小さな恋のメロディ4 | 毎日書かない日記

小さな恋のメロディ4

★小さな恋のメロディ1

★小さな恋のメロディ2

★小さな恋のメロディ3


この物語はフィクションであり、登場する人物、団体名は全て架空のものです。


家に帰ってから、ママがゆずにたずねました。

「そう言えば・・・・サトシ君って、ゆずのお家知ってるの?」



言われてみれば、サトシ君ゆずの家を知っている訳ありませんでした。
少し前にサトシ君に家の場所を聞かれた時、
有名なお好み焼き屋さんの近くの黄色いお家だと
説明した事を思い出しました。
でもあの説明だけで、家の場所はわからないだろうと
思っていました。

「たぶん・・・知らないと思うよ」

ゆずはそう答えましたが、
ママがなんでそんな質問をしたか?
気にもとめていなかったのでした。


次の塾の日、サトシ君は元気そうでした
でも、ママからちゃんとお礼を言うように・・と
言われていたので

「からだ、なんともない?この前はありがとう」


と言いました。

「全然なんともないよ」


「そうか、よかった。
そう言えば、サトシ君ゆずの家の場所知ってるの?」


「ん?まぁね・・・・・・・」

サトシ君
はいつも言葉が少ないので
それ以上話してくれませんでした。
ゆずにとっては、大した問題でもなかったので
それ以上聞きませんでした。


ある日、ママとゆずが買い物に行って家に帰って来ると
ちょうど自転車に乗ったサトシ君が、こちらへ走ってきました。

突然表れたサトシ君に、ビックリしてゆずが聞きました。

「どうしてここがわかったの?」


ゆずのママは、この時初めてサトシ君をみました。
少しうねりのある髪の毛で、陽に焼けた顔は端正でした。
背の高さは、ゆずよりちょっとだけ高いくらいでした。


「いや・・・・俺、この裏にある英語教室に
小1の時から通ってるから・・・・」


ゆずのママは

「じゃあ何年も前から、この家の前を通って
英語教室に通っていたのね?」

と、聞きました。

「あ・・・はい・・・」
サトシ君はそれ以上何も言わず、ぺこりとお辞儀をして
走り去って行きました。

ゆずのママはそれで納得がいきました
二人が自転車で転んだ日
「今日は家まで送るよ」
と、サラッと言ってくれたサトシ君
ちゃんとゆずの家の場所をわかっていたんです。

それ以前に、ゆずが塾に入って来たときから
この家の事を知っていたのでした。
ゆずの口から
「お好み焼きやさんの近くの黄色いおうち」
と聞いた時、彼は何年も前から見ている
この家がゆずの家だと気付いた事でしょう
それなのに、ゆずには何も言わなかったんです。

ママはそんなサトシ君がとてもステキに思えたようでした。

こんな巡り合わせは、きっと運命だ!とか
赤い絆で結ばれている!とか、何故か興奮しています
ゆずも、なんとなくそんな気分になってきました。
はじめてできた男の子の友達が、
そんな素敵な男子でよかったなぁ~と
思えるようになってきました。
ゆずは他の男の子を知らないので、今までサトシ君の素敵さが
よくわからなかったんです。

それが、サトシ君ゆずが出会って、
半年くらいたった日の出来事でした。

小さな恋のメロディ5へつづく