大利根名月座・番頭ののりまつでございます。お久しぶりの更新となります。

前回の更新から今までの間も、大利根名月座は休む事無く巡業しております。
今回思いついたように再開しましたのは、とある依頼人の方から「ブログ読ませていただきました」と嬉しい報告をいただきまして、これは書かないわけにはいかないな、という事になったのでした。
近況方々、書かせていただきます。



新しい旋風!?


前回「新しい旋風」と申しました。
実はあの記事の後、新メンバーがデビューしたのでした。

宝の山の麓に産まれ、翡翠の海に魂磨く。
魂も珠なら身も玉で、五尺に満たぬ背の丈。
身は小さくとも心は大海、凪いでも時化ても笑顔で進む
その名「みかん」と発します!

・・・がデビューしました(笑)受け持ちは「すまいる」と「鳴り物」です。
・・・お察しのように、音楽に関しては特技がありません。しかし最も重要な「おもてなしの心」に「機転のよさ」があり、そんな人が鳴り物を持っただけで「音の厚み・広がり」が出るのです。大利根名月座、パワーアップしました!



みかんちゃん、デビュー公演はどうだったかな!?

予告どおり、むさしの青年寮様に伺いました。振り返れば1年10ヶ月も前のこと。しかし鮮明に覚えております。
大利根名月座の洋風ダンスナンバー「オルフェのサンバ」で、しらゆきは鍵盤ハーモニカ、のりまつはギターで、メロディ・リズム・ハーモニーを作り出していましたが、サンバというからにはやはり打楽器が欲しかった。そこに今回、みかんの太鼓(琉球太鼓)が入った結果!

ハーメルンの笛吹き状態に!!

どういうことかというと、盛り上がって席を立った利用者様たちが、歩きながら吹くしらゆきに着いて回り、会場内にパレードの列が出来上がってしまったのです!のりまつは座ったまま弾き、リズムを壊さないように務めましたが、太鼓があるおかげでその労力は半減、ノリを作る方に専念できたのです。そして太鼓が聞こえているから、遠くに歩いていってしまったしらゆきにもリズムが届き、演奏が破綻する事は皆無。
会場がまさに一体となって、サンバパレードが出来上がってしまったのでした。たのしかった!



その後の巡業


埼玉県本庄市内のデイサービスや東松山市の病院・グループホーム、知的障害者施設にサービス付き高齢者住宅、そして茨城県鹿嶋市にも出向いております。またデイサービスセンターアイル様やながい寮様、安誠園様にもリピートをいただいております。

そして8月4日、秩父市の「ケアハウス藤の郷」様にご依頼をいただき、つねとしと行って参りました!



藤の郷巡業


今回はしらゆき・つねとしとのりまつの3人で伺う予定でプログラムを作ってまいりましたが、しらゆきが前日に体調を崩し、急遽二人での公演となりました。

ちんどん太鼓が欠場したことで、いつもお決まりの「とざいとーざい~」という口上ができず静かなスタートとなりました。利用者様方には残念な思いをさせてしまい、なんとお詫びをしてよいやら・・・。
初めは雰囲気が固くなかなか口が開きませんで、威勢をつけるために「斉太郎節」を「エンヤートット」と声をかけてもらいながら演奏し、「武田節」あたりから歌声が多くなってきて、職員さんの盛り立てもあって徐々に盛り上がってきました。

いつもより長い1時間半の公演も盛況のうちに終わり、最後はやはり「秩父音頭」でシメ!手振りをして踊り出しそうな方もいらっしゃいました。歌詞が何種類もあるので、つねとしが持ってきた歌詞カードを配っていただき、統一して声を合わせて歌うことができました。

これにて終演・・・と思いきや、アンコールが。しかもリクエストで「禁じられた遊び」、と?!
相変わらずアルペジオがうまくいかない状態で、指使いを変更している途中ですが、リクエストとあらば退くわけには行きません。音だけは、とびきりのきれいさで伝えないと!と思い心をこめて演奏しました。
少々いびつな演奏になってしまいましたが、音だけは伝わったようで喜んでいただけました・・・かな(汗

こうして、気さくで親切な職員さんたちのフォローもあって、いつもどおり楽しい公演となりました。ありがとうございました。次回があれば、今度はぜひフルメンバーで伺い、アルペジオも完成させていきたいと思います!



今後の予定


8月、9月と、たびたびリピートしていただいているオレンジデイサービス様、安誠園様の巡業の予定があり、今度はフルメンバーでうかがう予定です。


大利根名月座、今年も出盛り中です!





大利根名月座・番頭ののりまつでございます。11月の中頃、本庄デイ・サービスセンター様と特別養護老人ホーム 安誠園様への巡業をしてまいりましたので、その報告を致します。写真がなくて字ばっかりです、スイマセン。なにぶん2人しかおらず、写真の撮り手がないもので。


さて、両施設は併設されておりまして、本庄デイ・サービスセンター様からは度々ご依頼をいただき、公演回数もダントツであります。
今回は特別養護老人ホーム 安誠園様からも「ついでに寄ってくれ」と嬉しいお言葉をいただき、公演の運びとなったわけでございます。


本庄デイ・サービスセンター編

ここでは、顔が知れているので皆さんもあけっぴろげに楽しんでいただけます。ここでは何をやっても盛り上がるのではないかと思うほど、乗りがいいのです。

ここの利用者様に、特に民謡が好きな方と、特にギターが好きな方がおりまして、この方達に御満足いただくため必ず演奏する曲があります。

民謡がお好きなHさんには「さんさしぐれ~長持唄」。Hさん自身も三味線をたしなんでいましたが、指が変形してしまった為に今は弾くことができないそう。この無念に加え、亡き御主人の若かりし日の姿がつねとしに重なるとの事で、涙ながらに聴いていただきました。

ギターが好きなYさんとTさんには「ロマンス」。「禁じられた遊び」と言った方が解りやすいでしょう。こちらも曲の持つ力か、涙ながらに聴いていただきます。ただ最近のりまつ、トレモロの練習をしすぎたせいか、禁じられた遊びの美しいアルペジオが、思うように表現できなくなっているのが悩みなのでして。ちゃんとお二人に曲が伝わったか心配です。


定番の曲を演じた後、本庄の施設へのスペシャル曲「本庄小唄」で〆めます。利用者の皆様、4番まででは唄い足りず、頭に戻って1,2番をさらに唄うというタフっぷりでした。まいどありがとうございました。



特別養護老人ホーム 安誠園編

こちらでは特に舞台は設けず、廊下で流しを行う形態。大利根名月座の、最も得意とする形態です。しらゆきがいたらば、ちんどん太鼓でさらに楽しんでいただけたことしょうが、残念ながら今回は欠場。

本館と南館に別れており、はじめは本館から。長い廊下で、ずらっと並んで待っていてくださいました。
ここでつねとしとのりまつは大きく間隔を空けて立ち、皆様に広く届くように弾き歌いました。リクエストで挙がった「島娘」、ついで「佐渡おけさ」。その次の「黒田節」は、皆さん熱唱です。

次に南館に移動しますが、渡り廊下で、かつてここで働いていた元職員さんとたまたま休みだった職員さんが合流してくれました。二人はデイサービスの方に聴きに来てくれていたのでしたが、ちょうど帰るところであったとの事。「南館でやるなら聴いていきたい」とおっしゃり、同行していただきます。このお二人は盛り立てるのが上手いので、我々としては期せずして強力な助っ人を得たようなモノ。助かります。

南館では廊下で待っていてくれるようなことはなく、日常の風景のままのようでした。ここにこれから音楽の珠をばら撒くと思うとワクワクします。
ゆっくり歩きながら「美しき天然」を演奏し、周囲に笑顔を振りまきます。皆様不思議そうな顔で見られますが、悪い気持ちではなさそう。つねとしはソファに座っている女性の方の横に座り唄いかけます。つい笑顔になるその方、着物にも興味が行ったようです。「見た目八割・唄二割」の大利根名月座、まずはつかみOK?!

皆さんが集まっているデイルームへ行くと、なんとなく集まってきてくれます。つねとしは外の廊下に陣取り、のりまつはデイルームの中で演奏。先ほどのお二人がそれぞれで歌って盛り立ててくれ、おなじみ「もみじ」や「里の秋」などの唱歌や「秩父音頭」を歌い、先ほどまでの日常の風景が、一転歌声喫茶に変わり笑顔の花が咲きました。こういうときに、お年寄りの目がキラキラ光るのです。これが私達の一番のごほうび。音楽を、触れられる距離で、双方向で共有し楽しんでいます。顔も知らず、認知症で記憶も保っておけない方たちと、この一瞬一瞬だけは同じ場所で温かい何かを共有している。舞台から降りないと見られない景色です。

ほんの数曲の公演を終わり帰ろうとすると、出口近くの部屋から「こっちでも聞かせてよ」との声が。なんと寝たきりの方が、ベッド上から呼んでくれていたのでした。そのお部屋にお邪魔し、空いているベッドをお借りして演奏をします。聴き手はたった3人。一人の方はコミュニケーションを取るのも難しい重度の方。しかしこの場こそ、ナマ音勝負の形態が活きるのです。いちいち電気を引っ張らなくても、アレコレ用意をしなくても、即座に音楽が出来る。こういうことが出来る自分たちが、ちょっと好きです(//∇//)

The Boomの宮沢和史という人が、敬愛するアーティストを列挙した曲の歌詞で出てきた「そこが地球の上ならどこでも音楽が出来るバンド」というセリフがとてもカッコいいと思っています。
上々颱風というバンドが、東大の寮の風呂場とか神社の境内でライブやった事等も、とてもカッコいいと思います。
そういう風に音楽をやり続けたいと思っています。

最近自分語りが増えてきました(///▽///)


話を戻します(^-^;)

このお部屋で、先ほどから演奏している「黒田節」を歌い、「秩父音頭」ではのりまつが踊って見せました。お二人は笑顔で歌ってくれ、もうお一人の重度の方にも届いたかな・・・しらゆきがこういう方に音楽を届けるのが得意なのですが。今度はつれて来よう。

ホームグラウンドのように何度もお世話になっている施設ですが、今回もたくさんの笑顔を振りまけたかな?と思います。その分、われわれもたくさんの温かいモノを得ることができたのでした。音楽は、本当にすばらしいです。



さて次回は。

東松山市の知的障がい者施設「むさしの青年寮」に、しらゆきと伺います!2回めの巡業ですが、今回も笑顔をお届けしますよー♪



そして、新しい旋風が巻き起こる・・・?





大利根名月座・番頭ののりまつでございます。

明日は本庄デイサービスセンター様と、特別養護老人ホーム安誠園様の巡業がございます。どうぞよろしく・・・と言ってもこちらはホームグラウンドのようなモノ。だからこそ大事にせねばなりません。

しらゆきと共に修行した場ではありますが、明日はつねとしと参ります。なにぶん、ばあさ・・・ゲフンゲフン!ベテランのおねえさま達に人気があるのがつねとしでして、毎回おなじようなことをやってもどうせ忘れ・・・ゲフンゲフン!お決まりのセットリストとして喜んでくださるモノでして。


明日に向けて練習をしていたのですが、ちょっとせんちめーとるになっているのりまつです。

と申しますのも、慣れ親しんだ住処を離れることになりまして。とても気に入っている家でしたので、離れるのは少々辛く、やたらと感傷的になっていたのです。

しかしこんな時、やたらとギターが良く鳴るのです。その音に感傷を載せ、この住処での思い出や感謝を込めて、ここ数年で一番の演奏ができました。誰も聴いてないのに。そして、いつも聴いてくれた壁に向かって、礼をしました。


今夜の演奏はのりまつ的には最高だったかも。この家に人格があったなら、涙してくれたかも。
でも、他人が聴いたらなんとも思わないかも。
いい演奏だからって仮に録音したとして、後で聴いたとしてもなんとも思わないかも。

でも、確かにいい演奏ができたのです。上手い下手じゃないと思います。誰かが、たとえ刹那でも感動した。それがいい演奏。いい音楽。
よくあるお涙頂戴で、頑張ってることや背景のエピソードで涙するようなのではなく。


のりまつの音楽観が共感する歌詞。

“最低な音でかき鳴らした
下手くそが愛を叫んでいた
なぜか胸が高鳴るんだ”
「Nothing Funny at all」(詞:仰木日向)

上手い事は必須、でも上手いだけの音楽には感動できない。この人は、自分だけに向けられたメッセージを感じ取ったのかもしれない。他の人は「ヘタクソ~」で終わってるのかも・・・いびつで捉えどころの無い音楽のカタチ。


“月影の
至らぬ里は無けれども
眺むる人の
心にぞすむ”
「月影」(詞:法然)


有名な僧侶ですね。のりまつ如き俗人がとやかく言うものではありませんが、のりまつは月が好きです。


音楽も酒も、生にこそ本当の価値があると、信じております。