スパイ防止法を制定せよ。
日本にもスパイ組織が必要だ。
当然です。
しかし意外な落とし穴がありました。
『インテリジェンス 武器なき戦争』佐藤優 手嶋龍一 幻冬舎新書
からの引用です。
引用文中の
”SIS”は、Secret Intelligence Serviceの略で、イギリス情報局秘密情報部のことです。
イギリスの対外諜報機関で、イギリス外務省の管轄下にあります。
”内調”は、内閣官房内閣情報調査室の略で、
内閣の重要政策に関する情報の収集や分析などを行う情報機関です。
警察からの出向者が多いのが特徴の1つです。
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佐藤 そもそもインテリジェンスの世界では、組織よりも人なんです。
人材を育てるのが先で、組織をつくるのは最終段階。
まず器をつくって、そこに自分たちをはめ込もうというのは、典型的な官僚の発想です。
それは同時に、インテリジェンスからもっとも遠い発想でもある。
いま新しい情報機関をつくることになったら、日本の最悪の面が出てきますよ。
警視庁と外務省の綱引きになる。
そこに公安調査庁を持つ法務省も割り込んで、
三つ巴の縄張り争いが始まるのは間違いありません。
手嶋 すでに、その情報機関をイギリス型にしようといった声も聞こえてきますが、
イギリスのSISは機構上外務省に属しています。
その場合は日本でも外務省の統制下に置かれることになります。
佐藤 だから、霞が関周辺で「イギリス型で」という声を聞いたら、その時点で
「ああ、外務省の息のかかった人ね」とわかる
要は外務省のアンブレラの下に置くという結論が先にあるわけです。
一方、「CIA型で」という声を聞いたら、「ああ、警察の人ね」とわかる
現在の内調を強化して、警察直結の組織をつくるという発想なんです。
こういう組織文化があるかぎり、どうやってもこの綱引きは起きるんですよ。
このスキーム(図式)をぶち壊すのは政治家にしかできない
官僚が縄張りを守ろうとするときは、尋常ならざるエネルギーを発揮しますからね。
そういうことをさせないためには、
組織をつくる前にワンクッション入れたほうがいいんです。
急がば回れで、まずは人材の育成から始める。
国際スタンダードの本格的なインテリジェンス能力を備えた人間を5年間で50人、
インテリジェンスを理解する人間を200~250人ほど育てることが急務です。
それだけのパイを作っておけば、そこから新しい組織をつくることができるでしょう。
その5年間に、器についての研究もすればいいんです。
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せっかく対外諜報機関をつくろうとしても、
イギリスのSISが外務省の管轄下にあるのをいいことに、
「この機会に外務省の”縄張り”を広げよう」などと考える人間が出てくるようでは、
ちゃんとした諜報活動などできないわけです。
わたしは、ブログテーマとして”国家組織”というテーマをつくり、
その中で日本の諜報組織をどのようにするべきかを考えていこうとしていました。
しかし、組織を作るより、”人”をつくることのほうが先決だったとは…。
例えるならこんな感じでしょうか。
インテリジェンスとは、まず、”人”をつくることじゃ。
スパイ組織は必要ですが、
その前に対外インテリジェンスをやれる人材を育成することが先決で、
組織づくりはそのあとだというのは、意外でした。
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