介護予防体操=新しい元気が湧き出す体操 -8ページ目

⑯腰痛対応点の解説



●腰痛対応点の解説

(解説用の解剖図は、「人体系統解剖学」吉川文雄 南山堂 1984 より改変引用させて頂いております。)

(腰痛対応点:梅マークにて表示)


腰痛対応部位


腰痛対応点は、第4腰椎の棘突起の両外側へ3-4cmの辺りです。
 当該部には、表層から深部にかけて、胸腰筋膜、最長筋、腸肋筋、多裂筋が重層的に分布し、腰部腹腔内側には腰方形筋、大腰筋・小腰筋が分布しています。それはタテ体軸を形成する脊柱と骨盤を堅牢強固に接続するための最重要な筋骨組織だといえます。



腰部の筋肉 001 表在筋膜 腰部の筋肉 002 腰部の筋肉 003 腰部の筋肉 004 横突棘筋の走行 腰部の筋肉 005 腹腔側

 当該部は、運動神経・知覚神経、を含む脊髄神経の通路(腰仙骨神経叢)の体表面となっています。
 脊髄神経の前根からは、脊髄前角細胞からの運動線維束と交感神経線維が並んで走り出し、後根からは脊髄神経節細胞からの知覚線維と副交感線維が並んで走り出しています。すなわち、脊髄神経には4種の線維が混在しています。ただし、交感・副交感神経は運動・知覚神経にくらべてごくわずかに混在するものです。



●図7 脊髄神経叢・・・

 当該部は、腹大動脈が左右の総腸骨動脈に分かれ、それぞれが内・外腸骨動脈に分枝する部位です。内腸骨動脈は骨盤に、外腸骨動脈は下肢に分布する主要な大血管です。内腸骨動脈は骨盤腔側壁に沿って大坐骨孔にむかうその経過中に骨盤腔内で多数の分枝にわかれ,骨盤内臓器に分布し、その末梢は外陰部、殿部さらに大腿上内側部にまで拡がります。その分枝の起始状態は全身中もっとも変異に富みます。外腸骨動脈は大腿動脈、膝窩動脈、前・後脛骨動脈、足背・足底動脈、底側・背側指動脈となるもので、下肢動脈の基幹です。


●図8 腰痛対応部血管

 当該部は、左・右腰リンパ本幹に物理的刺激を与えて、免疫機構に好影響を与えることが期待されます。左・右腰リンパ本幹は下肢からのリンパ管を集めるもので,左右総腸骨動静脈に沿い,さらに腹大動脈と下大静脈壁の周辺を走行し、最終的には太い本幹となり、内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部で静脈に流入します。


●図9 腰痛対応部位リンパ本幹


⑮腰痛対応トコトコ体操

  直立二足歩行という超動物的移動様式を獲得した人類にとって、腰痛対応体操は必要不可欠な運動文化だといえます。腰痛が生じないように腰部筋(背腹筋)を強化すること、腰痛が生じないような動作技術を習得し汎用すること、そしてもしも腰痛が生じたなら軽度のうちに対応措置を講じることは文明人の運動文化です。積極的に安静にすること、炎症対策として冷温罨法をほどこすこと、さらに自己診断を兼ねた徒手的治療操作(指圧体操)を試みることも立派な運動文化だと考えます。

①背後拍手

後ろ手拍手 3動作
 からだの後ろ側にある腰痛対応点を軽く押さえて様子を探り、指圧マッサージをします。そのためには、両手を後ろに回す必要があります。まず、そのための体操をしましょう。「少し膝を曲げた直立姿勢で、両手を後ろに回して1・2・3、ポンポンポン、と膝で調子をとりながら手を合わせ叩きます」

②腰痛対応点の確認

腰痛対応点 裸指圧図 腰痛対応部位・・・


「腰痛対応トコトコ体操」は、腰のトラブルが発生しやすい場所を自分の手指で押さえながらトコトコと前に歩く体操です。その場所、すなわち腰痛対応点は、第4腰椎の棘突起の両外側へ3-4cmの辺りです。それは背骨が骨盤に隠れそうになる部位です。腰痛発症の部位には個体差があります。この部位の詳細に関しては、※016 (腰痛対応点)において説明します。


③「腰痛対応トコトコ体操」

トコトコ体操 腰部指圧歩行・・・

後方に回した両手の指先(中指・薬指)で、腰痛対応点に一定の圧を加えつづけながらトコトコと前進をつづけます。10歩も進むとその効果が分かるでしょう。前進に伴って、腰部のいろいろな脊柱起立筋の収縮・弛緩が間欠的に生じ、律動的なマッサージとなり、自己診断の手掛かりとなると同時に、治療的効果が期待できるものです。当該部は、運動神経・知覚神経、交感神経・副交感神経を含む脊髄神経の通路(腰仙骨神経叢)の体表面となっています。また、腹大動脈が左右の総腸骨動脈に分かれ、それぞれが内・外腸骨動脈に分枝する部位でもあります。さらに、下肢からのリンパ管を集める左右腰リンパ本幹に物理的刺激を与えて、免疫機構に好影響を与えることも期待されます。
 したがって、この腰痛対応トコトコ体操の律動的な加圧が、腰部神経線維・筋肉線維への刺激および腰部循環系の円滑化に役立つ適度のマッサージ効果をもたらすことになります。 

⑭表情筋の確認と感謝

(※013=表情筋)   大いなる自然の力は喜怒哀楽の心情を外部にあらわすためのツールとして、私たちの顔面に皮筋という特別な筋肉が発達することを許して下さいました。それは表情筋と呼ばれます。眉毛のうえの前頭筋、目のまわりの眼輪筋、ほお骨にある大小の頬骨筋、口角を外側に伸ばす笑筋、口角を下に引く口角下制筋、そして、口のまわりの口輪筋、などです。また、顎をとじる咬筋、顎の挙上と後退に働く側頭筋などが咀嚼筋として働きますが、これも表情に大きな影響を持つ筋肉です。動物にはこのように分化した高機能の皮筋がありません。その恩恵に感謝しながら、有効利用するのが人間らしさだと思います。


顔・頭の筋肉 トレース

①前頭筋:眉を引き上げる。
②眼輪筋:目を開け閉じする。
③頬骨筋:笑顔を美しくする。
④笑筋 :口角を外側に伸ばす。
⑤口角下制筋:口角を下に引く。
⑥口輪筋:口元を動かす。
⑦咬筋 :顎を閉じて咬む。
⑧側頭筋:顎を挙上・後退させる。