真っ赤な唐傘を背に、きりりとした和服の踊り手姿。津軽手踊りの少女は、とても中学2年生とは思えないあでやかさです。そのはじける笑顔からは、わずか10日後に自殺するとは、とても思えません・・・。東奥日報(WEB版)が18日報じた写真は衝撃的でした。自殺の背景にどうやらいじめがあるようで、あの笑顔の奥に秘められた少女の悲しみ、絶望を思うと胸が締め付けられます。

 

 この写真はいったん今夏の黒石よされ写真コンテストで、最高賞の秋田県黒石市長賞に内定していた作品でした。撮影された10日後に自殺したため、その後の関係者協議で内定取り消しになっていたのですが、遺族が「かわいそうなだけの子ではない。いじめをなくして」と実名を公開したのです。青森市の公立中学の生徒で、東奥日報では中学校名、個人名も掲載しました。本稿では筆者の考えで匿名とします。ただ、ネット上ではすでに実名が飛び交い「殺害」という激しい言葉もあふれていたようです。

 

 うーん、とうなってしまします。写真コンテストの関係者の考えも、遺族の思いも理解できます。これを実名で報道した東奥日報の判断も間違い、とは言い切れません。ただ、東奥日報の記事に不満があるとすれば「いじめをなくして」という遺族の思いを伝えていても、少女の自殺の態様、特にその動機については全く記事に触れていないことです。青森では知られ過ぎた事件ですが、突然WEB全国版に注釈なしで登場したからか、未解明の点が多い事件だからでしょうか。奥羽本線で飛び込んだのですが、いじめにあっていたという「遺書」がスマホに残っていたという事です。

 

 やはり、問題とするべきは、いじめを許してしまった中学校の在り方、原因を追究する市教委、同市の歯切れの悪さにあるように思います。そうは言われても、学校としても困ってしまうでしょうが、兆候を全くつかめていなかった、ということは筆者の経験では考えられません。担任、管理職全体の教師集団の痛恨のミスだったように思います。いまさら少女の命は戻ってきませんから、この事件を徹底的に掘り下げて、このような事件が全国どこでも起きないようにしていく教訓を引き出すことが大切だと思います。

 同中とその周辺は、今後相当に揺れることになるでしょう。その弊害が少しでもすくなくなるように本稿では匿名としました。今後の展開を見守りたいと思います。