不合格を伝える行為は、気を遣う。
「合格しました」と聞けば、どんな嫌いな相手であれ「おめでとう」と社交辞令を言えばいいだけである。
相手が暗い顔をしているとか、手が離せないほど忙しい場合を除けば、合格を伝えるタイミングはさほど選ばない。
だが、不合格の場合は違う。
普通の大人であれば、「不合格」と聞けば、何か励ましの言葉でも言わなければならないと思うだろう。
聞いた相手は、「余計なことを言わないほうがいいな」とか、でも「何も言わないのもいけないな」など、いろいろと考えるものである。
そう考えると、自分が発する一言で相手に余計な心労を与えると思い、言うタイミングに躊躇する。
相手が残念な表情をすると思い浮かべるだけで、「また今度でいいか」となる。
私は今回、ずっと応援してくれた上司(会社のトップ)に不合格を伝えられずにいる。
そろそろ、と思っていた頃、会社で大きなことが起こった。
上司がまさに事態の対応にあたっており、いよいよ伝えるタイミングを逃した。
一社員の不合格なんて、会社全体から見れば些末なことである。
本当に良い人である上司が、大変な最中、私の失態に一瞬たりとも気を取られてしまうのが申し訳ない。
早く1年たって、来年の分とまとめて報告することはできないだろうか。