昨年11月~12月にかけて話題になっていた
電波オークションについて。
デジタル広告の仕事まで影響が出てくるのはまだ先になりそうですが、
今年何かとニュースになりそうなので、簡単にポイントをまとめてみました。
【日本の電波利用状況】
日本において電波は総務省が管轄していて、
「この周波数の利用権はA社にしましょ」
と利用免許が発行されています。
複数の事業者が電波利用を申請したときは、
総務省に提出された事業・資金計画の優劣を比較し割り当てる事業者を決める「比較審査方式」を取っています。
↓現在はこんな感じで割り当てられてます(NAVERから拝借してきました)
この電波の利用権と利用料金について
・占有周波数の問題
UHF・VHFといった中心の周波数帯を通信業界・放送業界が占有しており、
その内殆どの周波数が未使用の空き枠になっている
・電波利用料の安さ
特に放送事業社の電波利用料がかなり安い
これらの問題から
・電波利用料見直し
・電波オークション導入
の議論が出てきました。
【電波オークション導入のメリット】
現行の比較審査制度からオークション制度に変更するメリットとしては
・市場競争の活性化
・新規参入の活発化
・税収の増加
(消費税1~2%分くらいのインパクトがあるかも)
などが考えられます。
新しい地上波テレビ局が登場するかもしれない。
【電波の利用料】
平成27年度の電波の利用料ですが、以下のような水準です。
●通信
NTTドコモ:約201億円
KDDI :約131億円
ソフトバンク:約165億円
●放送
NHK :約21億円
日本テレビ:約5億円
TBS :約4億円
フジテレビ:約4億円
テレビ朝日:約4億円
テレビ東京:約4億円
●売上比率(電波利用料/テレビ局売上)
アメリカ:約2.1%
日本 :約0.15~0.3%
通信業界に比べて放送業界の利用料は格段に安く、
売上高に対する割合も海外と比べてかなり低い水準にあります。
(そもそも通信業界も国際水準に比べるとかなり安い)
【日本における制度導入】
民主党政権時代に一度閣議決定されており、
関連法案が国会に提出されたものの、自民党の反対で廃案になっているそう。
現在は政府の規制改革推進会議で議論されいて、
2017年9月に菅官房長官が電波オークションの導入について
前向きな姿勢を見せたことで注目を集めました。
11月29日に答申が提出されましたが、総務省からの抵抗があり、
制度導入方針は明示されず「検討継続」という形で先送りとなっています。
【反対派の意見】
今は反対派の意見が強いように感じています。
反対の意見としては
・外資参入による安全保障上の懸念
・入札額高騰による経営コスト圧迫
などが挙げられて
放送業界、通信業界、総務省が主に反対しているそうです。
【オークション以外の部分は?】
個人的に気になっているのは、
電波オークションの対象になるのは「新しく」電波を割り当てる時の話なので
・既に割り当てられている電波の利用料金はどうなるのか?
・割り当てられているが未使用の周波数は回収するのか?
・回収した場合、周波数の二次利用の仕組みを作るのか?
これらの課題を含めて、新規参入がしやすい環境をどうやって整備していくのか?
12月に楽天が「第4のキャリア」として通信事業への参入意思を示されましたが、
新規参入を狙う企業が今後どれくらい現れてくるかで、
電波オークション導入が実現するかしないかに影響しそうです。
今回電波オークションについて色々調べた結果、
導入の必要性・メリットは明確なものの、
実現に至るまでに凄く苦労しそうな印象を受けています。
実際に仕事に影響が出るようになるのかもまだ分かりませんが、
今後も話題になりそうなので勉強を続けていきたいと思います。
↓この記事は凄く勉強になりました。
http://100koudou.com/?p=1729