SUBTRACTOR POLYPHONIC SYNTHSIZER

 SUBTRACTOR ポリフォニック シンセサイザー は、すべてのバージョンのPropellerhead Reasonに付属しています。

 

Reasonの30日間無料試用

 

 Reasonでは、基本中の基本と云える音源で、減算シンセシスのシンセサイザーを学ぶ上でも有用な音源になっています。

 

 SUBTRACTORについては、何度も取り上げているんですが、入門シンセサイザーとしてはもちろん、減算シンセシスのシンセとしてはオシレータも豊富で、様々な音色を作ることに挑戦できる、是非ともマスターしたい音源です。

 

 シンセサイザーには様々な音源方式がありますが、減算シンセシスのシンセパラメータを理解できれば、類推解釈で理解できるものがほとんどなので、Reasonに限らずLogic Proに搭載されているシンセやその他のプラグインのシンセにも応用できます。

 

 SUBTRACTORのコントロール群は、おおよそ減算シンセシスの教科書通りと言っていい素直な設計になっているので、シンセの入門書などがSUBTRACTORに対応していなくても想像がつきやすいということも言えるので、SUBTARACTORを攻略することを目指しましょう。

 

 シンセサイザーというと、沢山のつまみやスライダーがあって、それだけで敬遠してしまう方がいると思いますが、セクションに分けて理解していけば、思っているほど複雑ではありませんので、セクションごとに見ていきましょう。

 

 また、基本的な音作りの流れは、以前、解説しているので、そちらも参照してください。

 

Vol.1

Vol.2

Vol.3

Vol.4

 

 それではまず、デバイスの背面をチェックしておきましょう。

Reasonのインストゥルメントデバイスの基本的な構成になっています。

 

Reasonの場合、ミニ端子で表現されているのはCV/Gate信号。

1/4端子で表現されているのがオーディオ信号になっています。

大きい端子がオーディオ、小さい端子がCV/Gateということです。

 

オーディオ信号は音の流れ、CV/Gate信号というのはレトロなシンセやキーボードに搭載されていた電圧で何かをコントロールするための端子をシミュレートしたものです。

Gateは一般的に言って、ノートのオン/オフを、

CVは、モジュレーションやノートのピッチを制御します。

 

では、SUBTRACTORの左から。

 

  • Sequencer Controlは、文字通りシーケンサーを接続するためのCV/Gate端子です。
  • Modulation Inputは、SUBTRACTORを外部から変調させるのに使う端子です。
  • Modulation Outputは逆に、SUBTRACTORから別のデバイスを変調させるのに使う端子です。
  • Gate Inputは、外部からSUBTRACTORのエンベロープをトリガーするための端子です。
  • Audio Outputは、オーディオ出力端子で、SUBTRACTORはモノラル出力になっています。

 

 これらの使い方は、実例がないとイメージしにくいかと思いますので、現時点では理解できなくても構いません。

 

 では、SUBTRACTORのコントロールをセクションごとに見ていきましょう。

 

オシレーターセクション

 

音の三要素と言われるのが、音程(ピッチ)、音色、音量です。

シンセサイザーは、音声を合成して作る機械なので、この三要素を設定する機能が盛り込まれています。

 

  • 音程→VCO、Osc、Ocillatorなど
  • 音色→VCF、Filterなど
  • 音量→VCA、Amp、Amplifier、Volume、Levelなど

オシレーターセクションは、このうち音程、ピッチを司り、基本的な音の波形を設定します。

 

SUBTRACTORには2基のオシレーターが装備されています。OSC 1、OSC 2がそれに相当します。OSC 2はデバイスリセット時はオフになっています。

 

Reasonのデバイスのリセットはデバイス上で右クリックして、コンテクストメニューを表示させて、「デバイスのリセット」を選択します。以前のバージョンでは、「パッチを初期化する」になっています。

 

オシレーターの基本的な操作は、

  1. Waveformで波形を選択し、
  2. Octでオクターブ単位のピッチを設定する
その他のコントロールは、以上の2つにアレンジを加える操作になります。
 
ピッチに対する操作として、
  • Semiでは、半音単位でピッチを変更できます。
  • Centでは、1/100半音単位でピッチを変更できます。
  • Kbd.Trackスイッチは通常オンですが、オフにするとピッチが一定に保たれます。(ドラムサウンド等)または、FM、Ring Modの変調を片側のOSCをオフにすることで、同じ周波数の変調をかけることができます。
OSC 1、OSC 2を同じ設定にしても、Centを若干ずらすことで、ディチューン効果を得ることができます。
 
 波形とピッチの設定は、以上が基本操作になりますが、SUBTRACTORには、Sawtooth(鋸波、ノコギリ波、鋸歯状波)、Square(矩形波)、Triangle(三角波)、Sine(サイン波)の基本波形の他に28種類のサンドメイクに便利な波形が用意されています。
 蛇足ですが、Reasonに限らず、ほとんどのシンセやシンセパラメータを持つ音源のパネルは英語で表記されているので、シンセの要素の名称は英語で覚えるようにしましょう。
以下に、SUBTRACTORのオシレーターの波形の表を掲げます。
表の基本波形の特徴欄にハーモニクスと書いてありますが、これは倍音、オーバートーンと呼ばれているものと同じ意味です。
音には通常、ピッチがありますが、その基本のピッチ以外にも基音の周波数の整数倍でハーモニクス成分が含まれています。
目に見えないものなので、イメージしにくいかと思いますが、
ハーモニクスという言葉からもわかるように、これは和声で説明が可能です。
 
ハーモニクス成分は規則的に変化します。
例えば、ピッチが440Hzの音には、2倍の880Hzのハーモニクスも含まれています。
440Hz=中央のA、880Hz=その1オクターブ上のA。
 
3倍のハーモニクス成分は基音が同じく440Hz=中央のAならば、3倍の1320Hzのハーモニクスになり、1オクターブ+完全5度のハーモニクスとなるので、1オクターブ上のEのハーモニクス成分ということになります。
5倍の2200Hzのハーモニクスは、2オクターブ+長3度のC#のハーモニクス成分という風になります。
 
この整数倍のハーモニクスが、無限に含まれているのが、原則としてピッチのある音なのです。
 
これには規則性がありますので、表にしました。
そして、波形には、このハーモニクスの含まれ方に特徴があります。
 
これを逆に見ると、整数倍のハーモニクスの構成を自由に構成できれば、自由に波形を作り出すことができる、ということになります。
  • 音には波形があり
  • ピッチのある音には整数倍のハーモニクス成分が含まれる。
  • ハーモニクス成分の構成は波形による
このことを、設定するのがオシレーターセクションの役目になります。
 
 waveformの変更、Oct、Cent、また、OSC 2をオンにして、MixノブでOSC 1とOSC 2をブレンドできますので、様々な実験をしてみてください。
 
 また、オシレーターセクションでは、NOISEをオンにして、ピッチのない音を合成することもできますので、これも実験してみてください。
 
 次回は、オシレータセクションでできるモジュレーションについて説明します。