ようやく年末年始の慌ただしさも落ち着いた青森市。われわれも通常モードに戻りつつある。
ホワイトアウトに見舞われ、朝一番にスタックするという失態を演じながらも、とりあえず事故もなく一日の運行を終える。
今日は初任給が出た。ノルマ未達成のため、出たのは11万そこそこ。是非もない。
「とはいえ、実はキムさんが最下位じゃないんだよ。あと下に七人もいたんだ。新人のキムさんに示しが付かんよな。ただ、キムさんはいずれ本社勤務になる。本社のノルマは33万だ。夜勤ありとはいえ、もっと頑張らないとついていけないぞ。」
と所長は言うが、心境は複雑である(ちなみにうちの営業所は24人いる)。
拾壱萬肆阡円の初任給を受け取りし車庫の昼は吹雪きて
とりあえず公共料金や家賃を支払う。いくらも残らないが、ようやく人生のリスタート地点に立った、そんな気がした。
帰りがけ、鬼の配車長に呼び止められる。
「大丈夫だ。取って食いやしない。」
戦々恐々、話を伺う。
「お前さん、意外に見所があるよ。一ヶ月やっているうちに、かなり板についてきた。最初はひ弱そうに見えて、かつ病み上がりだというから心配していたんだ。大丈夫、お前なら充分やれるから身体だけは壊すなよ。」
温かい励ましを頂き、ついホロリと来た。