生きる

生きているということ

いま生きているということ

それはのどがかわくということ

木漏れ日がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみをすること


あなたと手をつなぐこと



生きているということ

いま生きているということ

それはミニスカート

それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス

それはピカソ

それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

そしてかくされた悪を注意深くこばむこと



生きているということ

いま生きているということ

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ



生きているということ

いま生きているということ


いま遠くで犬が吠えるということ

いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ

いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ


いまいまがすぎてゆくこと



生きているということ

いま生きてるということ

鳥ははばたくということ

海はとどろくということ

かたつむりははうということ



人は愛するということ


あなたの手のぬくみ

いのちということ


「生きる」　　　　谷川俊太郎

守ることのむずかしさ

ほかの誰かの命を守ること

子供たちの未来を守ること

幸せな生活を守ること

ルールを守ること

約束を守ること

守ることは困難に打ち勝つ思いがなくてはできないし

その困難は想像以上のことが多い。

結局守れないことの方が多いのかもしれない。

それでも守ろうとする意志を絶やさないことが

人が人らしい所以なのではないかと思うのです。


人は強くもあり弱くもある。

他人事にしないでください

地球という星の

アジアという地域の

日本という小さな島国の

街の

村の

会社の

家族の

おじいちゃんに

おばあちゃんに

おとうさんに

おかあさんに

おにいさんに

おねえさんに

おとうとに

いもうとに

いとこに

おじさんに

まごに

ひまごに

うまれたばかりのあかんぼうに

うまれるまえのこどもに

信じられないできごとが起きて

そのなかでだれもが今、この瞬間も

苦しんでいることを

お願いですから他人事にしないでください。

じゃあどうすればいいのか。

その正しい答はわかりませんが

自分のことのように考え

自分のだいじな人を思うように

その顔も知らない人たちのことを思ってください。

お願いですから。