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★戦略の黒板:CL戦アーセナル vs オリンピアコス

by レフティ

2012年10月3日CL戦アーセナル vs オリンピアコス@エミレーツスタジアム

戦略の黒板





アーセナル対オリンピアコス―堅い守備を破る

 界中の多くのチームが4-2-3-1のフォーメーションを採用し始め、かつての4-4-2に取って代わる存在となっているように思う。この日エミレーツスタジアムに出向いたオリンピアコスも例外ではなかった。しかし“アーセナルブランド”の4-2-3-1とは異なり、クレコ、マチャド、フスターの2列目3人はやや深めに座って我々のパスプレーを妨害しようとしていた。オリンピアコスは負傷者の関係で標準より比較的弱めの戦力で臨んだ一戦となった一方で、アーセナルはフル戦力投入でこの試合に臨んだ。試合前にクエスチョンマークがついていたアルテタさえもしっかりとスタメンに並んだ。唯一の大きな違いは負傷しているディアビに代わって入ったコクランだった。


まとまりに欠ける立ち上がり

 合序盤、アーセナルにはいくらかの混乱と統一性の欠落が見え、結果ピッチ全体においてパスミスも目立った。しかし、これはオリンピアコスにも言えたことで、彼らはやや焦ってカウンターアタックを狙いすぎていたように見えた。オリンピアコスの攻撃の大半はピッチ左サイドから生まれていたが、ジェンキンソンが随分上手く対応していた。彼はこのポジションにおいて堅実なパフォーマンスを見せ、実際この試合で95%のパス成功率をマークした。アーセナルはその後落ち着きを取り戻し、65%のポゼッションで試合をコントロールした。


ポドルスキとギブスのコンビネーション

 ドルスキがより内側へと入ることで、オリンピアコスの右サイドが開き、ギブスが走りこむスペースが生まれた。しかし、ギブスについて言えることは、ボールを持つと十中八九クロスを入れるため、ゲームが非常に一面的となり、オリンピアコスの守備陣がプレー展開を簡単に予測できてしまう。結果、これらのクロスに対する守備を容易なものとしていた。それに加え、エリア内にジルーのようなパワーのあるストライカーを欠いている状態では、これらのクロスはどちらにせよ大した効果を持たない。試合中、ギブスはコーナーに走りこんでクロスを入れるより、ポドルスキにボールを戻すべきだったと感じた場面は何度かあった。

しかしポドルスキがより前へ出て中盤から切り込むことが多くなり、これがオリンピアコスを手こずらせた。オリンピアコスの守備的ミッドフィールダーたち、マニアティスシオヴァスがすでにカソルラを抑えるのに一杯一杯だった中で、これにポドルスキが加わり、更なる混乱を生んだ。恐らくコクランがもう少し前へ出てカソルラへのサポートを増やせていれば、アーセナルの攻撃にいくらか予測不可能な要素が加わっていたと思うが、残念ながら彼は攻撃面であまりいいポジションへ入れていないことが多かったように思う。


ヴェルマーレンの過剰な熱心さは代償を払う羽目にはならず

 ーセナル対チェルシー戦分析記事で、ヴェルマーレンがピッチを上がってタックルを入れる上でやや攻撃性を出しすぎだという点に触れたが、このオリンピアコス戦でも同じことが言えた。違ったのは、チェルシー戦ではこれが2度罰せられることとなったのが、この試合では代償を支払わずに済んだということだ。多くの場合、アーセナルに必要なのは、相手のプレーを制御しつつ味方が守備に戻ってくるまで支配下においておくこと以外の何ものでもない。中盤の選手たちが守備に戻ってくればチームはかなり堅実であるように思うし、恐らくよりリスクの低い、より賢明な剣術であると言えると思う。


堅い守備を打破 vs 許した甘いゴール

 の試合におけるゴール場面の顕著なコントラストは、アーセナルの最初の2ゴールが超のつくハードワークから生まれたものであったことだ。逆の視点から見れば、オリンピアコスは我々にその守備をそう簡単には破らせなかった。しかし残念なことにアーセナルには同じことが言えなかった。賛否両論はあるかもしれないが、個人的な意見としては、アーセナルが許したゴールはかなり甘いものだった。ミトログルのヘッダーが見事なものであったことに変わりはないが、コシェルニーヴェルマーレンがより上手く対処できていたはずであることも事実だ。アーセナルがチャンピオンズリーグでさらに勝ち進み、国内でタイトルを狙うのであれば、守備面での秩序がカギとなる。


選手交代と結び

 人的にアーセナルの選手交代はタイミングこそ遅かったものの、なかなかスマートだったと感じた。1点を追いかける立場となったオリンピアコスがディフェンダーをより高い位置に上げ始めていた状態で、ウォルコットが走りこむスペースが生まれていたし、ジルーラムジーの投入も良かったと思う。特に最後のゴールでこの二人が非常にいい連携プレーを見せたことにも言える。それに反して、オリンピアコスの交代カードはあまり効果的に使われなかったように見えた。マチャドに代わってストライカーのパンテリックグレコに代わってウィンガーのアブドゥンが入って幅を出した。しかし、オリンピアコスには残念なことに、グレコが打開できなかったアーセナルの右サイドはアブドゥンが入っても破られることはなく、またパンテリックが前線でのポジションを維持していたことでマチャドが守っていた守備域によりスペースができ、これが恐らく最後のゴールにもつながったと読める。しかし、すでに1点ビハインドだったオリンピアコスにとって、これは賭け以外の何ものでもなかったと言えるだろう。

最後に、アーセナルはこの試合において必ずしもベストのパフォーマンスを見せたとは言い難いが、何とかタフにホームでの勝利を奪い取った。国内のカップ戦同様、チャンピオンズリーグは小・中規模のクラブにとって非常に名誉高い舞台であり、彼らは可能な限りベストなチームで我々との対戦に臨む。そういう意味でも我々にガードを下げる余裕は全くないが、同時に我々がベストなゲームをプレーできていない時でも、特に後衛での秩序を維持できてさえいれば、必ず勝利へのチャンスは生まれるものだと思う。




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