女優YMが僕のところに出入りして5年目になる。最初は僕が関わっていた業務用の撮影カメラに関するコンテストに入賞し、その受賞パーティーで意気投合したところから始まった。軽い冗談のつもりで、今度うちのラボに遊びにおいでて誘ったら、「本当に行きますよ!」といって押しかけてきた。



 当時、著作権の関係で、なかなか自由に使える映像コンテンツが手に入らず、契約問題など苦労していた時期だったので、彼女の女優としての道が発展するように、知人の有名監督さんに紹介するのとバーターで、彼女の写真や軽い映像を撮らせてもらうことにした。



 その日は彼女を被写体に数百枚の写真をとり、映像が賞を取った映像をバックに彼女を映すというテクニックも編み出した。(松田優作を偲ぶブラックレインの特典映像はこうして撮影された物です。)

もちろん仕事の後は、仲間とともに宴会とオールナイトのカラオケですごした。



 いつもの事ながらその写真の中で使えるのは数枚ということになったが、その数枚は僕のすべての感情を込めて映し出したものだ。写真の中の彼女はまさに飛び抜けて輝いている。まだ学生のあどけなさが残り、なにかを訴えるような熱いそれでいて澄んだ視線を送っている。


 
 ある監督さんに彼女を紹介するのに、この写真を見せたら、もちろん彼女の良さを分かってくれたが、「それ以上にあなたの彼女に対する思い入れがよく分かる。」ってこちらの心を見透かされてしまった。



 その後彼女は劇団に入り、時々お誘いのメールが来る。なんとか彼女に一流になってもらいたいのであらゆる手を尽くしていて、徐々に実を結べばいいなあといつも祈っている。



 ここ数年、あづみので、現行のテレビの8倍の解像度を持つ映像で彼女の映画を5本ばかり撮ったが、どれも

素晴らしいできばえだった。



 最近は活動の場を広げていて、多くの才能あるアーティストと付き合っている。彼らの発展に少しでも協力できたら幸せだ。



 今仲間と進めている将来の夢である、シアターが完成したら、そこで是非活躍してもらえれば最高だ。

 僕の仲間にもアーティストやバンドや役者の方がいっぱいいる。その方達とともに夢が実現できたらと願っている。