つねに脚部不安を抱え大成が遅れていたデュランダル。

 

前年、スプリンターズS、マイルチャンピオンシップを連勝。スプリント・マイル、完璧な短距離王の座を得た。

 

 

フランス叙事詩『ローランの歌』の主人公ローランが持つ『聖剣』デュランダル。

 

最後方から直線だけですべての馬をナデ斬る。その切れ味は、まさに『聖剣』。

 

 

そんなデュランダルを、また襲った脚部不安。今度は裂蹄を発症。蹄が張り裂けた。

 

休まざるを得ないデュランダル。

 

春、高松宮記念はぶっつけ出走。サニングデールの2着。

 

その後、また裂蹄。弱くなった蹄はレースを使うと悲鳴を上げた。

 

秋、またぶっつけとなったスプリンターズSは、カルストンライトオの2着。

 

 

凄まじい切れ味を生むデュランダルの脚。その脚元は、スピードとパワーについて行けずボロボロだった。

 

それでも走り続けるデュランダル。

 

マイルチャンピオンシップ連覇へ・・・・・・頼む、蹄よ。持ちこたええてくれ!

 

 

 

 

対デュランダルへ。名乗りを上げた2頭の牝馬。5歳ファインモーションと3歳ダンスインザムードだ。

 

 

半兄にジャパンカップを勝ったピルサドスキーがいる外国産馬ファインモーション。

 

デビュー戦後、8カ月という長い休養を挟んで6連勝、秋華賞、エリザベス女王杯、G1を連覇。

 

その後、快進撃は止まったが、前年のマイルチャンピオンシップはデュランダルの2着。存在を示した。

 

 

春、安田記念こそ13着と惨敗も、夏、函館記念2着、札幌記念1着。

 

2年ぶりのG1制覇へ。鞍上は、エリザベス女王杯で『怪物や』と評価した武豊。

 

 

 

4戦4勝、無敗で桜花賞馬となったダンスインザムード。

 

全姉にダンスパートナー、全兄にダンスインザダーク、誉れ高き良血ぶりを発揮した。

 

 

オークス4着の後、海外遠征。アメリカンオークスに出走、勝てはしなかったが2着に健闘。

 

帰国後、ぶっつけで秋華賞を4着敗退。天皇賞秋に挑戦。

 

3歳牝馬が・・・・・・軽んじられた13番人気も、意地を見せたゼンノロブロイの2着。

 

ダンスインザムードにはうら若き3歳牝馬の可憐さなど、微塵も表には出せない。偉大な姉、兄をもつ、『良血』なるがゆえの宿命があった。

 

 

 

 

NHKマイルカップ、初G1挑戦で勝ち取った栄冠。

 

2002年、テレグノシスには、もう遠すぎる過去。

 

ダービー11着、マイルチャンピオンシップ4着、安田記念7着、ジャック・ル・マロワ賞(フランス)3着、ムーラン・ド・ロンシャン賞(フランス)13着、マイルチャンピオンシップ14着、香港マイル7着、安田記念2着、天皇賞秋11着。

 

再び掴みかけたこともあったが、苦しさが多かったG1挑戦。

 

それでも、ひたすら追い求めるテレグノシス。

 

再びの栄冠。

 

 

 

 

デビューから新馬戦・東京スポーツ杯2歳Sを連勝したサンデーサイレンスの逸材、アドマイヤマックス。

 

再々の故障で使い込めないもどかしさ。

 

3歳3戦、4歳5戦、未勝利も安田記念2着、スプリンターズS3着。実力の一端は見せてきた。

 

 

5歳になって、3度目の長期休養明けは10月だった。

 

ポートアイランドS4着、休養明け2走目の富士Sを差し切り勝ち。

 

3年ぶりの勝利を重賞で飾り、念願のG1獲りに出た。

 

 

 

 

マイルチャンピオンシップ3着、高松宮記念4着、逃げ脚にかける4歳スピード馬ギャラントアロー。

 

朝日杯フューチュリティS2着、NHKマイルカップ3着、3歳のスピード馬はメイショウボーラーだ。

 

 

 

国際競走、イギリスからやってきたラクティ。

 

G1・4勝の実績で人気を集めた。

 

 

 

11月21日、マイルチャンピオンシップ。

 

1.ギャラントアロー

2.フォルクローレ

3.ラクテイ

4.マイネルソロモン

5.ファインモーション

6.マイソールサウンド

7.デュランダル

8.テレグノシス

9.バランスオブゲーム

10.プリサイスマシーン

11.メイショウボーラー

12.アドマイヤマックス

13.マイネルモルゲン

14.ナイトフライヤー

15.ダンスインザムード

16.ロードフラッグ

 

 

1番人気デランダル、2番人気ファインモーション、3番人気ラクテイ。

 

4番人気ダンスインザムード、5番人気テレグノシス。

 

 

外国馬ラクティが出遅れ、真っ先に飛び出したのはメイショウボーラーだったが、

 

内から強引にハナを切って行ったのは、やはり、ギャラントアローだった。

 

 

2番手に下げたメイショウボーラーの外からナイトフライヤー。

 

内から、猛然と馬群をかき分けるように上がってきたのは、出遅れたラクティだ!

 

ロードフラッグ、バランスオブゲームが続き、ひしめく中団馬群。

 

その中にダンスインザムード、アドマイヤマックスがいた。

 

 

後方馬群にファインモーション。

 

テレグノシス、デュランダルが続く。

 

最後方がマイネルソロモンだ。

 

 

 

後方に固まった有力馬。

 

届くのか?

 

 

 

逃げまくるギャラントアロー。

 

直線に入った。

 

 

後続が追い上げ、

 

力尽きたギャラントアロー。

 

 

先行勢が次々と馬群に吞み込まれていく。

 

 

外から、先頭に躍り出たダンスインザムードだ。

 

決めてやるッ!

 

 

ランランと輝く目が、ゴールを見た。

 

並ぶように上がってきたプリサイスマシーンを、振り切った。

 

 

先行馬が崩れ、後続が追い上げ、一転した流れ。

 

 

 

大外から、怒涛の追い込みを見せる。

 

テレグノシスだ!マイネルソロモンだ!

 

 

ひと際高く上がった歓声。

 

それを背に突き進む。

 

 

デュランダルだッ!

 

『聖剣』デュランダルが、前行く馬たちをナデ斬り、

 

前を行くダンスインザムードに迫ったァ!

 

 

たとえ、蹄がブッ潰れようと、

 

前行く馬は、みんなとらえて見せるッ。

 

 

一気に駆け抜けた『聖剣』。

 

デュランダルの前に、もはや敵はいなかった。

 

 

1着デュランダル

2馬身

2着ダンスインザムード

1馬身4分の1

3着テレグノシス

4分の3馬身

4着マイネルソロモン

半馬身

5着プリサイスマシーン

 

 

(つづく)