生存確認。~栗の渋皮煮~
星おじーちゃんとは。
あたしの前の会社の上司なんだけどね。
時には部下。
時には友。
時には子供。
みたいな。
そんなお人で。
別名を「困ったさん」
もしくは「流れ星」と言います。
まぁ・・・詳しい解説はこちらにあります。→星おじーちゃんの退職日
そんな星おじーちゃん。
あれから久しく会っていないのだけども。
まぁ。
あたしと星おじーちゃんの仲ですし。(カレコレ8年のお付き合い。)
彼も老人ですし。(御歳65歳。)
年寄りの1人暮らしですし。(ビックリするような山奥で。)
孤独死とかになっても困るので、
月に一度くらいは電話をして、生存確認をする仲を続けております。
昨日はその生存確認デーだった。
プルルルル
プルルルル
星おじーちゃん「ホシホシ。モシです。」
いつも変わらぬ電話の出方。
(ホシとモシをかけて、ホシホシモシ。みたいな。)
オヤジギャグを超えたじじーギャグ。
在職中、100万回くらい聞いたこの出方。
今でこそ思うけど。
お客さんに対してもこの出方だったところがすごい。
(大抵のお客さんは、皆ドン引きで、超さっむい空気が流れるんだけど、
それでも彼は無視してしゃべり続けますけどね。ちょーマイペース。)
あたし「もしもし。星さん?」
星「ホシホシ。モシですが。」
あたし「久しぶりだねっけ。元気そーみってだけど、生きとったかね。」
訳:久しぶりだねー。元気そうだけど、生きてた~?
星おじーちゃん「誰?」
そりゃねーだろ。
どーしてやろーかと思ったけど、
元気そうだったんでヨシとする。
(多分来月辺りまたブログに登場します。今度はうちの庭師として。)
じゃ。
今日は栗の話。
大好きな栗シーズン到来につき、
今年も山盛り仕込みました。
秋と言えば。
芋・栗・かぼちゃ。
これが定番。
だけれども。
あたしの中では、
栗・栗・マロン。
ダネ。(ようは、芋もかぼちゃも見えない。と。)
栗が好きでね~。
超大好きでね~。
いつか庭に栗の木を植えたいくらい栗が好き。
(木の手入れができなそうなんで、植えませんが。)
マロングラッセも甘露煮も。
超超超大好きなんだけど。
あたしの料理と言えば。
基本的に手間も暇もいらないものが大半で。
むしろそれがウリ的なところもあるんだけど。
コイツに至っては。
手間もかかれば、時間もかかる。
決して難しい作業ではないんだけど、
こいつにかかる手間と暇は、
他に類を見ないよね。
でもね。
美味いんさ。
4時間もかけてこんなもん誰が作るんだ。
っても思ったんだけどさ。
でもね。
美味いんだよね。
きっと誰も作らんだろうなー。
っても思ったんだけどさ。
でもね。
本気で美味いんさ。
スーパーに行けばさ。
1瓶1000円くらいで買えるんだけど。
自分で作った渋皮煮は、
10,000円の価値があると思う。 本気で。
こんな面倒なもんを本気で作りたい方がいるかどうかは分かりませんが、
せめて、どなた様でもお分かりになるよう、
超親切丁寧に書いておきますんで、
熟読してから栗の木を育ててください。(あたしのタメに。)
栗の渋皮煮
【材料】栗1キロ分
栗・・・・・・1キロ
砂糖・・・・・400~500g
ラム酒・・・・・小1
重層・・・・・小2
【作り方】
1:栗はたっぷりの水に一晩つけておく。
これは、栗の皮をむきやすくするタメです。
お湯を入れて1時間程度浸してもいいんんですが、水で一晩つけたほうが断然むきやすいです。
渋皮煮は、「栗の皮剥き」という作業が、大変度の30%を占めていますんで、
たっぷり浸して、皮を十分に柔らかくしてから始めることを推奨します。
2:栗の鬼皮を剥く。
これは、たっぷりの水に一晩浸した栗の全貌。
この画像で見える皮が鬼皮。(栗の一番外側の皮。)
この栗をくるっとひっくり返しますと。
栗のおケツの部分(ザラザラしたとこ。)が見えますね。
ここにうっすらと包丁を入れる。
うっすらと。ね。うっすらと。
そしたらあとは手で剥けます。
おケツのほうからてっぺんに向かって剥くと筋の部分が一緒に取れていいんだけど、
なにぶん1キロの栗を剥くという作業は並大抵のものではありませんので、
てっぺんからおケツのほうが剥きやすいって方は、それでもいーです。
剥けてりゃいい。
でもね、もし。剥いてる途中で筋が取れたら、それも一緒に剥き取ってください。
あくまで無理をしない範囲で。(栗を傷つけないように。)
この画像で見える茶色の皮が渋皮。
これがないと渋皮煮にならないので、間違ってこれを剥かないように。
ちなみに、包丁を入れる時、力を入れ過ぎるとこうなります。
これね。煮てる時絶対割れるから。
割れてしまうと自分が一番せつないので、こうならないよう、気をつけてお剥きになって。
3:剥けた栗は、すぐさま水に浸しておく。
栗が乾燥すると割れちゃうんでね。乾燥防止。
4:栗の重さを計る。
この後、砂糖で煮るんですけど、その時の砂糖量が、栗の重量の50%ってのが目安。
うちは、ネット入り1キロ(398円)の栗を買いました。
鬼皮の重量は、総重量の10%程度と言われてますんで、まぁ、こんなもんだね。
5:栗をさーっと水洗いし、鍋に栗と、栗が浸る程度の水、重層小さじ1を入れて中火にかける。
鍋はね、できれば厚手のものがいいです。
火にかけて5分くらいすると水の色が赤っぽくなります。
そのまま気にせず火にかけてヨシ。
ふつふつっとしてきたら火を弱め、栗が動かない程度の弱火にする。
弱火にしたら、10分くらい煮ます。
アクがでてきたら丁寧に取り除く。
できるだけコマメに取り除く。
アクと一緒にゴミみたいなもんが取れることもありますが、これは栗の筋です。
取れたら取る。取れなかったらそのままでいいです。(栗を不必要に触って傷つけないように。)
10分くらいすると鍋の水が相当な色になりますが、驚かなくていいです。
こんなもんですから。
水圧で栗が割れる可能性もあるので、弱めの水圧で。弱めね。弱め。
ザルに開けると栗が傷つくので、ザルは使いません。
指の腹を使って栗をなでる。
筋がついていると、触った時ザラザラします。ツルツルになるまで栗をさする。
固い筋があればこれも取り除く。
爪楊枝を使ってもいいけど、指でも取れます。あたしは指派。
こうやって書くとすげー楽そうなんですが、この作業は、大変度の50%を占めていると思う。
1個1個選別して筋を取るこのチマチマした作業。
根暗なあたしは結構好きですがね。おかんは気が狂いそうって言ってたわ。
余談ですが、栗というものは、煮れば煮るほど勝手に筋が取れます。
(これは1回煮ただけで勝手にとれた筋の量。)
2回煮た後にこの筋取りをしたほうが筋が少なくて楽なんですけど、
2回煮ると栗自体が結構柔らかくなってて、うっかり栗を割っちゃうこともあるので、
あたしは一回煮た後に筋取りをします。
2回煮た後のほうが楽な方は、2回目の後に筋取りしてください。
8:綺麗になった栗はすかさず綺麗な水の中へ浸す。
乾燥防止。栗は常に水の中へ。
このくらいになると、結構うんざりしてくるんですけど、これで進度60%くらいです。
ファイトー。
9:鍋を綺麗に洗い、筋を取った栗と浸る程度の水、重層小さじ1を入れ、再び火にかける。
先ほどと同様、とりあえず中火にかけて、ふつふつっとしてきたら弱火(栗が動かない程度の)に。
先ほどと同様、またもやアクも取る。
アクを取りつつ、弱火で10分程煮る。
10:鍋をシンクに移し、弱めの水圧で水を流す。
煮れば煮るほど栗が割れやすくなりますんで、お気をつけて。
間違ってもザルに開けたりしないように。(2回煮た後サルにあげると相当割れるで。)
11:栗も鍋も綺麗に洗い(もちろん手でひとつひとつ)鍋に綺麗な栗と浸る程度の水を入れ中火にかける。
もう重層は入れません。真水で煮ます。
ふつふつっとしてきたら火を弱め、(栗が動かない程度の火加減に。)5分程煮る。
すでに2回も水を替えてますし、もう十分だろうって感じなんですけど。
12:実は、もう一回水を替えます。
剥くのも相当難儀で、かなり大変なんですけど、
水替えの作業も相当難儀でうんざりします。
しかし、これも全ては栗の渋さを取るタメ。
弱い水圧で、水が綺麗になるまで水を流し入れてくださいまし。(栗を壊さないように。)
13:綺麗な水を入れて、またまた火にかけ、ふつふつっとしたら弱火にし、今度は10分煮ます。
栗が動かない程度の弱火でね。蓋はしません。
14:栗を煮ていた水をすべて捨て、栗は綺麗な水をはったボウル(鍋)に移動。
これでもう水替えの呪いからは解放されました。お疲れ様。
15:鍋に砂糖の半量を入れ、その上から栗を全て入れ、さらにその上に砂糖の残りを入れる。
下から砂糖→栗→砂糖の順に。
我が家で使った砂糖は470g。そのうち2割程度をきび砂糖にしました。
砂糖の量は鬼皮を剥いた栗の50%が目安。
日持ちさせたければ、もっと入れてもいいです。(入れれば入れた分だけ日持ちもします。多分。)
ちなみに、きび砂糖入れるとちょっと柔らかい感じの甘さになります。(白砂糖オンリーでももちろんOK)
16:弱火にかけ、鍋をゆするようにして(栗を壊さないよう優しくね。優しく。)砂糖を溶かす。
栗を入れる時、多少の水分が入るんで、特に水がなくても砂糖は溶けます。
あたしは特に水を入れず砂糖のみで煮るんですけど(そのほうが美味いんで。)
厚手の鍋がない方は1/2カップ程度の水を入れたほうがいいかも。
17:蓋をして、弱火で5分程煮る。
唯一蓋を使う時です。この時以外は蓋不要。
ルクルーゼやストウブ等の厚手の鍋以外を使うなら10分程煮てください。
18:最後にラム酒を加え、火を止める。
使ったラム酒は製菓用のんです。300円くらいで売ってるやつ。
これだと香りがいいので小さじ1も入れれば十分なんですけど、
普通のラム酒を使う場合は大さじ1くらい入れたほうが美味い。
あたし「でーーーきーーーたーーーーー!!!」
これを見るまで、4時間かかってます。
お疲れ様。アタシ。
がんばったね。アタシ。
あたし「ひゃっほー!」
4時間かけてできあがった栗の渋皮煮。
手間も時間もかかった分だけ、
喜びもひとしお。
嬉しさもひとしお。
だからね。
嬉しい分だけ。
あたし「食いたーーーーーい」
そう。
すぐに食べたいのが人というもの。おかめというもの。
なんですけども。
19:蓋をして必ず一晩待ちましょう。
(味を染み込ませるタメ。乾燥しないように必ず蓋を。)
あたし「はー・・・栗さん・・・❤」
若干割れてるトコとかあるけど、いいのいいの。
こんなんご愛嬌。
あ。
ちなみにね。
最初、鬼皮を剥く時にうっかり渋皮も剥いてしまった栗の例。
仕上がりはこんなんです。
これはソッコーあたしの胃袋行き。
あたし「ちょーうまーーーーーーーーーーい!」
ホント美味い。
マジで美味い。
この美味さが10,000円。
この渋皮煮。
シロップが多いタイプではないので、
保存は瓶ではなく、ジップロックを使ってます。(空気を抜いて栗がシロップに浸るように。)
長期保存をする時は、シロップも入れた状態で冷凍。
解凍は自然解凍で。(そっこー溶けます。)
栗の渋皮煮。
手間も暇もかかって、
本当に大変なんだけど、
この美味しさには代えられない。 10,000円の価値がある。
しつこいくらい何度も言いますが。
ホントうめーです。 これぞ秋。
最後に。
工程19まで長々と書きましたが、
ようは。
1;栗を水に浸して鬼皮を剥く。
2:重層入れて煮る。
3:筋を取る。
4:重層入れて煮る。
5:真水で煮る。
6:真水で煮る。
7:砂糖で煮る。
皮むいて、重層で煮て、筋とって、重層で煮て、真水で2回煮て、最後は砂糖で煮ろ。
っつーことです。
(言葉にすると簡単だけど、実際は相当な作業ですわ。)
ぽちっと応援ありがとう!
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テクニックは要らんけど、
根性は要ります。(あの地味な作業に耐える根性。)