ただちゃんと愛してほしいだけ。
女性はきっと男性が思っているより感情的なのに、男性の抱いてる幻想に付き合わなきゃいけない。
アイドルが求められてきたこの時代にそんなことを感じます。なのであえてヒステリックで媚びてない歌を打ち出します。
Mary Jane 愛されるためには可憐であること。
J.I. Jane 愛するためには逞しくあること。
花は枯れてしまうけど、慈悲深い女性ってどんどん美しくなる。
この曲と亀田誠治さんとの相性はばっちりだと勝手に思ってます。


10.心は
さあ帰ろう、いらない荷物はここで降ろして。
もしかしたら多くを求めすぎて大事なものを見失ってしまったのかもしれない。
あのとき感じた大震災のあとの空気を、歌のなかに吹き込みました。
震災があった年のお盆に、母親の実家の福島のいわきへいつも通りお墓参りをしに。
途絶えそうな蝉の鳴き声も、秋に衣替えする空も、2010年までとは比べ物にならないほどに儚く、そして生き生きしていました。
悲しみが沈んでいく場所も、喜びが溢れ出る場所も、おんなじところ。心は。
hawaian6の安野さんに儚く力強い楽曲にしていただきました。


11.Come Back Home
福島と東京。同じ道を通っているのに、上り線と下り線では全く景色が違って見えます。
学生の頃は早く上京したいと思っていたのに、地元に対する愛着はどんどん強くなりました。
忘れたい、忘れられない、思い出したくない、思いはさまざまだけど、わたしにとっては”忘れたくない”です。
あたたかく見守ってくれているHomeに寄り添っていたい。最近どうなの?元気でやってるの?福島、東北のみんなが頑張ってるからわたしも頑張ってるよ!
そう、胸を張って言えるようになりたい。そして今ではわたしの曲を好きでいてくれている人にも同じ気持ち!


12.amazing sky
ねえ、ママ。いつ帰ってくるの?
孤独な空に知らない国の乾いた子供の瞳を映した。
悲しみに打ち拉がれて、居場所をなくしても、
表情を変えながらただそこに広がってる空を見て、
自分より苦しい誰かのために生きたいと思った。
18の頃から大事に歌って来た歌で、震災以降は東北を想って歌うようになりました。トシロウさんがしてきた活動やその精神にずっと共感してきたので、OAUさんとの制作はものすごく貴重な時間でした。


13.始まりに
最後に、始まりに。
デビュー前に、アジカン山田さんに初めてプロデュースしていただいた曲。
この曲が今の私にとって大事な出会いを沢山引き寄せてくれました。
迷いも不安も音に乗せて、前に動き出せますように。
わたしにとっても、曲を聴く誰かにとっても。

始まりの合図だ。






たくさんのひとに届きますように

誰かひとりの心にずっとずっと残りますように

最後までありがとう!!