昔々、
何も知らない僕が
愛が存在しない この街へと来た。
傷だらけな顔をした 魔女に出逢い
「大切なものをくれれば、君に愛を教えよう」と。
ココロを売って あなたの愛を買った。
なんせ僕の詩は価値なんかないから。
時間を忘れるほど 二人で遊んだ。
楽しい事、秘密事、一つ増える度
魔女の傷が 一つずつ消えていった。
とても美しくて凛とした顔に 戻った日に
「君は愛を知ったから、今度は痛みを教えよう」と
そう言ってあなたは
僕が売ったココロを差し出し
二度と人を愛せないようにと 解けない呪文をかけた。
嫌いにさせてごめん
醜い自分でごめん
存在しない愛を買おうとして
あなたという傷跡が出来た。
それしか残らなくても
せめてあなたがつけた傷だ。
そして僕はこの街を出て、あなたが居ないところへ行く。
二度と人を愛せないけど
二度とあなたの詩も書かない。
おしまい。