アメリカを土建化しろ | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

1950年代の繊維製品の輸出を巡る摩擦から始まった日米貿易摩擦。

それから、

鉄鋼・カラーテレビの事実上の対米輸出自主規制、

牛肉・オレンジ自由化交渉、

対米自動車輸出自主規制、対米工作機械輸出自主規制、日米半導体協定、

日米構造協議、年次改革要望書…。

日本とアメリカの経済関係は、常にアメリカが日本に圧力を加える、という形でした。

TPPは、この流れの延長にあるものと見ることができます。

しかし、いつまでもやられっぱなしではいけません。

というより、日本には、十分に反撃できる力があるのです。


『戦略と謀略』大橋武夫 マネジメント社

に、こんな記述があります。

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ある国の全国的な組織
(鉄道、通信、金融など何でもよく、全国的なものであれば大小を問わない)を押え、

これに資金と武器を与えたらどういうことになるであろう。

その国を武力占領したも同然ではあるまいか。

第7図の明石工作の場合がそれで、
ロシア本国は、日本軍の進攻をまつまでもなく、
ロマノフ政府の支配外におかれてしまう。
国家戦略研究
(クリックして拡大してご覧ください)

事実、この頃のロシアは無政府状態になりはじめていた。
ロシアが戦争終結を決意したのも当然である。

現代においても、このようになった国はもはや敗戦国であり、
原子爆弾や、上陸作戦をまつまでもないのである。
>>>

これは、以前の記事で紹介した、日露戦争のときに行われた

明石元二郎大佐の対ロシア工作について書かれたものです。

『戦略と謀略』には、こうも書かれています。

>ある国を支配するには、その国の全国組織の1つを押さえればよい


1979年のアメリカからの要求をきっかけに、

日本車のアメリカでの現地生産が始まりました。

平成17年時点で、年間400万台近くが現地生産されています。

この事実と上の原則を照らしあわせると、アレっと思わされます。

現地生産が増えれば増えるほど、日本の自動車メーカーは、”全国的な組織”になっていきます。

1ヶ所の工場で、作っているなら、そうはなりませんが、

普通は、生産台数が増えれば、工場の数も増え、工場は各地に建設されます。

アメリカは、現地生産させることで、アメリカ人の雇用を確保しようとしたのでしょうが、

現地生産が増えれば、増えるほど、日本のアメリカに対する”支配力”は強くなることになります。

(実際に、強くなってるかどうかは置いておいて、
 そういうポテンシャルが大きくなっているのは間違いありません)

アメリカ人に雇用をもたらし、なおかつ全国的な組織を日本が持てば、

日本はアメリカを支配できることになります。

アメリカ発祥であったセブンイレブンは、今や、日本が本社となっています。

これだけでも、支配できる能力は持ったことになります。

しかし、同様のことは、アメリカにも言えるでしょう。

アメリカに本社のある会社が、日本で支店網を広げれば、

全国的な組織を持ったことになります。

国際的なつながりが、あまりなかった日露戦争当時は、

”ある国を支配するには、その国の全国組織の1つを押さえればよい”

という原則は通用しましたが、

現代では、どの国もお互いに”全国的な組織”を持ちあっているような状況だといえるでしょう。


現代は、各国が、

”全国的な組織を持つ競争”を繰り広げている、

と言えそうです。


そういう視点で、

”ジャパニーズ・マーシャルプラン”
(『TPPを骨抜きにする方法』という記事で紹介した構想
  発案者は 「みぬさ よりかず」さん)

を見ると、面白いことが見えてきます。

>>>
この計画は、新幹線網の建設だけではなく、
新幹線が乗入れる都市中心部の大規模再開発や、
新幹線網に合わせた、発送電分離で滅茶苦茶になった電力網の一新、
つまりスマートグリッド化や、通信ネットワーク網の再構築、都市の省エネルギー化、
新幹線沿線での近郊通勤電車網の整備と住宅地開発などがセットとなる大計画です。
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 ↑
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11452892470.htmlから抜粋して引用。

この”ジャパニーズ・マーシャルプラン”と、ほとんど同じかと思うような

超電導リニア建設計画を、日本はアメリカに提案しました。

これは、アメリカで新たに”全国的な組織”を作るチャンスです。

そして、この事業で働く人たちは、新たな政治勢力になりえます。

業界団体が作られ、「俺達の雇用を守れ!」などと、

政治家にロビイ活動をするようになれば、しめたものです。

というより、業界団体を作るように仕向けるべきです。

この業界は、輸出で儲ける業界ではないので、

TPPで輸出が増えても、恩恵を受けるわけではありません。

TPPの矛先を避ける方策として、

”輸出とは関係ない業界を育成して、その発言力を高める”

という方法は、有効だと思います。

というか、TPPの前提そのものを崩すことになるので、

”TPP骨抜きの最有力手段”と言ってもいいほどです。


アメリカは、西海岸で地震が起こったり、ハリケーンが来たり、

トルネード(竜巻)が頻発したり、とけっこうな災害大国です。

超電導リニア計画(=ジャパニーズ・マーシャルプラン)をきっかけに、

”鉄道を中心とした土建業界”が育成され、

さまざまな災害で復興を担っていけば、

”アメリカになくてはならない業界”

という評価を得ることもできて、

その政治力はかなり強くなることが期待できます。

アメリカの産業構造を変えてしまい、

”輸出に頼って景気回復を図る必要がない構造にしてしまうこと”

これがTPPを骨抜きにする最良の手段ではないかと思うのです。


超電導リニア計画(=ジャパニーズ・マーシャルプラン)を核として、

”アメリカを土建国家化する”策は、

謀略ではありますが、アメリカの雇用も改善するので、

損になるわけではありません。

むしろ、日米WIN-WINの関係になれる謀略です。

>謀略の根本は誠心である
 ↑
『戦略と謀略』大橋武夫 マネジメント社 から引用

”誠”。 これこそが、謀略の根本にあるべきで、

”誠”に基づかない謀略は、大きな成果は得られないということなのです。

日本人には、こういう”謀略らしくない謀略”しかできないと思います。


アメリカから圧力をかけられて右往左往する時代は、終わりにしたいものです。

というより、終わりにできるだけの力が、日本にはあります。


対米謀略  ”ジャパニーズ・マーシャルプラン”
対中国謀略 ”天下六分の計”
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