3歳牝馬の祭典、桜花賞。

 

この年も、サンデーサイレンス産駒の牙城は崩れそうになかった。

 

2002年8月に亡くなったサンデーサイレンス。父を惜しむように産駒たちの活躍はより目立つようになった。

 

 

 

2歳12月、新馬戦・芝1600m。単勝1.3倍という圧倒的人気で、2着のジョリーダンスに6馬身差の逃げ切り勝ち。

 

ただただ、スピードの違いで先頭に立っただけ。

 

 

父サンデーサイレンス、母ダンシングキイ。

 

全姉がオークス、エリザベス女王杯を制したダンスパートナー。

 

全兄が皐月賞不出走、ダービー2着、菊花賞優勝。8戦5勝、2着2回、3着1回で引退したダンスインザダーク。

 

偉大な兄姉を持つ『ダンス一族』のダンスインザムードだ。

 

 

関東の名門厩舎となった藤沢和雄厩舎からデビュー。

 

王道を踏まない藤沢流のローテーション。3歳となって若竹賞(500万下)、フラワーカップ(G3)を勝ち3戦3勝で関西へ乗り込んだ。

 

『3冠馬』メジロラモーヌ以来、18年ぶりの関東馬による『桜の女王』を狙う。

 

 

 

 

対抗する関西馬。しかも、サンデーサイレンス産駒の宿敵ともなるのがスイープトウショウだ。

 

父エンドスウィープ、母タバサトウショウ。祖母サマンサトウショウ。

 

サマンサ、タバサからくる『奥さまは魔女』(アメリカのテレビドラマ)のイメージからのスイープ=掃く(ほうき)でもあった。

 

 

非常に激しい気性の牝馬として知られ、調教コースに入ろうとしない、いざ入っても数十分立ち止まって動かない・・・・・・そんな馬だった。

 

レースでも出遅れることが多く、『じゃじゃ馬』ぶりを遺憾なく発揮した。

 

そんな中で、2歳時は新馬戦・ファンタジーSを連勝。阪神ジュベナイルフィリーズでは1番人気もヤマニンシュクルの5着に敗れる。

 

 

3歳になり、1月、紅梅Sでダイワエルシエーロを差し切り勝ち。

 

3月、桜花賞トライアル・チューリップ賞ではアズマサンダース、ヤマニンシュクル以下を差し切った。

 

いつも後方から、展開不問。差し脚が爆発するか、どうか?それだけだった。

 

 

 

 

トウカイテイオーの仔、ヤマニンシュクルは『2歳女王』としてサンデーサイレンス産駒に立ち向かう。

 

2勝、2着1回、3着1回。6番人気で臨んだ阪神ジュベナイルフィリーズ。

 

同厩舎、同馬主のヤマニンアルシオンと壮絶なゴール前の叩き合いでクビ差勝利。

 

『2歳女王』となった。

 

 

3歳、トライアル・チューリップ賞はスイープトウショウの3着。

 

桜花賞はスイープトウショウへのリベンジ。そして、サンデーサイレンスの牙城を打ち破る!

 

 

 

 

西のサンデーサイレンス産駒。筆頭となるか、ムーヴオブサンデー。

 

デビューは3歳1月と遅かったが、小倉・新馬戦を9馬身差勝利。

 

2月、萌黄賞(500万下)を勝ち連勝。

 

3月、桜花賞トライアル・フィリーズレビューでは、1番人気マルターズヒートの差しを振り切り、1馬身4分の1差勝利。

 

一気に桜花賞に名乗りを上げた。

 

 

 

 

父サンデーサイレンス、母が桜花賞2着ロンドンブリッジというダイワエルシエーロ。

 

新馬戦を勝った後、紅梅Sではスイープトウショウの2着に敗れた。

 

3戦目に選んだのが東京遠征のクイーンカップ。

 

見事に差し切り、桜花賞出走をつかんだ。

 

 

 

 

最強の1勝馬となるか?アズマサンダース。

 

2歳時、新馬勝ち後、札幌2歳S2着。阪神ジュベナイルフィリーズは6着と敗れ去った。

 

父サンデーサイレンス、父母シンボリルドルフ。血の背景にある誇り。

 

3歳、トライアル・チューリップ賞に挑戦。スイープトウショウに迫る2着。

 

桜花賞へ進む1勝馬。

 

 

 

母はエリザベス女王杯2着馬ランフォザドリームのフィーユドゥレーヴ。

 

阪神ジュベナイルフィリーズを、新馬勝ち挑戦で2着したヤマニンアルシオン。

 

ともに西のサンデーサイレンス産駒の伏兵。

 

 

 

ダンスインザムードばかりでない東のサンデーサイレンス産駒。

 

アネモネSを制したレディインブラック、2着ギミーシェルター。

 

 

18頭中8頭ものサンデーサイレンス産駒が登場。

 

さて、さて、桜の女王は・・・・・・。

 

 

 

4月11日、桜花賞。

 

1.エイシンヘーベ

2.ヤマニンアラバスタ

3.ギミーシェルター

4.スイープトウショウ

5.マルターズヒート

6.ヤマニンシュクル

7.クリスタルヴィオレ

8.ホシノピアス

9.ダンスインザムード

10.レディインブラック

11.ウェディングバレー

12.ロイヤルセランガー

13.アズマサンダース

14.フィーユドゥレーヴ

15.コンコルディア

16.ヤマニンアルシオン

17.ムーヴオブサンデー

18.ダイワエルシエーロ

 

 

1番人気ダンスインザムード、2番人気スイープトウショウ、3番人気ムーヴオブサンデー。

 

4番人気ヤマニンシュクル、5番人気ダイワエルシエーロ。

 

 

 

ゲートが開くなり飛び出したのはホシノピアスだったが、

 

すぐに外から交わして行ったのがヤマニンアルシオンだ。

 

 

続いて行ったムーヴオブサンデーが2番手外につけ、コンコルディアが4番手。

 

その後ろにアズマサンダース、ダンスインザムードがつけた。

 

 

中団後ろに、フィーユドゥレーヴ、ヤマニンシュクルが行く。

 

ギミーシェルター、レディインブラックは後方。

 

 

相変わらずダッシュのつかないスイープトウショウは後方2頭目。

 

切れ味勝負にかける。

 

 

 

とにかく逃げる、ヤマニンアルシオン・和田竜二。

 

4コーナーへ向けて、一気に後続が詰めてきた。

 

 

 

直線入り口で、内外横並び。

 

 

ヤマニンアルシオンに並びかける、

 

ムーヴオブサンデー・安藤勝己、

 

ダンスインザムード・武豊だ!

 

 

直線、抜け出したサンデー2頭。

 

必死で追うムーヴオブサンデー、安藤勝己!

 

ダンスインザムード、武豊がムチを抜いた。

 

 

研ぎ澄ましたような切れ味。

 

グイッと出たダンスインザムード。

 

 

これが、『ダンス一族』の、血の強さ、だッ!

 

一気に抜けた。

 

 

外から追ってきたのは、サンデーの強い、強い1勝馬。

 

蛯名正義が懸命に追うアズマサンダースだ!

 

 

大外から、ヤマニンシュクル・四位洋文も飛んできた!

 

 

遅れてやってきたスイープトウショウ。

 

その切れ味に、凄みはなかった!

 

 

 

伸びるアズマサンダース!

 

その伸びは絶望的だった。

 

 

ダンスインザムードの躍動に・・・・・・迫れないッ。

 

 

4戦4勝、無傷の桜花賞馬。

 

桜吹雪の中を女王が駆け抜けていった。

 

 

1着ダンスインザムード

2馬身

2着アズマサンダース

2馬身半

3着ヤマニンシュクル

ハナ

4着ムーヴオブサンデー

1馬身半

5着スイープトウショウ

 

 

(つづく)