小・中・高校の授業の枠組みを決めた文部科学省の学習指導要領が改訂されます。10年ごとのペースで改訂されていますから、新要領は平成30年(2018年)の公示、翌年から段階的に実施、ということになるのでしょうか。

 改訂の論議は中央教育審議会(中教審)で行われており、終盤を迎えています。同省は99日、同審議会の審議のまとめを改訂素案として発表し、これに対して一般からの意見(パブリックコメント)を107日締め切りで募集しました。コメントは論点ごとに分けることが求められており、書文協は「国語」教育に含まれる書写について意見を出しました。

 以下に同省初等中等教育局教育課程課に提出したパブリックコメント全文を掲載します。

 

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私たちは、学校教育で培われた書字文化への取り組みを生涯学習とする受け皿でありたいと思います。その社会教育団体の立場からコメントいたします。

審議のまとめの内容について全体的に賛同します。その上で

イ)国語教科の書写学習について小学校から高校まで一貫したカリキュラムを構築

(ロ)高校国語で「現代の国語」「言語文化」(いずれも仮称)の必修科目新設が予定されています。これに賛同し、両方に〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕を置くこと、「現代の国語」ではその事項の中に「書写」を含めることを要望します。

以下イ、ロについて説明します。

(イ)審議のまとめが言う「伝統文化に関する学習を重視することが必要である。」ことには大賛成です。そして、その前提として日本語の継承発展が不可欠と考えます。

しかし今、子どもたちの文字離れは深刻です。このため、表現力欠如の問題も生じています。これは文字を手書きしなくなる結果であり「手書き文化」は衰微の一途だと思います。また、グローバリズムが進むほど、自分の民族・国家に関心と誇りをもつ子供たちの育成は大事です。授業時数の増加を求めるものではありません。書写の大事さをより強調していただければ、と思います。この場合、書写では硬筆学習の強化が必要です。私どもの団体もそうですが、これまでは毛筆主流できました。しかし、現実生活での硬筆の必要性を踏まえた学校教育を強化するべきと考えます。

アクテイブラーニング、カリキュラムマネージメントの実を上げるためにも、各学校が書写を大事に思う意識を持つことは大切です。何よりも「社会に開かれた教育課程」として、各家庭に実感を持って受け入れられるのではないでしょうか。

(ロ)高校の国語総合に〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕が置かれていますが、小・中学校と異なり「書写」の項目はその中に含まれていません。2つの新設予定の科目ともに同事項を置いたうえで「現代の国語」ではその中に「書写」を入れ、小・中・高校の一貫した書写学習を確立していただきたい、と思います。理由は(イ)で述べた日本語の継承発展のためです。審議のまとめが求める「高等学校芸術科(書道)との円滑な接続を図る必要」のためにも、ふたつの教科・科目がすっきりと共存できるのではないかと思います。