神戸にサンテレビジョンというテレビ局がある。ここは、阪神タイガースの試合を試合開始から終了までノーカットで放送することを1969年の開局からずーっと続けてきているという、阪神ファンにはたまらない放送局だ。
いかんせんローカル局。兵庫県と大阪府を中心としたエリアでしか視聴できず、わが県では受信は不可能。
しかし、そこはKBS京都がフォローしてくれているおかげで、タイトルこそ違うが、サンテレビ制作の阪神戦を見ることができる(全部ではないが)。タイガースファンになったきっかけもこの番組だったし、この番組にはずいぶんお世話になっている。日本最長試合(1992年9月11日)の時も後半部分から見てました。全試合中継というわけじゃないので、他の放送局の中継も見ていたけれど、サンテレビの存在も、この番組の存在もこれで知ったほどです。
そんななか、サンテレビボックス席に関する展覧会が行われるという情報を聞きつけ、会場のそごう神戸店へ行ってきた(こういうフットワークは軽いんだな)。
9階の催し物会場に入ると、マスコットのおっ!サン(のポスター)がお出迎え。
入ると、早速、同局の湯浅アナウンサーがヒーロー選手になりきった一般客にインタビューをするヒーローインタビュー体験をしていた。湯浅アナウンサーはプロだからもちろんだが、お客さんも選手になりきって、息がピッタリ、まるで本物のヒーローインタビューさながらだった。最後に一言のところで、みんな口を揃えて「あしたも勝つ!」(1999年6月に新庄が敬遠球を打ってサヨナラゲームになった時のヒーローインタビューでの新庄選手の一言)と言っていたのは…よほどの名文句だったのだなと。
(まあ、こんな感じで)
その他、試合中継や阪神タイガースの出来事の年表、実況中継の舞台裏やこだわりの説明、当時のスコアブックが展示されていた。この番組ができた背景についても説明されており、当時のローカル局が於かれていた現状(近畿広域局に比べて後発局であること、UHFアンテナとコンバーターをつけないと受信できないなか、それでもチャンネルを合わせてもらえるためにはどうすればいいか?)をどう克服するかから生まれたのだそうだ。そして野球中継とりわけ阪神タイガースへの愛情(当時の従来の中継は巨人戦中心、それもどこのチームにも肩入れしない中立な実況が当たり前だったのだが、そこを敢えてタイガース寄りの中継にしたこと…タイガースがホームランを打てば打った打者の喜ぶ顔をアップ、タイガースが打たれたら打たれた投手の悔しそうな顔をアップするなど、今でこそ当たり前になりつつある特定球団寄りの中継もここが元祖だった)、さらにはスコアブックが書ける中継を標榜するだけあって映像を邪魔しない実況と解説という視聴者重視の姿勢、それらをひっくるめた当時の工夫が垣間見られた。これらが支持されて、50年間で3400試合もの試合を中継し、今もその数を重ね続けているのかと思うと、感慨深いものがある。
スコアブックと実況アナウンサーの取材ノート
そう、テレビ欄の文言も相当に頭をひねって考えていたのですね。
こんな問い合わせもくるんですね。試合を追いかけているだけなのに。さらには、他局の中継にも丁寧に答えるなんて…
その他、実況席を再現したブース、おっサンのぬり絵コーナー、輪投げ(うまく入ると、おっサンのメガネが…)、おっサンと一緒に撮影会、タイガースグッズの販売もあり、家族連れでも楽しめるような工夫がされていました。
目玉コーナーは、先ほど触れた1992年の6時間26分という日本最長試合の中継映像もノーカットで上映されているブースもあります。このときの実況は鎌田実さんだったのですが、先日お亡くなりになったそうです。その時のスコアブックも展示されています。今だったらあり得ない長時間の中断。八木選手の打球をめぐっての中村監督の長い抗議、その後の15回にわたる膠着とした試合運び(今のルールでは、12回で切り上げ、5分以上の抗議は退場になる)。手に汗握って見ていましたっけ。この試合にもし勝利していたら、1992年のペナントは…。と今ですら思いたくなる。それぐらい、1992年のシーズンは印象に残っています。
場内では上映されている動画映像以外は写真撮影は禁じられていないので、色々撮りまくりました。
ということで、19日までなのでもし都合がつけば是非行ってみられるとよいかと思います。入場は無料です。
(17日夕方に一部加筆しました)








