変態的な言葉で美しいテーマを描く

言葉は悪いけどね

清純派AV女優の逆な感じ、痴女型純情乙女な歌詞


ヌード#1

A
そのギラギラした
メイクにひびを入れて
ちょっと剥いてみな

多分大丈夫だからさ

サビ
痛くないから
さぁ
痛くないから
さぁ

ちょっとだけだから

A
なぁヌラヌラした
指じゃ滑るだろ
そっと拭いてみな
多分大丈夫さ

サビ
臭くないから
さぁ
臭くないから
さぁ

剥き出しにしよう

B
指先を当てて
爪を立てて
力込めて
少しずつ

サビ
痛くないから
多分
痛くないから
多分

多分大丈夫さ


聞こえないから
絶対
部屋の外には
絶対


赤い「身」ハジケタ

C
君は笑いながら
君は叫びながら
涙流しながら
シャワー浴びる君は

世界で一番綺麗だよ
綺麗だよ

さて、今回は初の試みで、自分の書いた歌詞でなく、人の書いた歌詞に技術的な解説を加えていくということを行ってみます。今回は福岡のインディーズバンドIORYの歌詞について解説をしていこうかなと思います。なお、この解説は私の独断と偏見で行いますのでIORYの意図しない部分もあるかもしれませんが、まぁ気にしないで下さい。転載については許可を得ております。


Rotation lyrics & music IORY


水面に揺れる空を見ていた

流れる雲は西へと向かい

巡り巡ってまたこの場所

ただ漂っていた心の奥で



静かな風は時に激しく

形あるものを通り過ぎてゆく

包んで壊してを繰り返し



Ah Rotation



耳を澄ましてよ

かすかに聴こえる

命の鼓動が

埋もれて消える



海は呼吸をするかのように

波を寄せては砂を連れてく

涙こぼれても海に還り



Ah Rotation



耳を澄ましてよ

かすかに聴こえる

命の鼓動が

微笑み癒える



Rotation


そうでしょう?




耳を澄ましてよ

かすかに聴こえる

命の鼓動が

生まれて育つ



<解説>

まず、字面を読んで気づくのはおそらく「輪廻転生」をテーマにしているのかなという事でしょう。輪廻転生というと死を扱わないといけないのでどうしても血なまぐさい表現が必要となったりして、聴く側にも心の準備を必要とする場合があります。しかしながらこの歌詞は異様なほどにさっぱりして清らかに前向きなメッセージが受け止めやすく入ってきます。

何故、あっさり受け止めやすく入るのか、ここで用いられている技法について解説していきます。



1 情景、視点の動かし方

この歌詞では動いているものが大きく分けて二つあります。

A主人公が見ているあるいは感じているもの。

B「命の鼓動」


元来歌詞の中では情景の動きは大きく、しかし「方向転換は0-1回」がよいです。

こうすることで歌詞全体の一体感が増します。また聴く人もイメージしやすいです。

Aの場合、視点は「空から水平線最後は海」と上から順に下がってきます。しかも海と絡める為に、最初敢えて空を直接主人公に見せるのではなく水面に映ったものを見せています。

Bの場合はサビの最後のフレーズに注目して欲しいのですが「埋もれて消える→微笑み癒える→生まれて育つ」と死から再生の順に動いているのが分かります。サビの最後のフレーズの母音が全てuになっており、一旦流れがそこで確実に一呼吸おかれる構成になっています。


こうした情景の動きは聴いていてはっきり認識できない事が殆どです。

オリジナル楽曲などを聴いているうち、スーッと心に入ってくるものとそうでないものがあると思います。だいたい心に入りやすいものは情景の動きの方向転換は少ないのです。つまり聴く者の無意識に配慮した技術ですね。




2 比喩の種類

この歌詞をpick upしてご紹介しようと思ったのは、比喩のセンスが素晴らしかったから。

輪廻転生など「死」に関するものをテーマとして扱うときは、どうしても痛かったりあるいは汚かったり生々しかったりする表現を扱わざるを得ないことが殆どだし、そうした表現を扱わなければ伝わりにくいです。鬼束ちひろさんなどは「苦悩」を表現する為に生々しい言葉を積極的に選んでいますよね。死を扱う場合も生々しい言葉を選ぶ方が本来であれば伝えやすいです。


しかし今回見て分かるように比喩に用いられているのは海や砂や風など清らかなものばかりです。なおかつ時代がどれ程変わっても変わらず存在しているとても大きなものばかりですね。


敢えてその大きな存在の中で命を「死から再生へと」動かす事で動きを際立たせています。

生々しい言葉は人間に眼を背けたい衝動を起こします。しかし、この歌詞のように清らかで美しいものを扱う場合はすんなり聴く者の気を引きます。その中でシンプルに命が「死から再生へ」向かう。だから聴く者の無意識に情景が認識され届く。



こんなところでしょうか。

しかも重厚なテーマなのにアレンジは敢えてPOPであっさり。逆に巡る事が非日常ではなく日常的に起こっている事なんだと伝わります。



そんな彼らのライブが11/5福岡のHEART BEATであります。

噂では年内福岡最後との事。

未体験の方、彼らのステージを体験してみては?


IORY HP

MOBILE http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=IORY_web

PC    
http://iory4.web.fc2.com/index.html  



福岡市中央区天神1丁目13?28つくしビルB1

電話

092-715-3926

HP

http://web.me.com/heartbeatstation


HEART BEAT

住所









細い体で
毒を飲み干す
土砂降りの雨
窓を叩いた


歌えない鳥は
打ちつけられて
死んでしまったよ
どこか遠くで


空の瓶が
こぼれ落ちる
音が響く
耳元で


誰にも届かない
悲鳴は
きっとこんな風に
響いたのさ
動けない体で
一人きり
空を飛んでいる
夢を見たい



空の瓶が
壁に当たる
乾いた音
ひとつ立てて


誰にも知られない
悲劇は
きっとこんな風に
見えてたのさ
歌えない体で
一人きり
もう一度空飛ぶ
夢を見る


誰にも届かない
悲鳴は
きっとこんな風に
響いたのさ
動けない体で
一人きり
空を飛んでいる
夢を見た


目覚めて
叫んで
もう一度
目覚める


もう一度
叫んで
空を飛ぶ
叫んで…


解説

以前FLYというタイトルでうpした作品を本当に微妙に修正したもの。情景の動きが雑なところを直しています。絶望からの再生がテーマです。今立ち上げ中の自分のプロジェクト「コトノハ」に使用する予定の歌詞でもあります。