”核なき世界”の欺瞞 | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…


この動画は、鳩山氏が総理大臣だったときのものなので、ちょっと古いのですが、

アメリカの核戦略の重要な方針転換なので、取り上げました。

動画では、”核なき世界”などといっていますが、

アメリカは核兵器をなくすわけではなく、”減らし”、役割を限定的にするだけです。

・数は減らすものの、アメリカは核兵器を保有し続ける

・現在、核兵器をもっていない国が新たに保有することは許さない

ということは、アメリカその他の核保有国による核兵器の独占という状況は変わらないわけです。

新たな核弾頭の開発停止も表明しています。

なぜ、アメリカがこういう方針を表明したのか。

動画の中でも言っていますが、1つは、核兵器のコストの高さです。

『”悪の論理”で世界は動く』奥山真司 李白社

によると、

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核兵器は、研究や製造に莫大な費用がかかるうえに、核弾頭そのものに加えて、
ミサイルや発射基地などまで含め、実際に使用可能な状態に保つ維持費だけでも相当な金がかかる。
>>>

核兵器はコストが高いだけでなく、

以前の記事で紹介した日下公人先生の動画で、言っていたように、

意外に効果が低かったことがわかっています。

コストが高くて、効果が小さいのでは、単なる”お荷物”です。

それに加えて、CSMという新兵器がどうやら効果がありそうだ、と判断したのでしょう。

核兵器を減らし、CSMを配備する、という方針に転換したのだと思います。

そこで日本について考えてみます。

アメリカは、非核保有国には核攻撃はしない、が、イランや北朝鮮のように、

これから核兵器を持とうとする国には、核攻撃も辞さないぞ、という含みをもたせています。

日本がこれから核兵器を持とうとした場合、

・核兵器は開発、製造、維持に莫大なコストがかかる

・アメリカは、NPTに入っていて、核兵器を持っていない国には、核攻撃しない、
 と言っているので、NPTを脱退し、核保有に向けて動き出した場合、
 アメリカ側から、日米同盟を破棄され、敵対国扱いされる、
 という事態を想定しなければならない

というわけで、現実問題として、無理なんじゃないか、と思います。

そこで、日本もCSMを開発し、保有する、という選択肢が妥当なのではないか、と思います。

実は、これは、トリウム熔融塩炉(以下トリウム炉とします)とも関係してきます。

現在の原発は、廃棄物として、プルトニウムが出ます。

核保有を許された国なら、このプルトニウムを核兵器に転用できます。

既存の原発と核兵器は、本来、セットのようなものなのです。

しかし、日本は、NPTに加盟し、核保有を許されていないので、厳しい査察を受けています。

核兵器を持つなら、NPTを脱退して、この査察から解放されなければなりません。

現状では、プルトニウムを核兵器に転用できず、最終処分場も決まらず、

どうしようもない状態なのです。

そこで、トリウム炉を実用化すれば、炉内でプルトニウムを消滅させることができます。

そして、核兵器を持てないかわりとして、CSMを持つ。

既存の原発と核保有がセットであるのに、日本は、原発のみで核保有ができないのです。

そうなると、プルトニウムをどう処分するのか、という問題に直面します。

この問題を解決できるのが、トリウム炉なのです。


以前の記事で紹介したように、日本はすでに、弾道ミサイル防衛システムの開発がかなり進んでいます。

敵国が発射した弾道ミサイルを、仮に、何発か撃ち落とせなかったとしても、

CSMを大量に配備していれば、敵国に”耐え難い報復”を加えることは可能です。

さらに、”ニュークリアシェアリング協定”というものを結ぶべきです。

これは、有事の際に、アメリカから核兵器の使用権を譲り受ける、というものです。

ドイツなどがすでに結んでいます。

弾道ミサイル防衛システム、CSM、ニュークリアシェアリング、

これだけあれば、中国もロシアも、なかなか手を出すことはできないでしょう。

日本の安全のためには、核武装の選択肢も捨てるべきではありませんが、

現実問題として、かなりハードルが高いので、

CSM、トリウム炉、ニュークリアシェアリング、という現実的な解決策を提案しているのです。


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