SUBTRACTOR POLYPHONIC SYNTHSIZER

SUBTRACTOR ポリフォニック シンセサーザー。

 

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 シンセサイザーは、音の三要素、音程(ピッチ)、音色、音量を設定して音声合成するものでしたね。

 前回までに音程(ピッチ)を設定するオシレーターセクションを解説しました。

 

 SUBTRACTORの最終的な音量に関してはLevelスライダーによって設定します。

 

 ここで一つ考えなければならないのは、例えば、ピアノの場合、鍵盤を叩いた瞬間が最大音量で、だんだん音量が下がっていきます(減衰する)。

 これを、先ほどのLevelスライダーでは表現できませんよね。

 

 この音量の時間的変化を設定するのがAMP ENVELOPE アンプ エンベロープです。

 

 これは、何度か説明していますが、ADSRの各スライダーで、音量の時間的変化を表現します。

 

A→Attack Time レベルが0から最大値まで達するまでにかかる時間

D→Decay Time レベルが最大値からSで設定するレベルに下がるのにかかる時間

S→Sustain Level レベルの下げ止まりレベル

R→Release Time 鍵盤を離してからレベル0になるまでの時間

 

 例えば、ギターは弦を弾くと、すぐに最大値に達しますが(A)、減衰する時間もそんなに長くはありません(D)。また、減衰は0まで下がります(S)。リリースタイムも長くはありません(R)。

 

トランペットは、吹き始めに若干のタイムラグがありますが(A)、吹き続けている限り、最大値との音量差なく鳴り続けます(D、S)。しかし、吹くのをやめれば、すぐに音は止みます(R)。

 

 オルガンは、鍵盤を弾けばすぐに最大値に達し(A)、減衰するということがありません(D、S)。しかし、鍵盤から手を離せばすぐに鳴り止みます(R)。

 

 以上は例ですが、このようにサウンドには音量的な変化というものがあるので、それを設定するためにアンプ エンベロープが存在します。

 前回まで解説していたオシレーターとアンプ エンベロープでサウンドの基本的な形は決まります。

 

 音の三要素

 

  • 音程(ピッチ)→オシレーター
  • 音色→フィルター
  • 音量→アンプ
 これに加えて、
 
  • 音の時間的な変化→エンベロープ
 これが減算シンセシス=SUBTRACTORの採用する音声合成方式でサウンドメイクする場合の不可欠な要素になります。
 
 時間的に変化するのはアンプ(音量)ばかりではありません。シンセっぽい音を想像してもらえればわかると思いますが、音色自体が時間的に変化したりするサウンドを聴いたことがありますよね。
 
 この音色自体の時間的変化は、FILTER ENVELOPE フィルター エンベロープで設定するのですが、まだFILTER自体を解説していませんので、これはFILTERの回で説明します。
 
 SUBTRACTORには、もう一つエンベロープがあります。MOD ENVELOPE モジュレーション エンベロープです。
 
 
ADSRのスライダーの考え方はAMP ENVELOPEと同じです。
その作用の対象が音量ではなく、モジュレーションになるということです。
 
右側にDestというボタンがありますが、これはモジュレーションエンベロープの適用先を選択するボタンです。
 
ここで選べるのは、
  • Osc 1
  • Osc 2
  • Mix
  • FM
  • Phase
  • Freq 2
 以上の6種類です。
 
Amtで適用量を決めます。
 
極端な例で実験するとわかりやすいですので、以下のように設定してみましょう。
 
  1. デバイスをリセットして、初期状態の音を確認する
  2. MOD ENVELOPEのADSRとDestをそのままにして、Amtを127にして、音を確認
OSC 1が発振している音が、立ち上がり時、変化しましたね。
 
これは、MOD ENVELOPEでDestがOsc 1になっているので、OSC 1に作用したわけですが、MOD ENVELOPEのADSRがどのように影響しているのでしょうか。
 
  • MOD ENVELOPEのAは0だから、すぐにモジュレーションが始まります。
  • D40なので、このモジュレーションはすぐに減衰し始めます。
  • S0なので、減衰はモジュレーションレベル0まで減衰します。
  • R0なので、減衰は持続しません。(S0なので、Rの設定値は無意味)
 
この場合、減衰しているのは、モジュレーションの作用自体です。
 
実験を続けます。
 
  1. OSC 2をオンにして、わかりやすいように波形を変更する
  2. オシレーターのMixを127にして、OSC 2の音を確認する
  3. MOD ENVELOPEは、Amt127のままDestをOsc 2に変更して音を確認する
原理はOsc 1の場合と同じですね。
 
続けます。
  1. デバイスをリセットします
  2. OSC 2をオンにして音を確認します
  3. MOD ENVELOPEのDestをMixに変更し、Amtを127にし音を確認します
Mixの場合、OSC 1とOSC 2のブレンドがMixで設定した値になるまでの時間的変化を設定しているということです。
だから、次の場合、何も起こりません。
 
  • Mixが0の場合
  • Mixが127の場合
  • OSC 2とNOISEの両方がオフの場合
続けます。
 
  1. デバイスをリセットします
  2. OSC 1をTriangle、OSC 2をオンにしてSineに変更し、OSC 2のSemiを7に変更します
  3. 音を確認しながらオシレータのFMを好みの位置まで上げます
  4. MOD ENVELOPEのDestをFMに変更し、Amt127にし、音を確認します
続いて、フェイズ オフセット モジュレーションに適用しましょう。
 
  1. デバイスをリセットします
  2. OSC 1のModeを×に変更し、音を聴きながらPhaseを好みの位置まで上げます
  3. MOD ENVELOPEのDestをPhaseに変更し、Amt127にし、音を確認します
 
MOD ENVELOPEのDestには、まだFreq 2という項目がありますが、これもFILTERの回に譲ります。
 
Amtノブの上に波形が書いてあるボタンがありますが、これはADSRの反作用スイッチです。
例えば、Aはモジュレーション開始の時間設定ですが、反作用スイッチがオンの場合は、スライダーを上げれば上げるほど、Attack Timeが速くなるということです。
 
 以上で、MOD ENVELOPE モジュレーション エンベロープの解説は終わりです。
 
 これまでに、
  • オシレーターのWaveformとピッチの設定(OSC 1、OSC 2、Waveform Oct、Semi、Cent、Kbd. Track)
  • オシレーターのMix
  • オシレーターのフェイズ オフセット モジュレーション(Phase、Mode)
  • オシレーターのFM
  • オシレーターのリング モジュレーション(Ring Mod)
  • ノイズ ジェネレーター(NOISE、Decay、Color、Level)
  • アンプ エンベロープ セクションAMP ENVELOPE
  • モジュレーション エンベロープ セクション MOD ENVELOPE
 かなり、音色を変化させることができるようになったのではないでしょうか。
 
 次回は、LFOを解説します。