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シリーズでお届けしています、


代表的な9つの死への恐怖と克服の道、今日は4回目です。


一口に「死への恐怖」といっても9通りあると教えられています。

シリーズでお届けしている、今日はその3回目です。

■代表的な9つの死への恐怖

その一番目は、「苦痛への恐怖」です。

さらに「苦痛」も大きくわけると4通りになります。

①身体的苦痛……痛みや呼吸困難などの体で感じる苦痛

②精神的苦痛……体が思うようにならない苛立ちや、人への不信感などから来る苦痛

③社会的苦痛……残される家族への心配や、社会的な役割の喪失にかかわる苦痛

④霊的苦痛………今までの人生の意味や、死の意味を考える事から来る苦痛

ここに深い問題が含まれています。

「身体的苦痛」については前回お話ししましたので、今日は「精神的苦痛」です。



さて、ちょっと唐突ですが、「有難う」の反対語は何でしょう?

もちろん、決まった答えはありません。

いくつか思いつくかもしれません。



その一つが「当たり前」です。



手が動くのが当たり前、

足が動くのが当たり前、

しゃべれるのが当たり前、

聞こえるのが当たり前、

学校に行けるのが当たり前、

会社に行けるのが当たり前、

食事できるのが当たり前、

夫が帰ってくるのが当たり前、

妻がいてくれるのが当たり前、

親がいてくれるのが当たり前、

子供がいるのが当たり前、



みんな当たり前に思いがちですが、

実際は有難いこと。



有難いとは、「有る」ことが「難い」ということでめったにないことをいいます。

そもそも、人間に生まれることは、大変有難いことです。

いかに人間に生まれることは「有難い」か、

『雑阿含経』の中には、有名な盲亀浮木の譬喩(もうきふぼくのたとえ)が説かれています。

ある時、お釈迦さまが
「例えば、大海の底に一匹の盲亀(もうき・目の見えない亀)がいて、百年に一度、海上に浮かび上がるのだ。

その海には、一本の浮木が流れていて、浮木の真ん中に、一つの穴がある。盲亀が百年に一度浮かび上がった際に、その浮木の穴へ、ちょうど、頭を突っ込むことがあるだろうか」

と尋ねられた。

阿難という弟子が、「そんなことは、毛頭、考えられません」と答えるとお釈迦さまは、

「誰でも、そんなことはありえないと思うだろう。だが、何億兆年よりも永い間には絶対にないとは、誰も言い切れないであろう。人間に生まれるということは、この例えよりもありえない有り難いことなのだよ」

と仰っています。


「有り難い」とは「有ることが難しい」ということで、めったにないことを言います。

このように人間に生まれることは、それほど喜ばねばならないことだと、お釈迦さまは教えられています。



ところが、人間に生まれたことを「有難い」と喜んでいるどころか、生まれたことを当たり前に思い、さらには、「なんで生まれてきたのだろう。人間に生まれさえしなければ、こんなに苦しまなくてよかったのに」と恨んでいる人さえあります。

それは、何のために人間に生まれてきたのか、何のために生きているのか。なぜ苦しくても生きねばならないのか。人生の目的が分からないからです。


生きる意味の分からない苦しみを、太宰治は、次のように表現しています。

「ああ、人間の生活には、喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。

幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。

ああ、人間の生活って、あんまりみじめ。生まれて来ないほうがよかったとみんなが考えているこの現実。

そうして毎日、朝から晩まで、はかなく何かを待っている。みじめすぎます。

生まれて来てよかったと、ああ、いのちを、人間を、世の中を、よろこんでみとうございます。 」(『斜陽』)


私たちは、苦しむために生まれてきたのではない。「生まれて来てよかった」と、命を喜ぶために生きているのです。全ての人間の究極の願いは、苦悩をなくして、いかに明るく楽しく人生を生きるか、に尽きましょう。

このように、本当は有難く感謝せねばならないことでも喜んでいない人ばかりといってもいいすぎではありません。

実際、手が動かせなくなり、

足が動かせなくなり、

しゃべれなくなり、

聞こえなくなり、

学校や会社にいけなくなり、

言うに言われぬ苦痛にさいなまれます。

その苦痛は大変なもの。

死を前にした精神的苦痛とはそのようなものです。



実は、もっと深いところに、本当の苦悩の根っこがあるのですが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。



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