7年目の放課後学級のアロマでつくろう講座が全て終了しました。
8年目の継続がすでに決まっておりまして、
相変わらず子どもたちに支持されている講座であるということで、
ちょっとホッとすると同時に大変ありがたく感じています。
(人気のない=参加人数の少ない 講座は消えていきます)
今年度もいろいろあったなぁ…と、想いをめぐらせるところですが
今書きたいのは何と言ってもあーちゃんの卒業について。
そこにあったのは
これまでの感動的な別れのシーンとは真逆の
いつも通りの時間でした。
・・・
あーちゃんと出会ったのは4年前。
妹が入学してすぐに放課後学級に参加するようになって
一緒に講座に来始めたようです。
その時
の印象は、正直何もなくて。
あーちゃんが、口角の動きだけで感情を表現するということ
動きが数倍ゆっくりだということ
表現することがとてもにがてであるということ
に、気づいたのは、翌月か、その翌月くらいだったと思います。
1学期の間は、1年生がわちゃわちゃするので
誰がどんな子で、どんな特徴があって、友達は誰なんだ?
みたいなことを、講座をしながら探るのに必死なので
その過程で気づいたことで。
わたしたちは名簿も、その他情報も一切受け取れないまま講座をするため
いわゆる、特別支援学級に所属する児童であるということは知らされていませんでした。
そこから4年間。
あーちゃんは、いろいろな講座参加してみつつ
アロマ講座だけ唯一、可能な限り参加してくれたのだそうです。
もうすぐ5年生になる妹が昨日、教えてくれました。
表現することは苦手だけど
喜怒哀楽、好き嫌いが人の何倍もはっきりしているあーちゃんは
小さな体を時に岩のようにしてみたりします。
首をたてかよこに動かす。
口角をほんの少し上げ下げする。
目はほとんど合わせないけど、超嬉しいときは、相手の眼をまっすぐ見る。
そんな、些細な動きでしか感情を表現したくないので
いろんな苦労をしながら大きくなっているのだと思います。
とかく学校というところは
嫌なことを嫌と言いづらい環境です。
わたしがこの4年間、気を付けたことはただひとつ。
特別扱いはしないけど、意志は尊重する。
学校の授業じゃないから、嫌ならやらなくていい。
無理に鉛筆を握らせたりはしません。
なので、アイデアが浮かばないまま
画用紙を前にして1時間正座したまま微動だにせず
無表情のまま帰っていくことも何度もありました。
ただ、本人がやりたいという意思を見せたときは
講座が終わってから最長1時間半延長して付き合ったこともあります。
永遠に、丸を書き続け、画用紙一杯に不思議な模様を描いた後で
満足げににっこり笑ってくれたこともありました。
彼女が唯一ものすごくスピーディーだったのは
香りを選ぶとき。
みんなのように、どっちにしようかーと悩む姿はみたことがありません。
2種類差し出すと、ただちにどちらかに指をさしました。
それだけ、やっぱり彼女がよりすぐれた感覚をもっていたと思わざるをえません。
座る席もいつもいっしょ。
一番前の右角。
来月から、そこにあーちゃんがいないことが
さみしくなくなる日はくるのでしょうか?
・・・
今日はあーちゃんが卒業だから、
あーちゃんが一番に選んでいいよ。
そういうと、いつも右角の席から絶対に立ち上がらない彼女が
立ち上がって前に出ました。
自分の意志で、欲しいものを選びました。
それだけで、ものすごく感動。
これまでしてきたように、卒業生を大々的に祝うのは
彼女にとって負担だろうと、いつも通りの講座の流れにしました。
でも、最後に時間を少しだけ余らせて
かつてあーちゃんがものすごく楽しそうに参加した
ハンカチ落としをして遊ぶことに。
でも、あーちゃんは「やろうよ」という呼びかけに首を横にふりました。
しかたない。
盛り上がっているみんなの気持ちを無駄にしないためにも
ハンカチ落としは10分くらいやって
いつもの流れで解散しました。
あーちゃん
いままでたくさん来てくれてありがとう。
中学にいっても元気でね。
これは先生からのプレゼントだから
おうちにかえったらよんでください。
これまでの卒業生と同じように
講座内で撮影した写真と、色紙を渡しました。
その時
みたこともないような、すごく嬉しそうな顔をしてくれました。
首をたてに動かしただけで
何も言わなかったあーちゃん。
教室から送り出すときはこれまでいつも
「またね」と言ってきたけど
今日は「さようなら」と言いました。
「さようなら」
あーちゃんは背中をむけたまま
そういいました。
年度末に必ず全員に書いてもらっているアンケートも白紙のまま。
そこにあったのは、
これまでの感動的な別れのシーンではなく
あくまでもいつも通りの光景でした。
・・・
前に進んだ感がいっぱいの時も
後退しているように感じたときも
変化が一切見られない時も
いつも同じテンションでいられるかというと
なかなかそういうわけにはいきません。
でも、昨日は
これでよかったと、ものすごく思いました。
自分の力、香りの力で何とかできるなんて
おこがましいことをほんの少しでも思っちゃいけない。
良い時も
悪いような気がする時も
変化がないように見えるときも
いつもちゃんと見て、感じておこう。
しっかりと頭に、胸に刻んでおこう。
それを積み重ねることで
これから必ずやってくる、本物の嗅覚教育が重要視される時代を
牽引していくんだ。
あらためてそう思いました。
あーちゃんに出逢えたこと
4年間も毎月顔を合わせられたこと。
わたしにいろいろなことを教えてくれたこと。
わたしにいろいろな課題と喜びをくれたことに
心から感謝しています。
ありがとう。
卒業おめでとう。
さようなら。